「手作り？ゴミみたいね」バザーの出品物を否定するママ友→私の品が即完売した皮肉な理由とは【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

私の手作りを見下すママ友

「え、これ手作り？ゴミみたいね」

幼稚園のバザー準備日、私の手元を覗き込んだママ友が冷たく言い放ちました。
一瞬、部屋の空気が凍りついたのが分かりました。

私は昔から裁縫が大の苦手です。
でも、園のバザーは「一人三品」という厳しいノルマがあり、逃げることはできません。
指に何度も針を刺しながら、夜なべしてフェルトのマスコットを作りました。
見本通りに作ったはずのクマは、なぜか手足の長さがバラバラで、目もあさっての方向を向いています。
自分でも不格好だとは思っていましたが、面と向かって「ゴミ」と言われると、さすがに心が折れそうでした。

そのママ友は手芸が得意で、お店で売っているような繊細なレース編みや、完璧な刺繍入りのレッスンバッグを出品していました。
「こういうのが『商品』って言うのよ。恥ずかしくないの？」と鼻で笑われ、私はただ俯くしかありませんでした。

バザー当日

そして迎えたバザー当日。
開店のベルが鳴ると同時に、子供たちがドッと会場になだれ込んできました。
私は売れ残ることを覚悟して、隅っこで身を縮めていたのですが……。
「うわ！ なんだこれ！」
「すげー変な顔！」
「キモかわいくない？」
予想外の声が次々と上がります。
子供たちが群がったのは、なんとあのママ友のブースではなく、私の「ゴミ」たちが置かれたコーナーでした。

「このクマ、面白い」
「俺、これ買う！」
子供たちは大興奮。
いびつな形が逆に「味がある」「レアキャラっぽい」と大ウケし、私のマスコットは開始わずか数分で完売してしまったのです。

一方、ママ友の完璧な作品たちは、子供たちには「地味」「高そうだから触っちゃダメ」と敬遠され、山積みになったまま。
「なんであんなガラクタが……」と呆然と立ち尽くす彼女の横で、私は完売の札を貼りました。
皮肉にも、私の「不器用さ」が生み出したユニークさが、子供たちの心を掴んだようです。
完璧ならいいってもんじゃない。
子供の感性に救われた、まさかの逆転劇でした。

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