1. トップ
  2. 「もったいない活動」がきっかけ、廃棄されるエアバッグ生地や革素材を使ってアイデア豊かなアップサイクル製品を手がける豊田合成株式会社「Re-S(リーズ)」

「もったいない活動」がきっかけ、廃棄されるエアバッグ生地や革素材を使ってアイデア豊かなアップサイクル製品を手がける豊田合成株式会社「Re-S(リーズ)」

  • 2025.12.16

自動車のエアバッグ生地やハンドルなどに使われる素材などを組み合わせて、独創的なアップサイクル製品を企画・販売する豊田合成株式会社のブランド「Re-S(リーズ)」。その取り組みと製品について、経営企画部SDGs関連商品室室長の山田浩二さんに話を伺った。

「Re-S」が手がけるカラフルなトートバッグ
「Re-S」が手がけるカラフルなトートバッグ

同社がこのブランドを作ったのは、2018年から始まった社内の「もったいない活動」がきっかけだ。「車のエアバッグ生地やハンドルに使われる本革は、製品化される過程で常に厳しい検査をパスしなければなりません。そこでパスできなかったものについて以前は廃棄していましたが、社内で『何かに再利用できないか』との声があり、アップサイクルの検討が始まりました」と山田さん。2019年、株主総会用のエコバッグを製作したのを皮切りに、2020年9月に「Re-S」を立ち上げ、エアバッグ生地を使ったポーチや革を使ったペンケースなども作り、本格的な販売をスタートした。

エアバッグ生地の大きな特徴は、耐久性に優れていること。燃えにくいことに加え、生地の表面には気密性を保つために特殊なコーティングも施されるので、撥水性に優れている。山田さんは「自動車に搭載される品質なので、とにかく丈夫。革も耐久性があり、経年による変化もほとんどありません」と話す。

強度があるエアバッグ生地
強度があるエアバッグ生地
革の端材
革の端材

「Re-S」の準備は2人体制でスタート。会社が美濃加茂市と提携し森林づくりも行っていたことから、ものづくりの担当者が間伐材を利用したペンケースを考案した。「試行錯誤しながら試作しましたが、量産となると簡単ではなく、この先どうしようかと思案しました」。

検討した結果、木材を使った革製品は岐阜県高山市の「キナリ木工所」と提携し、製作することに。またバッグ製作の多くは、障害者就労支援施設に委託している。「売れなくて捨ててしまうものを作らないよう、小ロットで生産を行っているため、障がい者就労支援施設で働く方々に手伝っていただけるのは助かっています。お互いにWin-Winの関係で今後も続けていきたいと考えています」。

メンバーが試行錯誤しながら試作品を製作
メンバーが試行錯誤しながら試作品を製作
耐久性にすぐれたアップサイクルエコバッグ
耐久性にすぐれたアップサイクルエコバッグ
【画像】木工職人の技術によって、革と間伐材や小径材などの木材を組み合わせたペンケースが誕生
【画像】木工職人の技術によって、革と間伐材や小径材などの木材を組み合わせたペンケースが誕生

「Re-S」の製品は自社サイトや名古屋市西区円頓寺にある直営のアンテナショップなどで販売。「バッグを手に取って買っていかれたお客様が、『使ってみてよかったから』とご友人を連れてきてくださったこともありました。うれしかったですね」と山田さん。

こうしたショップ販売にとどまらず、昨今は中日ドラゴンズやウルフドッグス名古屋などのスポーツチームをはじめ、企業やスポーツメーカーとのコラボレーションも積極的に展開している。バッグはもちろんのこと、折りたたみクッションやスニーカーなど品種も多彩だ。これらのコラボ商品は各チームのグッズ販売店舗や直営のアンテナショップなどで販売。山田さんは「2021年に中日ドラゴンズとコラボしたのが始まりです。その後は人のご縁でつながっています。愛知県の自動車産業を支える会社として、まずは地元の企業やチームとのコラボを続けていきたいですね」と笑顔で話す。

円頓寺本町商店街にあるアンテナショップ
円頓寺本町商店街にあるアンテナショップ
店内では多種多様な「Re-S」製品を販売
店内では多種多様な「Re-S」製品を販売

「Re-S」の活動を子どもたちにも知ってもらいたいと、学校への出前授業やワークショップも積極的に行っている。「私たちの目的は、廃棄物を減らすことです。ものづくりの会社である以上、廃棄物は決してゼロにはなりませんが、子どもたちの未来のために、これからもアイデアを集結してアップサイクル製品を作り続け、さまざまな企業とコラボして、より多くの人々に利用していただいて認知度を高めていきたい」と話す山田さん。「Re-S」のさらなるサステナブルな取り組みに期待したい。

地元の小学校で出前授業を開催。アップサイクルについて講義
地元の小学校で出前授業を開催。アップサイクルについて講義
イオンモール木曽川にて「脱炭素」をテーマにしたパネルディスカッションに参加
イオンモール木曽川にて「脱炭素」をテーマにしたパネルディスカッションに参加
革を使った子ども向けのワークショップ
革を使った子ども向けのワークショップ
「Re-S」の活動に尽力する山田浩二さん(右)と嶋﨑知宏さん(左)
「Re-S」の活動に尽力する山田浩二さん(右)と嶋﨑知宏さん(左)
豊田合成株式会社 本社
豊田合成株式会社 本社

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる