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「マジで地上波でやるの?」「どこまで攻めるんだ」放送前から“話題騒然”となった挑戦作…“生々しさ”が光る名ドラマ

  • 2026.2.4

刺激的な表現や容赦のない展開によって、視聴中に思わず目を背けたくなる――。そんな“過激さ”を内包しながらも、強烈なメッセージ性や完成度の高さで語り継がれてきたドラマは少なくありません。暴力性や人間の闇を真正面から描くからこそ、視聴後には重い余韻や深い問いを残します。本記事では、衝撃度の高いドラマ作品を取り上げていきます。

今回は第5弾としてドラマ『ハレ婚。』(ABCテレビ・テレビ朝日系)を紹介します。刺激的な設定とは裏腹に描かれるのは、人が誰かを想い、傷つき、迷いながらも前に進もうとする等身大の感情。笑って楽しみながら、いつの間にか心の深い部分を揺さぶられていく作品となっています。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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SUPER☆GiRLS、浅川梨奈が初トレーディングカードの発売イベントを行った(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『ハレ婚。』(ABCテレビ・テレビ朝日系)
  • 放送期間:2022年1月16日〜3月13日 

前園小春(島崎遥香)は、故郷の北つばめ市から離れ東京暮らしをしていました。そんな小春が、東京暮らしを始めてから付き合った男性はすべて既婚者――。恋にも生活にも疲れ切った彼女は、故郷へと帰ることを心に決めます。

しかし、そこで知らされたのは父である哲郎(渡辺いっけい)が病に伏し、実家の喫茶店「ルパン」が多額の借金を抱えて閉店に追い込まれているということでした。どうにかして店を守りたい小春の前に、伊達龍之介(稲葉友)と名乗る謎の男が現れます。店の常連客だったという龍之介は、借金を肩代わりしようと申し出てくるのです。

そして次の瞬間、「幸せにするよ。結婚しよう」という、あまりにも唐突なプロポーズが飛び出します。

さらに小春を驚かせたのは、龍之介にはすでに一人目の妻であるゆず(柳ゆり菜)と二人目の妻であるまどか(浅川梨奈)がいたという事実でした。つまり龍之介は、一夫多妻制の結婚をしていたのです。実は小春の故郷の北つばめ市は、少子高齢化や過疎化の対策として一夫多妻制、通称“ハレ婚”を認めている日本唯一の特区だったのです。

東京時代には“既婚者ハンター”と揶揄されるほど、既婚者に散々悩まされた小春にとっては、このハレ婚制度は理解し難いものでした。しかし、実家をどうしても守りたいと小春は龍之介の三人目の妻となる決意をするのです。

一夫多妻制という挑戦的テーマをラブコメとして昇華

日本ではあり得ないはずの“一夫多妻制”を、架空の特区・北つばめ市という舞台設定で描き切った本作。

制度の是非を一方的に断じるのではなく、そこに生きる人々の感情や葛藤を丁寧に積み重ねていくことで、視聴者に「本当の幸せとは何か」を問いかけます。重くなりがちなテーマを、テンポの良い会話とユーモアで包み込むバランス感覚も秀逸です。

物語の温度を一気に引き上げる存在

小春、ゆず、まどか。同じ“妻”という立場でありながら、年齢も性格も価値観も異なる三人が物語を豊かに彩っていきます。

嫉妬、不安、愛情、自己肯定感の揺らぎなど、女性なら誰もが抱えたことのある感情が、それぞれの立場から描かれていきます。単なる四角関係に留まらず、“女同士の連帯”と“避けられない衝突”がリアルに表現されている点も見逃せません。

そんな三人の妻を持ちながらも、どこか憎みきれない龍之介という男。誠実さと身勝手さ、優しさと逃げ腰が同居する難役を、稲葉友さんが絶妙な温度感で演じています。理想の夫とは到底言えないのに、なぜか惹きつけられてしまう——そんな“現実にいそうな男”像が、物語にリアリティと緊張感を与えています。

また、二人目の妻・まどかを演じる浅川梨奈さんの存在感は、本作の大きな見どころのひとつです。

感情を爆発させるシーンや、嫉妬や孤独をむき出しにする場面では、アイドル出身というイメージを完全に脱ぎ捨てた過激とも言える体当たり芝居を披露。物静かで落ち着いた佇まいでありながら、独占欲が強く嫉妬深いまどかというキャラクターに、生々しい説得力を与えています。彼女の演技があるからこそ、物語は単なるラブコメに留まらず、より深い人間ドラマへと踏み込んでいくのです。

攻めたテーマに驚きの声

『ハレ婚。』で描かれる一夫多妻制という特殊な環境のなかで交わされる触れ合いは、どれもが一線を越える重みを帯びており、その一瞬に込められた覚悟と葛藤が、観る者の胸をざわつかせます。直接的な描写を避けながらも、絡み合う視線や、息遣いが伝わってきそうな沈黙、わずかな間の取り方によって、肌の熱や心の渇きが生々しく立ち上がる演出は非常に印象的です。

キャスト陣の体当たりの演技も相まって、言葉では語られない欲望や孤独が艶を帯びて伝わり、観る側に濃厚な余韻を残します。これらの濃密シーンは刺激のためだけに存在するのではなく、愛と欲望が交錯する現実を官能的に突きつけ、作品全体のテーマをより深く、妖しく支えているのです。

SNSを覗いてみると、本作に関して「マジで地上波でやるの?」「一体どこまで攻めるんだ」など、放送前からドラマ化するにあたって話題になっていたことがうかがえます。

また、放送後には「ぶっ飛び具合が好きです」「生々しい」など、ドラマのジェットコースターぶりと生々しさ、それでいてほんわかしてしまうという相反する感情が同居する挑戦的な作品であることが見えてきます。

少しの過激さと刺激が欲しいあなたにおすすめ

笑って観ていたはずなのに、気づけば胸の奥に小さな問いが残る――、『ハレ婚。』はそんな不思議な余韻をもたらす作品です。

“普通”とされてきた結婚観や幸せの形を、軽やかに、しかし鋭く揺さぶる本作。一風変わった設定の先に広がるのは、誰もが共感できる“人を想う気持ち”の物語です。ラブコメ好きはもちろん、少し刺激のあるドラマを求める人にも、ぜひご覧になってほしい一作です。


※執筆時点の情報です