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男女の出会いから結婚、そして別れるまでの15年間を描いた『佐藤さんと佐藤さん』の見どころを紹介。リアルなマリッジストーリーに心揺さぶられる!

  • 2025.12.18

2025年11月28日より全国公開された『佐藤さんと佐藤さん』は、W主演を務めた岸井ゆきのさんと宮沢氷魚さんが15年間共に過ごした男女を演じた作品。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。

映画『佐藤さんと佐藤さん』のメイン写真 (C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
映画『佐藤さんと佐藤さん』のメイン写真 (C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会

【ストーリー】

活発な佐藤サチ(岸井ゆきの)と、真面目な佐藤タモツ(宮沢氷魚)。大学のサークル「珈琲研究会」で出会った正反対な性格の2人はなぜか気が合い、同棲をスタート。

5年後、弁護士を目指しているタモツは司法試験に失敗。サチは独学を続けるタモツに寄り添い応援するため、自身も勉強をして司法試験に挑むことに。そして見事合格したのはサチだった。2人は子どもができたことをきっかけに結婚する。

弁護士になったサチと、子育てと家事をしながら勉強し続けるタモツ。やがて2人はすれ違い始めて…。

【写真】仲良しカップルだった大学生の頃のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚) (C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
【写真】仲良しカップルだった大学生の頃のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚) (C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会

岸井ゆきのと宮沢氷魚が夫婦役に挑戦、結婚後にすれ違いぶつかり合う2人の芝居に注目!

監督を務めるのは、隣人同士の些細な対立が大事件へと発展していく様子を描いた映画『ミセス・ノイズィ』を手がけ、主人公の男性が妊娠するという斬新なドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』の脚本を手がけた天野千尋さん。ユニークな作品を世に送り出してきた天野監督は、結婚しても離婚しても「佐藤」の苗字は変わらないサチとタモツの姿を時にユーモアたっぷりに、時にシリアスにスクリーンに映し出した。

本作でW主演を務めた岸井ゆきのさんと宮沢氷魚さんは、活発でダンス好きなアウトドア派の佐藤サチと、正義感が強くて真面目なインドア派の佐藤タモツをそれぞれ演じている。

恋人同士になったサチとタモツは結婚し、子どもも生まれて3人家族になるが、産後すぐに弁護士として忙しく働き始めたサチと、試験勉強をしながら家事、育児、バイトに明け暮れるタモツは衝突するようになる。そんなヒリヒリした2人の関係性を、岸井さんと宮沢さんは丁寧に表現していた。

岸井さんといえば、2025年4月期に放送されたドラマ『恋は闇』での殺人鬼かもしれない男性を好きになってしまったヒロイン役が記憶に新しいが、本作で彼女が演じたサチはミステリアスな男性には絶対に恋をしないような(笑)、現実としっかり向き合うタイプの女性で、あらためて岸井さんの演技の振り幅の大きさに驚かされた。

(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会

本作で宮沢さんが演じるタモツは、弁護士になったサチに言いたいことを言えず、どんどん不満を募らせていく。たしかに育児をしながらだと司法試験の勉強に集中できないのはつらいと思うが、サチは弁護士として忙しく働きながら家計を支え、何度も試験を失敗しているタモツを応援してきた。

そんなサチが何気なく放った「トイレットペーパーないよ」という言葉にイラッとしたタモツが彼女と激しく衝突するシーンは、“サチは何も悪くない。タモツ、お前許さん!謝れ!”と心の中で叫んでしまうほど怒りが込み上げたと同時に悲しい気持ちにもなった。

このシーン以外にもサチとタモツがぶつかり合うシーンがあり、長年一緒にいたからこその激しいケンカを全力で表現した岸井さんと宮沢さんのお芝居にも注目してほしい。

ちなみに宮沢さんに本作についてインタビューした際に、「本当はコミュニケーションをちゃんと取って気持ちを正直に伝え合えていたら、二人はうまくいっていたのかな…と、そんな風に思いました」と言っていたが、本当にそのとおりだと思う。全国のカップル、夫婦のみなさん、言いたいことはちゃんと相手に伝えていきましょうね。

(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会

キャストはほかにサチの後輩で、夫に浮気されサチの元へ離婚相談に訪れる篠田麻役を藤原さくらさん、実家で暮らすタモツの弟・佐藤洋太役を三浦獠太さん、タモツと同じ学校出身で地元の居酒屋で働く吉田リサ役を佐々木希さん、サチの弁護士事務所に依頼をする東海林明役を中島歩さんが演じている。

中でも注目してほしいのは佐々木さん演じるリサ。なぜかというと、地元に帰ってきたタモツが、明るくてチャーミングで妻との関係性に疲れた自分を“ヨシヨシ”してくれそうなリサに惹かれている雰囲気を出すからだ。ただ、リサは優しいけど絶対にタモツを“ヨシヨシ”しないし、言いたいことをはっきりと言うかっこいい女性なので、リサとともに佐々木さんの好感度まで私の中でアップした。また、地元でのタモツの生き生きとした姿もある意味本作の見どころと言える。

(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
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「さよなら」をするまでの15年間を見届けたあと、“結婚”について考えずにはいられない作品

15年間も一緒にいたサチとタモツは、結局別れることを選ぶ。筆者の友人や知人たちは結婚歴20年やそれ以上の仲良し夫婦が多く、サチとタモツのように激しいケンカをしたという話は滅多に聞かない。でも、周りにそういう姿を見せたり話したりしていないだけで、もしかしたらサチとタモツのようにギリギリの状態で夫婦関係を続けているのかもしれない。

「子どもができたから結婚する」「一生一緒にいたいから結婚する」「親が心配するから結婚する」「子どもが欲しいから結婚する」…結婚する理由はいろいろあるが、実際に結婚をした夫婦に理由を聞いたら「なんとなく」と答える人が多いのではないだろうか。じゃあ“結婚”って一体なんだろう?と、本作を鑑賞したあと、わりと長い時間考え込んでしまった。個人的には“結婚”という制度に縛られず、自分らしく生きることができれば幸せだし、すべてのカップルが“結婚”という選択ができる世の中になってほしいと思っている。

ヒリヒリするほどリアルなマリッジストーリーの本作を、ぜひ劇場で鑑賞してもらいたい。

(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
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文=奥村百恵

(C)2025映画『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会

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