1. トップ
  2. 罪から逃げ続けたナチスの医師に迫る衝撃作『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』2026年2月公開決定

罪から逃げ続けたナチスの医師に迫る衝撃作『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』2026年2月公開決定

  • 2025.12.22

アウシュヴィッツ収容所で戦慄の実験を行い“死の天使”とも呼ばれたナチスの医師ヨーゼフ・メンゲレの半生に迫り、本年度のカンヌ国際映画祭で絶賛された映画『The Disappearance of Josef Mengele(英題)』が、邦題を『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』として2026年2月27日(金)に公開されることが決定。ポスタービジュアルと場面写真が到着した。

【写真を見る】鏡に映るメンゲレには色がある一方、手前のメンゲレはモノクロでぼやけている

【写真を見る】鏡に映るメンゲレには色がある一方、手前のメンゲレはモノクロでぼやけている [c] 2024 CG CINÉMA / HYPE STUDIOS / LUPA FILM / CG CINEMA INTERNATIONAL / BR / ARTE FRANCE CINEMA
【写真を見る】鏡に映るメンゲレには色がある一方、手前のメンゲレはモノクロでぼやけている [c] 2024 CG CINÉMA / HYPE STUDIOS / LUPA FILM / CG CINEMA INTERNATIONAL / BR / ARTE FRANCE CINEMA

第二次世界大戦中、“死の天使”と呼ばれたアウシュヴィッツ収容所の医師、ヨーゼフ・メンゲレ(アウグスト・ディール)。かっちりと制服を着こみ、常に微笑みを絶やさない彼は、傍目には物腰の柔らかな人物に見えた。しかし、一方で、この男は後年“ナチスが生みだした最大の悪”と形容される、恐るべき所業を行っていた。人類学者でもあったメンゲレは優生学に取りつかれ、子ども、特に双子に想像を絶する実験を重ね、ユダヤ人やナチスによって「非社会的」分子とみなされた人々を選別。不要とみなした人間を次々にガス室へ送り込む。終戦後、メンゲレはヨーロッパと南米を結ぶ極秘ルート、通称“ラットライン”を使って逃亡。アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルと国を渡り歩き、複数の偽名を使いながら30年にわたり自身の罪から逃れ続けた。

本作は、メンゲレの潜伏生活に焦点を当て、息子との対話やイスラエル諜報機関モサドによる追跡を交錯させながら、アウシュヴィッツ収容所での“過去”はカラーで、現在は“モノクロ”で映し、ナチズムに支配された男の狂気を浮かび上がらせていく。

原作は、フランスで最も権威ある文学賞の一つといわれるルノードー賞を受賞したオリヴィエ・ゲーズの世界的ベストセラー小説「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」。この小説を『LETO -レト-』(18)、『チャイコフスキーの妻』(22)、『リモノフ』(24)などを手掛けた映画監督のキリル・セレブレンニコフが映像化した。

このたび解禁されたポスタービジュアルは、逃亡中のメンゲレが鏡の前で怪訝な面持ちで佇む様子を切り取ったもの。室内は白黒で表現されているが、鏡のなかに映り込むメンゲレの姿はかつての栄光を思わせるかのように彩られている。だが、実体である肉体とタイトルロゴは、罪の追跡を逃れ続ける彼自身を表すようにぼやけて消えていくように見える。

さらに、日本公開決定に際してセレブレンニコフから日本の観客へのメッセージも到着。何度も日本を訪れ、日本の文化に深い興味を持つセレブレンニコフは「『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』が日本で上映されることは私にとってうれしく、非常に光栄なことです。本作は謎多きナチスの医師ヨーゼフ・メンゲレという人物に焦点を当てます。彼は第二次世界大戦中で最も凶悪な戦争犯罪者の一人でありながら、30年もの間、罰から逃れ続けました。逃亡先で名前を変え、他人として生きる――おそらくこれが、ナチスの高官であったメンゲレにとって一番の屈辱だったでしょう。本作は、戦争によって魂を破壊された人間の内面では一体なにが起こるのか?を描いているのです」と語っている。

メンゲレを演じたディールの鬼気迫る演技と圧倒的な存在感が評論家や各映画祭で絶賛された本作。人間の“悪の本質”と戦争責任について、この作品を通じて向き合ってみたい。

文/スズキヒロシ

元記事で読む
の記事をもっとみる