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空腹のあまりチョークの粉まで…?!戦時中の子どもたちが「お手玉」を欲しがった残酷な理由【作者に聞く】

  • 2025.12.22
戦時中の子どもたちが「お手玉」をほしがったワケとは? 画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)
戦時中の子どもたちが「お手玉」をほしがったワケとは? 画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)

ライブドアブログ「ゆっぺのゆる漫画ブログ」やInstagram(@yuppe2)でエッセイ漫画を執筆している、漫画家のゆっぺさん。なかでも2021年12月から連載された「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」は、完結後に電子書籍化されるなど大きな反響を呼んだ。

幸せなおばあちゃんが語る、あまりに切ない戦時中の記憶

疎開してきた子どもたちは、お腹を空かせていた 画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)
疎開してきた子どもたちは、お腹を空かせていた 画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)
あるとき、疎開してきた子たちから「お手玉持ってる?」と聞かれたキヨ 画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)
あるとき、疎開してきた子たちから「お手玉持ってる?」と聞かれたキヨ 画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)
お手玉を渡すと、子どもたちはまさかの行動に!! 画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)
お手玉を渡すと、子どもたちはまさかの行動に!! 画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)

読者からは「今の時代に大切なことが描いてある」「人生で一番大切なことが学べる」と感動の声が続出している本作。物語の主人公は、ゆっぺさんの祖母である「キヨさん」だ。父との死別により叔父の家の養女となったキヨさんは、そこで養母から過酷ないじめを受ける日々を過ごしていた。

そんな折、日本は戦争へと突入する。都会から農村へ疎開してきた子どもたちとの交流も描かれるが、そこには現代では想像もつかないような飢えの現実があった。ある日、子どもたちから「お手玉持ってる?」と聞かれたキヨさん。遊ぶためだと思い手渡すと、子どもたちは信じられない行動に出る。

餓えに苦しむ子どもたちが求めた「お手玉の中身」

作者のゆっぺさんに、当時の描写やキヨさんからの聞き取りについて聞いた。まず、もんぺなどの服装や当時の家の雰囲気について、どのようなアドバイスがあったのだろうか。

「服装などは当時の写真や資料を参考に描きました。ですが、もんぺについては実は今でも祖母(キヨ)が履いていまして(笑)。父方の祖父母も寝間着がもんぺだったりと、私にとって身近な存在だったので描きやすかったです」

疎開してきた子どもたちのエピソードも、すべてキヨさんから聞いた実話だという。

「疎開してきた子どもたちはお手玉が好きなのだと思って渡したら、中に入っている小豆を食べたというのは印象的だったようです。漫画内の義姉のセリフにもありますが、空腹からチョークの粉を食べてしまう子もいたそうです」

遊び道具であるお手玉を「食料」として求めた子どもたちの姿は、戦争の悲惨さを物語っている。

自分の世界は自分次第。祖母から受け継ぐ生きる知恵

壮絶な過去を持ちながら、なぜキヨさんは「日本一幸せ」と言える人生を歩めたのか。ゆっぺさんは、キヨさんの人間性について深く尊敬している。

「必ず相手の話を最後まで聞き、肯定した(受け入れた)うえで自分の意見を言うところが好きですし、そういう祖母を尊敬しています。たとえ私が間違ったことを言っても、『あなたはこう思ったんだね。でもね、こう考えてみたらどう?』といった感じで接してくれます」

さらに、キヨさんの言葉でとくに印象に残っているものがあるという。「自分の世界は自分で作る。どういう世界にするかは自分次第なんだよ」という教えだ。

戦前からの日本を目の当たりにし、過酷な環境を生き抜いてきたキヨさんの言葉には、重みがある。当時のリアルな空気感を知るとともに、今を生きるヒントが詰まった本作。まだ読んでいない人は、ぜひそのページをめくってみてほしい。

取材協力・画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)

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