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絶品ローカル飯が続々登場! 全国各地の食べ歩きルポをまとめたグルメエッセイ『ごはん図鑑』【漫画家インタビュー】

  • 2025.12.18

【漫画】本編を読む

『ごはん図鑑』シリーズは、漫画家・なぐもさんが各地をめぐり、全国のおいしいごはんの魅力を伝えるグルメエッセイ。その土地ならではの絶品料理に出合う喜びが臨場感たっぷりに描かれている。

群馬・前橋では、デカ盛りの聖地と言われているお店「パンプキン」を訪れ、500gのパスタに濃厚ホワイトソースを合わせた「グラタンスパゲティ」や、ハンバーグとチキンカツを各2人前はあるボリュームで堪能できる迫力満点の定食に圧倒される。

静岡では、真っ黒なスープと独特の具材が並ぶ「静岡おでんの天神屋」で、レアなおでんダネに大興奮。

博多では、明太もつ鍋・九州料理居酒屋「博多かねふく ふく竹」で明太子づくしの定食を満喫。だし巻き明太や炙り明太、明太子の天ぷら、明太子のアヒージョなど、贅沢なラインナップに舌鼓を打つ。

詳細な料理の描写と丁寧な食レポが食欲をそそる本作は、X(旧Twitter)を中心に人気を集めており、2万以上のいいねを獲得する投稿も。作者・なぐも(@nagumon)さんに、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。

お店に何度も足を運びながら、料理の魅力を余すところなく表現

ーー『ごはん図鑑』シリーズを描こうと思ったきっかけや理由を教えてください。

10年ほど前に食べたコストコのピザを落書きしたいと思い立ち、絵だけでは寂しいのでキャラクターを添えて描きました。そのすぐ後、コメダ珈琲店の好きなメニューを描いたらバズってしまったのが、『ごはん図鑑』シリーズの創作を始めたきっかけです。

また、本シリーズとは異なる食べ歩き旅行記漫画を描いているのですが、それとは別の柱になる企画が欲しかったというのも理由のひとつです。

ーーこだわっている点や、「ここを見てほしい」というポイントはどんなところですか。

こだわっているのは、「このお店に行ってみたい」「この料理を食べてみたい」と思ってもらえるような表現にすることです。ネガティブな印象を与える要素は極力避けつつ、「美味しそう」「面白そう」「楽しそう」と思ってもらえるような言い回しや表現を心がけています。

ーー紹介されている料理の一品一品が、味わいだけでなくサイズ感や付け合わせのメニューなど細部までリアルに描かれており食欲をそそられます。実際にすべてのお店や料理を取材されているのでしょうか?

バリエーションとして小さく描いている一部の品を除いて、基本的にはほとんどの料理を実際に食べています。お店にも一度だけでなく、何度も足を運んだうえで描くようにしています。一度目の来店は、そのお店と出会ったときに好きだと感じたポイントや感動したことを素直に味わう機会として。二度目、三度目……、そして数カ月後に四度目と何度も通いながら、いろいろなメニューを試したり購入したりして、その店ならではの特徴をじっくり把握しています。

ーー食べ物を描く際、美味しそうに見せるために意識していることや大切にしているポイントはありますか?

自分は他のグルメ系イラストレーターさんたちのように華やかな作風や色使いで絵を魅せるタイプではないので、そのぶん、小物や情景、液体表現などを使ってひと工夫加えることを心がけています。

また、器の描写も大切にしています。料理のイラストでは食べ物に目が行きがちですが、描いていく中で、美味しそうに見えるかどうかは器の雰囲気にも大きく左右されることに気づきました。

ーー全国各地のグルメを取り上げられていますが、お店選びの基準や決め手になっているポイントを教えてください。

お店を選ぶ際は、以下の4つのポイントを基準にしています。

1. 自分が美味しいと思えるか

2. 自分が好きだと思えるか

3. 楽しめたポイントを明確に絵や言葉で表現できるか

4. 読んだ人が実際に足を運ぶことができるか

世間でバズっている流行りのものを描こうと思い、食べに行くこともあります。文句なしに美味しいのですが、それでも自分の心が動かなければ描こうとしても表現が湧いてこないことが多く、その場合は描けずにお蔵入りになることもあります。そのため、上記の4つのポイントは極力守るようにしています。

「味の良さ」は言語化が難しく、絵にしづらい抽象的な表現になってしまいがちなので、評価基準にはしていません。一方、料理の発祥や歴史、地域の習慣などは作品として描く際の強い要素になるので、各地のソウルフードなどはとても描きやすいなと思っています。

ーー今後、食べてみたいメニューや新たに作品として描いてみたい料理はありますか?

珍しい料理や外国料理、ユニークなお店が好きなので常々描きたいと思っています。ただ、読者が置いてけぼりになりがちなのでなかなか手が出せません……。

ーー今後の展望や目標を教えてください。

今後の目標は、お店や食品系メーカーさんに自分の絵を使っていただくことです。これまでにも描いたものを店頭に掲示していただけたり、スパゲッティ専門店「あるでん亭」さんや冷し肉そば専門店「そば さやか」さんから新規のお仕事のご依頼をいただけたりといった機会がありました。そのため、目標達成の一歩はすでに叶っていますが、個人的にはもう少し本格的に関わってみたいという願望もあります。

ーー最後に、作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

頻度高く作品を出せるわけではありませんが、出すたびに楽しんでくれる方や、しばらく更新ができないときでも待っていてくれる方の声がとても励みになっています。感謝しています。

取材・文=ネゴト / 糸野旬

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