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クリスマスは「迷信の塊」だった?サンタもツリーも全部“呪術”由来…華やかな聖夜の意外なルーツ【監修者に聞く】

  • 2025.12.18

12月25日のクリスマスを前に、12月を迎えると各地でツリーやクリスマスマーケットが登場。今や12月を彩る当たり前の光景となった。そんなきらびやかで祝祭感あるクリスマスも、見方を変えれば“迷信中の迷信”!?

「悪い子は鬼に連れて行かれる?」(「放課後おまじない倶楽部」2話より) 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
「悪い子は鬼に連れて行かれる?」(「放課後おまじない倶楽部」2話より) 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館

創作漫画「放課後おまじない倶楽部」(作画:尾花せいご(@seishoobi)さん 監修:西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さん)は、迷信研究部に入部した少年・栗丸幸が、古今東西の迷信に通暁する不思議な顧問・雨野先生と、日常に溶け込んだ迷信に触れていく作品。第2話では、クリスマスを縁遠いものと思っていた栗丸が、クリスマスツリーのオーナメントやサンタクロースにまつわるさまざまな伝承=迷信を知り、その見方が変わっていく。

2話P1-2 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P1-2 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P2-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P2-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館

今回は、本作の監修を務める西洋魔術博物館さんに、クリスマスシーズンならではの迷信やその魅力について話を聞いた。

子どもをさらう怪物がいる?知られざるクリスマスの伝承

作中では、サンタクロースのモデルとされる聖ニコラス、日本ではあまり馴染みはないもののドイツのクリスマスでは定番の怪物・クランプスなど、多彩な伝承が雨野先生から語られる。

2話P3-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P3-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P3-2 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P3-2 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館

クランプスは、悪い子どもをカゴに入れて連れ去ると信じられている。日本で言うところの「なまはげ」とどこか重なるイメージだ。こうした教訓めいた伝承・迷信はやはり多いのだと西洋魔術博物館さんは話す。

「“悪い子は人さらいにさらわれて、曲馬団に売られて、毎日酢を飲まされる”系のお話は多いです。この種の脅かしが日常的にささやかれる一方、悪鬼クランプスのように特定日に具体的な顕現をしてくるのも興味深いところです」

また、聖ニコラスがオランダ語で“シンタクラース”に、アメリカでは“サンタクロース”に転じていったという一説のように、日本国外でもサンタクロースはさまざまな受け取り方がされているようだ。「クリスマスとの向き合い方は突き詰めるとプロテスタントとカトリックの差異になってしまう」と、西洋魔術博物館さんも語り切れないという。

「ヨーロッパでは聖ニコラスという具体的人物を中心に伝承が展開される一方、英国ではクリスマスそのものを擬人化したファーザー・クリスマスが描かれます。両者がアメリカで合体した結果がサンタクロースというところなのでしょう」

2話P4-3 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P4-3 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P5-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P5-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館

迷信の観点からも一大イベントだけに、第2話には登場しなかったクリスマスシーズンの迷信も多い。その中で、西洋魔術博物館さんが一番好きだというのが“ヤドリギの下でのキス”だ。クリスマスパーティー会場の目立たない場所にヤドリギを飾っておき、偶然にその下に立った人をキスで祝福する風習だそう。「キスされた人は1年間の幸運が続くのです。『わざとヤドリギの下に立つ人は嫌われる』、というのもポイント高いです」と西洋魔術博物館さんは話す。

そして、作中では雨野先生に誘われ、栗丸はクリスマスマーケットへ足を運ぶ。華やかなお祭りのイメージが強いが、西洋魔術博物館さんは違った見どころを教えてくれた。

2話P6-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P6-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P7-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館
2話P7-1 漫画=尾花せいご、監修=西洋魔術博物館

「昔の記述によりますと、12月24日夜、だんだん人もいなくなり、商人たちが売れ残った品をまとめて雪のなかをぽつりぽつりと消えていく――その寂寥感がよいのだそうです。また孤独な人がひとときの暖かさを求めてマーケットにたたずみ、闇に呑まれていくのが美しいとのこと。このあたりは個人の好みということで」

クリスマスシーズンの違った一面を知ることで、おなじみとなったイベントも新鮮な楽しみ方ができそうだ。

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