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温泉ライター永井千晴さんが影響を受けた2冊の本「30代の今だからこそ憧れる、女性作家が描く女性たち」書き下ろしコラム

  • 2025.12.23

InRed世代に読んでほしい書籍をご紹介!今回は、『温泉オタク会社員が教える 仕事を頑張る人の温泉術』(朝日新聞出版)を発売した、温泉ライターの永井千晴さん推薦の2冊です。

30代の今だからこそ憧れる 女性作家が描く、女性たち

10代の時、女性作家の本が読めませんでした。おんなという、大きな主語の中に取り込まれ、共感するのが恥ずかしかった。そして、女性作家が描く女性性と対峙するのが怖かったのです。そんな多感な時期を過ぎ、20歳ぐらいからようやく女性作家の本を手に取れるようになりました。たどり着いたのは、角田光代さんや田辺聖子さん。当時私は旅が好きな大学生で、国内外いろいろな場所へ巡っていたころ。角田光代さんのエッセイ『恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。』は、角田さんが旅の出会いや日常のささいな出来事・気づきを綴ったものです。10代では読めなかった、おんなの視点のオンパレード。旅行という共通の趣味をもつ年上のお姉ちゃんができた気分になり、自分の中にあるおんなの輪郭に気づく一冊でした。 田辺聖子さんの『感傷旅行』は、短編のオムニバスで、表題の作品も最高だけれど、最初の「恋の棺」が一番好き。離婚したばかりの29歳の主人公・ウネが、仕事の疲れを癒やすために六甲山のホテルに滞在し、10個年下の甥を可愛がる物語。あまりに大人すぎて、私はいつかウネになれるだろうかと思い馳せたものです。30代のいまは、存分におんなであることを受け入れ、女性作家が描く女性たちに憧れを抱いています。 文=永井千晴

紹介した本はこちら

『恋をしよう。夢をみよう。
旅にでよう。』

「褒め男」にくらっときたことありますか? 褒め方に下心がなく、しかし自分は特別だと錯覚させる。ついに遭遇した褒め男の言葉に私は……ゆるゆると語り合っているうちに元気になれる、エッセイ集。

『感傷旅行』

党員のケイを気まぐれに愛し、いつか、熱烈に傾倒し破れ去る有似子。愛とは一体何なのか? 昭和39年度の芥川賞受賞作『感傷旅行』をはじめ、裸のままの人間を真向から描き続ける著者のやさしさが滲みでている全8篇を収録。

今回、おすすめ書籍を教えてくれたのは…

永井千晴さん(温泉ライター)

1993年2月生まれ。学生時代に半年間かけて日本全国の温泉を取材。その後、旅行情報誌『関東・東北じゃらん』編集部に在籍。退職後は別業種で会社員をしながら、経験を活かして温泉ライターとして活動。


『温泉オタク会社員が教える
仕事を頑張る人の温泉術』

会社員をしながら温泉旅行に出かけた経験をもとに、「お疲れ度にあわせたおすすめ温泉地」「ここに行けば間違いない大正解宿」「東京近郊の名宿・日帰り名湯」などを紹介。混雑を避けたい人のための年間スケジュールの立て方は、働き人必見。

※InRed2026年1月・2月合併号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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