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ローストビーフの赤い汁…これって生焼け?不安をなくすローストビーフの作り方

  • 2025.12.16

料理にまつわるちょっとしたお悩みに、人気料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんが答えるフーディストノートの公式連載。今回は、ローストビーフから出てくる赤い汁の正体となるべく汁を出さずにフライパンで手軽に作れるレシピを教えていただきます。

こんにちは!かな姐です。

どんなに作り慣れた料理でも、「今日が一番おいしくできるといいな」と思いながら作っています。

こうやったほうがもっとおいしいかも?今度はこうしてみよう、と今でもひそかにアップデートを続けています(笑)。

さて、今回のお悩みはこちらです。

ローストビーフをレシピ通りに作ったのに、赤い汁が出てきて生焼けじゃないか心配です

ローストビーフが生焼けかどうか心配というお悩みです。

ローストビーフを切った瞬間に赤い汁がにじんでくると、

これって生焼け? 食べても大丈夫? 家族に出していいのか不安…。

と、ドキッとしてしまいますよね。

年末になるとローストビーフを作りたい方も増えますし、この不安はとてもよくわかります。

赤い汁は血ではないので、食べても大丈夫!

結論から言いますと、ローストビーフを切ったときに流れ出る赤い汁は、お肉のたんぱく質が混じった水分で、血ではありません。見た目は赤くても“生焼けの証拠”ではないので、心配しなくても大丈夫です。

ローストビーフやステーキのレシピに出てくる工程に、「お肉を焼いた後ホイルに包んで休ませる」というのがありますが、このときにホイルに赤い汁が溜まりますよね。これも血ではなく、そして生でもありません。せっかくの旨味のある肉汁なので捨てずにソースに混ぜてお肉にかけて食べましょう。

この赤い液体は旨味そのものなので、切ったときにできるだけ出さないように、そしてフライパンで手軽に作れるローストビーフの作り方を考えてみました。

まずは、お肉の形と特徴をチェック!

買ってきたお肉はローストビーフ用として売られている、国産の牛もも肉のブロックです。

今回使ったのは、ひと塊がおよそ250gくらい。形はちょうどマグロの冊のような、細長いタイプです。

ローストビーフ用のお肉って、お店によって形が本当にさまざまですよね。同じ“塊肉”でも、太さ・長さ・厚みが違えば、当然ながら火の通り方も変わります。なので今回のレシピは、あくまで「この形・この大きさの場合の目安」として読んでいただけたらと思います。

また、今回のお肉は繊維が横方向に走っているタイプ。このタイプは、お肉を切る方向が分かりやすくていいと思います。焼き上がったあとに繊維を断ち切るように包丁を入れると、やわらかく感じられておすすめです。

お肉は“室温に30分おく”―この意味は?

肉は室温に30分ほどおいて、冷蔵庫から出したての冷たさが少し和らいでいる状態で焼きはじめます。「室温に戻す」と書いているレシピもあるかもしれませんが(わたしも書いてるかも、すみません!)、30分くらい出していても肉の温度は室温にまでは戻りきらないです。

触るとちょっと冷たいけど、冷蔵庫から出したてほどの冷たさではなくなった状態で焼く。これがポイントです。

塩はいつ振る?タイミングで仕上がりが変わります

室温に30分おいた後で塩を振るのか、それとも冷蔵庫から出して塩を振ってから30分おくのか、これはそれぞれのタイミングで仕上がりが異なります。

  • 先に塩を振って30分おく → お肉から再びドリップが出てくるのでもう一度キッチンペーパーで水分を拭き取らなければなりませんが、塩がしみ込むのでお肉の中まできちんと塩がきいておいしい。
  • 30分おいた後に塩を振る → ドリップがでるのは避けられますが、塩は中まではしみ込みません。

わたしは塩がなじんだビーフのほうが旨味が引き立って好きなので、先に振りました。

なので30分後、もう一度肉の水分を拭き取ります。こしょうは焦げるので今回は先に振りませんでしたが、お好みで仕上げの段階で振ってください。

フライパンで焼くコツと、赤い汁を出さないためのポイント

さて、焼いていきましょう。

今回はフライパンでじっくり焼いていく方法です。

中火でよく温めて少量のオリーブオイルをひいたフライパンに、肉を置きます。

このとき、キッチンタイマーを8分にセットします。

タイマーを見ながら1分ずつ、肉の6面すべてを焼いていきます。

一番大きな面を先に焼きます。裏1分、表1分。

側面も焼きます。長さがあるほうの側面2面を1分ずつ。

フライパンの縁をうまく利用して焼くといいと思います。

これで4面焼けましたね、4分経過です。

まだ焼いていない側面があと2面あります。面積で言ったら一番小さな部分ですが、ここも1分ずつ焼いていきます。

これで6面全部1分ずつ焼きました。

最後にもう一度、一番面積が広い部分に戻して、裏表1分ずつ焼きます。

表面1分。

裏面も1分追加で焼きます。

ここまでで8分経過です。

火から下ろし、そのフライパンのまま15分~20分ほどおいて余熱を通します。このときふたはしません。ホイルもかぶせません。

途中5分の段階で1回だけお肉をひっくり返します。

お肉は手で触れるくらいまで冷めています(この段階では一切肉汁が出ていない…!)

ここで包丁で薄く切り分けてみました。

焼き加減最高!ロゼ色と言われるあのお肉の色になっています。

めちゃくちゃおいしそう!なのですが、よく見てください、あの赤い汁がたくさん出てきていますよね。

まな板のほうにもこの通り。

赤い汁が…!

お肉を冷ましてから切り分けたつもりだったのですが、赤い汁がだいぶ流れ出てしまうことがわかりました。

お肉はふたかたまり買ってきていたので、もう一つのお肉は先ほどと同じように焼いて火からおろし熱いフライパンの上で20分休ませたあと、保存袋に入れて1晩冷蔵庫で冷やしました。

翌日に切り分けてみました。

見てください!赤い汁がほぼ出ませんでした!

これが一晩寝かせたほうのローストビーフです。

切っているときからその違いは歴然!ほとんどあの赤い汁は出ることがなく、冷蔵庫に入れていた間に袋の中に赤い汁がたまっていることもありませんでした(うっすら濡れていたくらい)。

食べたときの差がすごかった。

一晩寝かせたローストビーフは肉汁がすべて肉の中にとどまっているおかげで、肉がしっとりしていて、かんだ瞬間に肉汁がじゅわっとあふれます。その旨味も素晴らしい!

同じスーパーで買ってきたお肉とは思えないほど。

焼いてその日のうちに食べるのであれば、ソースが必要ですが、次の日までしっかり冷やして切ったものなら、ソースはいらないなって感じです。

冷えていると包丁でも薄く切りやすいですし、これはぜひとも食べる前の日のうちに仕込んで、冷蔵庫でしっかり冷やしてから食べるべきだなと思いました。

前日仕込みが◎!「フライパンローストビーフ」レシピ

分量

2~3人分くらい

材料

  • 牛ももローストビーフ用…200~250g
  • 塩…肉の重量の1%
  • オリーブオイル…小さじ1

作り方

1. 牛肉は冷蔵庫から取り出し、キッチンペーパーでドリップを拭き取って全体に塩をまぶし、室温に30分おく。30分後もう一度キッチンペーパーで出てきた水分を拭き取る。

2. フライパンを中火にかけてあたため、オイルをひく。1の肉の6面を全面1分ずつ焼き、最後に一番面積が広い2面を、もう1分ずつ焼く。

3. フライパンに肉をのせたまま火からおろし、そのまま20分おく。5分のところで1回肉を裏返す。

4. 肉が完全に冷めたら厚手の保存袋に入れ、冷蔵庫で一晩おく。

5. 包丁で薄くスライスして盛り付ける。

お好みで柚子こしょうやわさびを添えてどうぞ。

フライパンローストビーフを作るときの極意

  • フライパンでお手軽に作れるサイズ、形、グラムの肉を選ぶ
  • 肉はドリップを拭いてから調理する
  • 塩のタイミングはお好みで先か後か選ぶ
  • 肉は室温に30分おいてから焼き始める
  • 焼いた後は余熱でおくことで中までじっくり火を通す
  • 冷めたら袋に入れて冷蔵庫で一晩寝かすことで肉汁が安定し、赤い汁が出にくくなる

今回、実際に2個同時に焼いて、切り比べ、食べ比べてみて、こんなにも違うものか!と愕然としました。

わかってはいたけど、一晩おくなんてなかなか面倒だしなとちょっと思っていたわたしですが、これからは絶対に一晩おこうと誓いました。

ローストビーフ丼にしてもおいしかったです!

では次回もお楽しみに!!

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