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ありがとうワーナー!「WB」大好き映画ライターが、思い出の作品を語りまくる「“ここから始まった”みたいな映画ばかり」

  • 2025.12.15

2025年末をもって、日本での劇場配給業務を終了することを発表したワーナー・ブラザース映画(以下、ワーナー映画)。日本国内での歴史は、ちょうど100年前の1925年、アメリカに本店を構えるワーナー・ブラザース・ジャパン・インコーポレーテッドの日本の営業所として始まり、以降、映画史に残る数々の名作を配給してきた。その歴史の集大成となるメモリアルイベント「ワーナー・ブラザース映画ファンフェスティバル」が、12月15日から23日(火)まで東京と大阪の2箇所で開催中だ。

【写真を見る】ワーナー愛が爆発!取材のために持ち寄ってくれた、思い出が詰まった当時のパンフレットたち

「ワーナー・ブラザース映画ファンフェスティバル」は現在開催中!
「ワーナー・ブラザース映画ファンフェスティバル」は現在開催中!

MOVIE WALKER PRESSでは、映画ファンの誰もが特別な想いを抱くこの映画祭の開催を記念して、映画ライターの渡辺麻紀と相馬学がたっぷりワーナー映画の魅力を語り合う対談を実施!今回上映される『燃えよドラゴン』(73)から『IT/イット“それ”が見えたら終わり。』(17)までの約50年間のワーナー映画を、上映タイトルを中心に振り返ってもらった。

あれもこれもワーナー映画!あなたのワーナー映画デビュー作はなに?

日本では1979年に公開された『スーパーマン』 [c]EVERETT/AFLO
日本では1979年に公開された『スーパーマン』 [c]EVERETT/AFLO

——まずは、お2人が初めて観たワーナー映画やワーナー映画の原体験的なお話を伺いさせてください。

相馬「僕が初めて映画館で観たのはリチャード・ドナー版の『スーパーマン』ですね。秋田県出身なのですが、都市部から電車…というか汽車で1時間の場所なので、僕の田舎では封切りタイミングでは観られなくて」

渡辺「うちも同じ。私は実家が大分なんだけど、映画館のある大分市まで電車で1時間かかったから」

相馬「そんな映画館事情だったのですが、『スーパーマン』は珍しく僕の田舎でも東京と同時公開だったんですよ。だからすごく鮮明に覚えていて。しかも、当時は二本立て上映が普通でしたが、『スーパーマン』は一本立てで。大作は1本というイメージがあったのと、ちょうど映画好きになったころなので、最初のワーナー映画の思い出はしっかり残っていました。作品的には『スーパーマン』以上に、その後に公開された『マッドマックス』(日本ではワーナー配給)が強烈でしたね。『マッドマックス』の初公開の時って、日本で主題歌つけてるんですよ」

渡辺「え、そうなの?それは知らなかった」

相馬「串田アキラさんが歌ってるんですけど、幸いにも英語だったんで、とりあえずスッと観れました(笑)」

オーストラリア映画が注目されるきっかけとなった『マッドマックス』 [c]EVERETT/AFLO
オーストラリア映画が注目されるきっかけとなった『マッドマックス』 [c]EVERETT/AFLO

渡辺「すばらしいね(笑)。私はなんだろうなぁ…。これはワーナー映画だからみたいに意識していなかったけど、やっぱり自分の認識のなかでは、女性や子ども向けでない映画を作るのがワーナーという印象かな」

相馬「日本で言ったら東映みたいな感じで」

渡辺「そもそもギャング映画からスタートしたスタジオだし」

相馬「なるほど。社風なんですね」

渡辺「当時はスター役者をスタジオが抱え込む時代だった。その時ワーナーが抱え込んでいたのはジェームズ・キャグニーとか、ハンフリー・ボガート。どう転んでも、女性や子ども向けではないという印象で、その流れがいまも根底にはある気がする。だから私好みの映画も多いのかな」

ジェームズ・キャグニー(右)とハンフリー・ボガート(左) 写真は『彼奴は顔役だ!』(39)より[c]EVERETT/AFLO
ジェームズ・キャグニー(右)とハンフリー・ボガート(左) 写真は『彼奴は顔役だ!』(39)より[c]EVERETT/AFLO

相馬「確かにあまり女性映画っぽいのって割と最近までなかった気がします」

渡辺「『ボディガード』が出てきたタイミングかな?そこから少し変わってきた気がします。でも、ケビン・コスナーが一人暮らしする家で、小鍋で作ったスープかなにかを鍋のまま食べるシーンがあって」

相馬「そこだけ東映感がありますね(笑)」

【写真を見る】ワーナー愛が爆発!取材のために持ち寄ってくれた、思い出が詰まった当時のパンフレットたち 写真は渡辺麻紀氏、相馬学氏の私物より
【写真を見る】ワーナー愛が爆発!取材のために持ち寄ってくれた、思い出が詰まった当時のパンフレットたち 写真は渡辺麻紀氏、相馬学氏の私物より

渡辺「それがめちゃくちゃ似合っててすごく印象に残っています。あと、ワーナー映画がちょっと変わった映画を作るなあと感じ始めた作品は、やっぱり『ブレードランナー』が最初かなって思います。確か『シャーキーズ・マシン』と二本立てで…」

相馬「いや『ブレードランナー』は、たしか『ファイヤーフォックス』と二本立てでしたね」

(※編集部註:上映劇場・地域によって二本立ての作品が異なる場合があります)

渡辺「あー、そうか。じゃあなにと二本立てだったんだろう?『シャーキーズ・マシン』はバート・レイノルズが自分で監督していて、結構好きで。拷問シーンみたいなのがあって、そこがなんか異常にねっとりしてて良かった(笑)」

相馬「(クリント・)イーストウッドもそうですけど、やっぱりワーナーはそういうテイストが好きなんですかね(笑)」

『燃えよドラゴン』が上陸!1970年代はブームの火付け役となる作品ばかり

——お話が無限に出てきそうですが、ここからは「ワーナー・ブラザース映画ファンフェスティバル」での上映作品を中心に、同時期に公開された作品を振り返っていければと思います。まずは1970年代から、1973年公開の『燃えよドラゴン』です。

渡辺「『燃えよドラゴン』は相馬くんの映画よね(笑)」

相馬「大好きですけれど、公開された時はまだ小学2年生くらいだったので、後追いの世代です。ただ、年上のいとこが映画館から帰って来たら、すっごいおもしろかったらしくて」

渡辺「マネしてた?」

相馬「してました(笑)。コタツの足に黒いビニールテープをぐるぐる巻いてチェーンで繋いでヌンチャク作って。それを見て、『そんなにおもしろかったんだ!』って思ったのを覚えています」

『燃えよドラゴン』の公開前にこの世を去ってしまったブルース・リー Enter the Dragon [c] 1973, Renewed [c] 2001, Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
『燃えよドラゴン』の公開前にこの世を去ってしまったブルース・リー Enter the Dragon [c] 1973, Renewed [c] 2001, Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

渡辺「あれはマネしたくなるよね。私は名古屋で観たかな。コスタ=ガヴラス監督の『告白』と二本立てだった記憶があって。なんでこの2本なんだろう…って思ったのをすごく覚えています」

相馬「不思議な二本立てで思わぬ映画に出会うこともありますよね。『燃えよドラゴン』は、そのあと少し経ってから観たのですが、やっぱりおもしろかった。いま冷静に考えてみると『燃えよドラゴン』が公開された時、もうブルース・リーは生きていなかったんですよね」

渡辺「これがヒットしてほかの作品が発掘されていったのよね」

相馬「日本にもカンフー映画ブームが来て。当時はカンフーではなく空手映画と言ってましたが」

渡辺「ジャッキー・チェンなんかもそのおかげというか…」

相馬「しばらくはブルース・リーの遺作があったけれど、もうないぞ!って時にジャッキー・チェンが出てきてくれたから(笑)」

——1970年代の作品でほかに思い出深い作品はありますか?

渡辺「それで言うと、私は『エクソシスト』かな。公開の時に観てるんだけど、もう前評判がすごくて。でもそんなにどこが怖いのかという感じで、いまいちダメだった。だけど、あとで観直したらすっごく良くて。なんか若いころに観るのと年を取って観るのと違うんだなと思った映画ですね。あとこれって確かオカルト映画の走りでしょ?『オーメン』とどっちが先?」

オカルト映画の代表作ともいえる『エクソシスト』 [c]EVERETT/AFLO
オカルト映画の代表作ともいえる『エクソシスト』 [c]EVERETT/AFLO

相馬「『オーメン』が後でしたね」

渡辺「『燃えよドラゴン』はカンフー映画の走りで、このあとに出てくる『タワーリング・インフェルノ』もパニック映画の走りよね。だから“ここから始まった”みたいな、キャッチーな作品が、ワーナー映画には結構あるんじゃないかなと思います」

相馬「ほかにも(サム・)ペキンパーの映画も結構ワーナーから出ていますよね。『ダーティーハリー』『狼たちの午後』『スケアクロウ』『時計じかけのオレンジ』…なんかも印象深いですよね。こういったラインナップも今回の上映でぜひ観たかった」

渡辺「私は(スタンリー・)キューブリックなら『バリー・リンドン』を入れてほしかったな」

SF映画の概念を根本的に変えてしまった『ブレードランナー』の衝撃

——ワーナー映画はどの年代にも映画ファンにとって特別な作品だらけで、セレクトするのもひと苦労しそうですね。続いて1980年代、今回上映されるのは1982年公開の『ブレードランナー』です。

相馬「公開当時はそんなにヒットしなかったんですよね」

渡辺「確か3週間くらいで終わっちゃって、興行的にはうまくいかなかった。けれど、『ブレードランナー』以前と以降ではSF映画が180度変わっちゃったよね。SF映画の概念を根本的に変えてしまった。『ブレードランナー』が出るまでのSF映画は綺麗で、とても“クリーンな未来”だったけど、リドリー・スコットは“地続きの未来”を作った。“近未来”や“世界観”という言葉がでてきたのもここからだった気がします。

のちにリド様(リドリー・スコット)にインタビューしたら、『私としては自分が綺麗だと思うものを全部差し出したのだけど、みんなから汚いやらなにやらいろいろと言われた』とか言っていました。でも、『後になってすばらしいとか言い出して適当だよ』って(笑)。そういう意味でも文字どおりエポックメイキングな作品で、SF映画に対する影響力は半端なかったと思います。やっぱり、そういう作品をちゃんと世に送ってるのが、やっぱり監督を重視していて作家性のあるワーナー映画なのかな」

『ブレードランナー』でデッカードを演じたハリソン・フォード [c] 1982 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
『ブレードランナー』でデッカードを演じたハリソン・フォード [c] 1982 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

相馬「僕は実は公開されてから結構あとに観て、上京して初めて名画座で観ました。でも最初は正直、おもしろさがわからなくて…」

渡辺「いくつくらいの時?」

相馬「20歳くらいだったと思います。飯田橋の名画座で観たんですよね。ただ最初はストーリーを追うのに精一杯だったけれど、何度か観ると、やっぱりすごい映画だ!と思って」

渡辺「わかります。私は『スターログ』(アメリカのSF映画雑誌。日本語版も発行されていた)で予習もしっかりしていったから、ストーリーは大丈夫だったけれど、圧倒されたシーンはいっぱいあって。デッカード(ハリソン・フォード)が蛇の鱗を街の鑑定士に見せるエピソードがある。彼女が顕微鏡みたいなので覗くと、その鱗の全部にシリアルナンバーが入っていて、『すごいぞ、これ!』ってクラクラきちゃった。最初に感動したのがここで、『なんなのこのディテールは。この監督すごくない?』と思って、リドリー・スコットの名前を覚えたという思い出があります」

今回上映されるバージョンは『ブレードランナー ファイナル・カット』 [c] 1982 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
今回上映されるバージョンは『ブレードランナー ファイナル・カット』 [c] 1982 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

——1980年代には、『卒業白書』『グレムリン』『カラーパープル』『グーニーズ』『リーサル・ウェポン』といった作品もありました。

渡辺「私の『グレムリン』(笑)。1984年の年末公開で、『グレムリン』『ゴーストバスターズ』『ゴジラ』の“スリーG”の年だった」

相馬「『カラーパープル』は、オムニバスの『トワイライトゾーン 超次元の体験』除くと、(スティーヴン・)スピルバーグの初ワーナー作品ですね。明るく楽しいではない、スピルバーグらしからぬ映画でした。やっぱりワーナーは、ちょっと硬派な会社って感じがしますね」

渡辺「その後の『太陽の帝国』もよかったですね。ほかにも1980年代だと、ティム(・バートン)くんの『ビートルジュース』とかも」

相馬「1989年には『バットマン』もやってきます」

ブルース・ウェイン/バットマン役を演じたマイケル・キートン [c]EVERETT/AFLO
ブルース・ウェイン/バットマン役を演じたマイケル・キートン [c]EVERETT/AFLO

渡辺「当時試写に行ってもらったグッズの巾着、いまだに使ってますよ。あと『ロジャー・ラビット』!」

相馬「このころはディズニー映画を、日本ではワーナーが配給していましたね。『リトルマーメイド』とか『美女と野獣』とかも」

『ボディガード』がメガヒット!骨太な映画も目立つ1990年代のワーナー映画

——(記事に収まりませんでしたが)非常に多くのタイトルが挙がったところで、続いて1990年代になります。今回2本上映がありまして、1本は冒頭でお話にも出ていました1992年公開の『ボディガード』 です。

相馬「『ボディガード』は映画もヒットしたけれど、サントラもバカ売れしましたね。確か歴史上最もサントラ盤が売れた映画で、4000万枚売れたとか」

渡辺「テイラー・スウィフトでリメイク版の話も出ていたけれど、さっき話したように、鍋からそのままスープを飲む、あのシーンが似合う俳優はいるのだろうか…というのが気がかりです。あの当時、私、ケビン・コスナーが大好きで。1番好きなのは『さよならゲーム』(日本ではワーナー配給)。あれもトランクス姿でアイロンがけする姿が良すぎて。ケビン・コスナーはこういう日常のシーンをすごくすてきに演じると思いました。私の恋愛映画のベスト2のうちの1本です」

相馬「2本しかないんですね(笑)」

渡辺「もう1本は『バットマン リターンズ』!」

相馬「恋愛映画と言っていいのかどうかは置いておいて…」

渡辺「ティム(・バートン)くんのセンスが爆発しているところがすごく好き。仮面舞踏会のシーンとか、デートを誘うシーンとか、たまりません」

相馬「話を戻してケビン・コスナー繋がりで言うと、イーストウッドの『パーフェクト・ワールド』は、ワーナーブランドがいい形に住み着いていましたね。イーストウッドが巨匠となり始めたのもこのころからでした」

渡辺「そうそう。それこそ『許されざる者』とか『ホワイトハンター ブラックハート』とか」

「最後の西部劇」と称された『許されざる者』 [c]EVERETT/AFLO
「最後の西部劇」と称された『許されざる者』 [c]EVERETT/AFLO

相馬「その前には自身が主演しない『バード』があって。求められる俺を演じる映画と、自分の撮りたい映画のバランスを取っている」

渡辺「それステキ。確かにそうだね」

相馬「そうしないとやりたい『バード』とかを撮らせてもらえないだろうからね」

渡辺「でも撮らせてくれる、すばらしいなワーナー。でも、やっぱり骨っぽい映画が多いよね。『JFK』とかも大好き」

相馬「オリバー・ストーンにも、3時間超えの硬派な大作をちゃんと撮らせてますからね」

――そして1990年代でもう1本上映されるのが、1999年公開の『マトリックス』です。

社会現象を巻き起こしたSFアクションの金字塔『マトリックス』 [c] 1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited. [c] 1999 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
社会現象を巻き起こしたSFアクションの金字塔『マトリックス』 [c] 1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited. [c] 1999 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

渡辺「『ブレードランナー』もそうだけど、『マトリックス』もSF映画に対する影響力、半端なかったです」

相馬「やっぱり初めて観た時は新鮮というかショッキングでした。こんな表現できるんだっていう」

渡辺「そうそう。あのサイバー空間を映像する感じが、当時はあまりなかったのかな」

相馬「オンラインっていう概念も一般的じゃなかったから」

渡辺「“インターネット”っていう考え方は、やっぱり『ターミネーター』(日本ではワーナー配給)の時に、(ジェームズ・)キャメロンが“スカイネット”として出して、あれが私は映画で初めてだったような印象があります」

相馬「ただ『マトリックス』は、電話線を伝っていろんなことができるっていう発想を映画で表現したのが、斬新だったなと」

バレットタイムと呼ばれるスローモーション映像も大流行した『マトリックス』 [c] 1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited. [c] 1999 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
バレットタイムと呼ばれるスローモーション映像も大流行した『マトリックス』 [c] 1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited. [c] 1999 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

渡辺「ああ、そうかもね。ネットの表現をちゃんとビジュアル化した映画で、とてもかっこよかったし、おもしろかった。しかもそれがオリジナルの物語ですからね」

相馬「そして1999年は、キューブリックの『アイズ ワイド シャット』が完成した年でもありました」

渡辺「そのあとに『A.I.』があったね。アメリカではあまりヒットしなかったけど、日本では興収が90億以上いった。ここからワーナーの黄金期がしばらく続くイメージがあります。2000年代だと『ハリー・ポッター』が始まって、あとチャン・イーモウの『HERO』とかもワーナーがやってました」

「ハリー・ポッター」シリーズがついにスタート!大ヒット作が続出した2000年代

——いま出てきた「ハリー・ポッター」で言うと、今回上映されます2001年公開の『ハリー・ポッターと賢者の石』は、日本の興行収入が203億円と日本で最もヒットしたワーナー映画でした。続くシリーズも軒並み大ヒットとなっています。

200億を超える大ヒットを記録した『ハリー・ポッターと賢者の石』 HARRY POTTER characters, names and related indicia are trademarks of and [c] Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights [c] J. K. Rowling. [c] 2001 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
200億を超える大ヒットを記録した『ハリー・ポッターと賢者の石』 HARRY POTTER characters, names and related indicia are trademarks of and [c] Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights [c] J. K. Rowling. [c] 2001 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

渡辺「クリス・コロンバスから始まって」

相馬「3作目からはアルフォンソ・キュアロン」

渡辺「そこがすごくセンスいい!」

——4作目はマイク・ニューウェル監督で、5作目以降はデヴィッド・イェーツ監督で固定になります。

渡辺「ワーナーがデヴィッド・イェーツを気に入っている感はすごくあるよね(笑)。私は3作目のキュアロンから監督の色が出てきて、シリーズがおもしろくなった気がします。なんだろう。ただ能天気な話ではなくて」

相馬「最終的にはダークな話になっていって」

渡辺「『ハリー・ポッター』って8作ぐらいつくられてるでしょ?大体シリーズって続くと、だんだんクオリティが下がってきたり、パワーが下がってきたりするけど、これは最後まで同じテンションで続いた。その勝因をプロデューサーのデヴィッド・ハイマンにインタビューしたら、『ワーナーさんのおかげです』って言ってて。でもそれ聞いた時、そうかもねって思った。これまでのワーナーの骨太な監督主義って、つまり作品主義というわけで。そのDNAが『ハリー・ポッター』にもちゃんとあるんですよ」

キャストの成長を見守ることも「ハリー・ポッター」シリーズの醍醐味 HARRY POTTER characters, names and related indicia are trademarks of and [c] Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights [c] J. K. Rowling. [c] 2001 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
キャストの成長を見守ることも「ハリー・ポッター」シリーズの醍醐味 HARRY POTTER characters, names and related indicia are trademarks of and [c] Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights [c] J. K. Rowling. [c] 2001 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

相馬「間違いないですね」

——2000年代の作品からは2008年公開の『ダークナイト』と2009年公開の『グラン・トリノ』も上映されます。

相馬「『ダークナイト』はシリーズ2作目だったけれど、突然変異のように評価が高くなって。確かに(クリストファー・)ノーランは『メメント』あたりからいい監督だと思っていたけれど、いきなり『ダークナイト』で巨匠になりましたよね」

渡辺「それでも私はティム・バートン版が大好き(笑)」

相馬「(笑)。でも『バットマン』としても『ダークナイト』のストーリーは結構硬派で」

ヒース・レジャーによるジョーカーの演技がが高く評価され、アカデミー賞助演男優賞も受賞 BATMAN and all related characters and elements are trademarks of and [c] DC Comics. [c] 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
ヒース・レジャーによるジョーカーの演技がが高く評価され、アカデミー賞助演男優賞も受賞 BATMAN and all related characters and elements are trademarks of and [c] DC Comics. [c] 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

渡辺「実録映画みたいだったよね。ノーランといえば2000年代から2020年の『TENET テネット』までずっとワーナー。いまは『オッペンハイマー』とか『オデュッセイア』とかわかりやすい映画作っているけど、ワーナー時代はわけのわからない映画ばかり作っていて(笑)。『インターステラー』『インセプション』なんて、ワーナー以外の会社では企画が通らないような内容だなって思わずにはいられない」

相馬「確かに。『インセプション』で特に思ったのは、1回観ただけだと理解できないけれど、だからといってつまらないわけじゃないということ」

渡辺「彼の映画ってだいたいそうじゃない?」

相馬「だから、何度も観ちゃうんですよね。商売上手(笑)。そして『グラン・トリノ』、確かこのころのイーストウッドは、役者を引退して監督に専念するような話をしていましたね。近年のイーストウッドだったらもう間違いなく代表作です」

孤独な老人と少年の心の交流を描く『グラン・トリノ』 [c] 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
孤独な老人と少年の心の交流を描く『グラン・トリノ』 [c] 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

渡辺「ほかにも、愛が爆発してた『ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション』に、ティムくんが久々にワーナー映画に帰ってきた『チャーリーとチョコレート工場』などなど…思い出深い作品が多いです。あと『300 スリーハンドレッド』も大好きでした」

相馬「『300 スリーハンドレッド』はめちゃくちゃ燃えましたね!」

邦画作品が数多く製作、記憶にも新しい2010年代のワーナー映画

——そして2010年代の上映作品は、お話にも出てきた2010年公開の『インセプション』、2015年公開の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と『マイ・インターン』、2017年公開の『IT/イット“それ”が見えたら終わり。』。邦画からは2012年の『るろうに剣心』と2017年の実写版『銀魂』も上映されます。

30年ぶりのシリーズ最新作となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 [c] 2015 Warner Bros. Feature Productions Pty Limited. All rights reserved.
30年ぶりのシリーズ最新作となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 [c] 2015 Warner Bros. Feature Productions Pty Limited. All rights reserved.

相馬「やっぱり近年の作品の上映が多いですね。このなかだとダントツで『怒りのデス・ロード』です。これはもう問答無用で映画館に行くべきです」

渡辺「じいちゃん(ジョージ・ミラー監督/公開当時70歳)の映画とは思えないくらいパワフルでしたよね」

相馬「最初に話したとおり、僕はもともと1作目に思い入れが強いので。シリーズ復活ってだけで、テンション上がりました」

渡辺「私がシリーズで一番好きなのは2作目。2作目は神話が生まれるような瞬間を見届けるような気持ちがあって。伝説のヒーロー誕生か…みたいな雰囲気がすごく好きで『かっけぇ!』って思ったかな。とにかくメルギブ(メル・ギブソン)がかっこいい!」

3作目まで主人公マックスを演じたメル・ギブソン 写真は『マッドマックス2』(81)より[c]EVERETT/AFLO
3作目まで主人公マックスを演じたメル・ギブソン 写真は『マッドマックス2』(81)より[c]EVERETT/AFLO

相馬「やっぱり『マッドマックス』っていうくらいだから、シリーズでマックスはかなり思い切ったこともやるし、クレイジーなこともやるけれど、『怒りのデス・ロード』では一番まともに見えました。全員“マッド”ではあるけど」

渡辺「わかる!むしろマックスがフュリオサに負けてる感じ、しなかった?」

相馬「そうそう!負けてるんですよ。マックスだけ、なんでこんなに情けないんだろう…みたいなところがあるからこそおもしろいというのもあって」

渡辺「わかります!私が感心したのはA地点からB地点に行くだけの映画を作ってしまうこと。それだけで十分おもしろいのはすごいって思います」

相馬「『IT/イット“それ”が見えたら終わり。』はどうでしたか?やっぱりちゃんとスティーヴン・キングの原作を丁寧に撮れば、これだけおもしろい映画になるっていう」

スティーヴン・キングの同名小説を映画化した『IT/イット“それ”が見えたら終わり。』 [c] 2017 Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC. All Rights Reserved.
スティーヴン・キングの同名小説を映画化した『IT/イット“それ”が見えたら終わり。』 [c] 2017 Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC. All Rights Reserved.

渡辺「大好き。スティーヴン・キングはラストが弱いって言われていて。小説を読んでいると意外とラストはあんまり覚えていないんです。でも、映画ではラストがすごくすばらしくて」

相馬「原作と変えていますよね」

渡辺「あ、このラストは最高と思って。おそらくスティーヴン・キングも『なんで俺はこれを思いつかなかったんだろう』って思っているはず。本当にあのラストはすばらしい。確か、この年のベスト1に入れたはず」

相馬「『IT』がスティーヴン・キング的だなと思うのは、ジュブナイルに怖さが混ざっていているところですよね。最後の洋画配給作品になった『WEAPONS/ウェポンズ』にもそんなところを感じました」

ワーナー最後の洋画配給作品『WEAPONS/ウェポンズ』 [c]2025 Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved
ワーナー最後の洋画配給作品『WEAPONS/ウェポンズ』 [c]2025 Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved

ワーナー映画がなくなるわけではない!2026年以降も注目作が公開予定!

——駆け足で約50年の歴史を振り返りつつ、思い出と共にたくさんのお話をありがとうございました。最後に改めてワーナー ブラザース ジャパンが劇場配給業務を終了することへの想いを伺いたいです。

映画ファンにはなじみ深い「WB」のロゴ [c]EVERETT/AFLO
映画ファンにはなじみ深い「WB」のロゴ [c]EVERETT/AFLO

渡辺「いま思い返すと、私の年間ベスト1はワーナー映画がかなり多い気がします。直近だと、今年は間違いなく『スーパーマン』だし、去年は『ビートルジュース ビートルジュース』。そして作品はもちろん、試写室にまで思い出が詰まっているので、それも含めてやっぱり寂しいですね。ワーナーの試写室は本当にすばらしくて、ミニシアターとしても通用するくらい。スタジアム式で、スクリーンもとても大きくて…」

相馬「浜松町にあったころからワーナーの試写室はすばらしかったですよね。やっぱり慣れ親しんできた会社ですし、単純に寂しいです。当然のようにあると思ってたのがもうなくなっちゃうっていう」

——とはいえ、2026年以降もワーナー映画は『嵐が丘』を皮切りに東和ピクチャーズでの配給は決定していますし、DCの最新作『スーパーガール』やアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督×トム・クルーズの新作映画などの製作も予定されています。ワーナー映画作品を楽しめるという点では変わらないのですが、お2人が期待していることはありますか?

渡辺「最近、新しい監督がたくさん出てきている気がしています。ワーナー映画に骨っぽい作品が多いのは、やっぱり監督を重視していて作家性を大事にしているからなんですよね。そこも楽しみにしていきたいです」

相馬「考えてみると(マーティン・)スコセッシもキャリアの最初はワーナー。監督をちゃんと養成できるスタジオということで、今後も期待しています!」

「ワーナー・ブラザース映画ファンフェスティバル」は現在開催中!
「ワーナー・ブラザース映画ファンフェスティバル」は現在開催中!

取材・文/タナカシノブ 構成/MOVIE WALKER PRESS編集部

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