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AIが物流管理、ドローンが配達、トラックは自動運転…「20年後の宅配便」はどう変わる?元ドライバーの大胆予測【作者に聞く】

  • 2025.12.24
20年後は、ドローンが空を飛び交い荷物を集荷している? 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
20年後は、ドローンが空を飛び交い荷物を集荷している? 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)

物流業界はこの10年余りで劇的な変貌を遂げた。スマートフォンの普及とともにネット通販が爆発的に拡大した2010年代。そして、AIや自動化技術が労働を代替すると予測される2050年に向けて、私たちの生活インフラである「宅配便」はどう変わっていくのだろうか。

元宅配ドライバーであり、現在は漫画家として活躍するゆきたこーすけさん(@kosukeyukita)の人気ブログ「運び屋ゆきたの漫画な日常」から、過去と未来を描いたエピソード「2010年宅配便の旅」「2044年宅配便の旅」を紹介し、ゆきたさんに物流の変遷と未来予想図について話を聞いた。

『2010年宅配便の旅』01 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
『2010年宅配便の旅』01 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
『2010年宅配便の旅』02 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
『2010年宅配便の旅』02 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
『2010年宅配便の旅』03 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
『2010年宅配便の旅』03 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
『2010年宅配便の旅』04 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
『2010年宅配便の旅』04 画像提供:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)

■「送料無料」の衝撃と「宅配クライシス」が変えたもの

漫画の中でゆきたさんは、2010年から現代の2024年へとタイムスリップする。この14年という歳月で、宅配の現場環境は様変わりしていた。マンションには「宅配ボックス」が完備され、コンビニエンスストアでの荷物受け取りも日常化。受取場所や時間の変更もスマホ一つで完結する利便性に驚かされる。さらに、通販需要の拡大に伴い、メーカー直属ではない委託ドライバーの姿も目立つようになった。荷物量が増えている現状を見て、過去から来たゆきたさんは「これだけ需要があればさぞかし儲かっているだろう」と期待に胸を膨らませるが、ECサイトに踊る「送料無料」の文字を見て愕然とするのだ。

ゆきたさんは、業界が大きく動いた転換点として2016年から2017年頃を挙げる。いわゆる「宅配クライシス」と呼ばれた時期だ。Amazonをはじめとするネット通販の荷物量が爆発的に増加し、宅配会社の処理能力を超えてしまったことで、現場が機能不全に陥った。当時、その渦中にいたゆきたさんは、凄まじい勢いでルールが変わっていく様子を目の当たりにしたという。「再配達は社会的損失だ」という認識が社会全体に広がり、宅配ボックスの設置促進や置き配の導入、さらにはフリーランスの配達員が参入する土壌ができあがったのである。

■ドローン集荷に自動運転…2044年の配達員は何をする?

では、さらに先の未来はどうなっているのだろうか。作中に登場する「2044年から来たゆきたじいさん」によると、20年後の物流はテクノロジーによって効率化が極まっているようだ。宅配トラックは基本的に自動運転で走行し、集配端末が荷物情報を読み取って最適なルートを自動生成、ドライバーを配達先まで案内してくれる。集荷依頼はスマホ操作ひとつでドローンが飛んできて回収を行い、再配達などの問い合わせ対応もすべてAIが代行する。少子高齢化で人口が減少しても、AIとロボット技術が労働力を補完する社会だ。

ゆきたさんは、こうした変化は現在進行形で続いており、今後はAIの進化に伴ってさらなる効率化が進むだろうと予測して本作を描いたという。しかし、どれほど技術が進歩しても変わらないものがある。それは、トラックから降りて、荷物を玄関先まで届ける「ラストワンマイル」の担い手だ。結局のところ、最後に荷物を手渡すのは「配達員」という人間であること。それは過去も未来も変わらない真理なのかもしれない。

取材協力:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)

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