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批評家が選ぶ、『エルム街の悪夢』シリーズランキング!誕生から40年経っても色褪せないホラー映画の金字塔の“フレッシュ”なおすすめ10選

  • 2025.12.14

夢のなかに現れて人を襲い、襲われた人物は現実世界でも死に至る。「13日の金曜日」シリーズのジェイソンや「ハロウィン」シリーズのマイケル・マイヤーズと同じ“殺人鬼”に括られる存在でありながら、ひときわ異彩を放つフレディ・クルーガーの恐怖を描いたのが、1980年代を代表するホラーシリーズ「エルム街の悪夢」。その記念すべき第1作の日本公開から、2026年でちょうど40年を迎える。

【写真を見る】批評家の反応はイマイチでも、ファンに愛されシリーズ化!もっとも高い評価を獲得したのはやっぱりあの作品

夢のなかに現れる殺人鬼フレディ・クルーガーの恐怖を描く本シリーズ(画像は『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃』より) [c]Everett Collection/AFLO
夢のなかに現れる殺人鬼フレディ・クルーガーの恐怖を描く本シリーズ(画像は『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃』より) [c]Everett Collection/AFLO

これまで複数の続編が製作されたほか、テレビシリーズ化やクロスオーバー、リメイク版と、あらゆるかたちで展開してきた一方で、批評的にはどれもいまひとつというイメージが強いこのシリーズ。実際のところ、作品評価はどうなのだろうか?本稿では、映画批評を集積・集計する「ロッテン・トマト」を参考に、これまで製作された「エルム街の悪夢」シリーズ作品を評価の高い順にリストアップ。その魅力をあらためて深掘りしていきたい。

「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。

好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されるように。映画館に掲示されたポスターに堂々と輝くトマトのマークを見たことがある方も多いだろう。

【写真を見る】批評家の反応はイマイチでも、ファンに愛されシリーズ化!もっとも高い評価を獲得したのはやっぱりあの作品 [c]Everett Collection/AFLO
【写真を見る】批評家の反応はイマイチでも、ファンに愛されシリーズ化!もっとも高い評価を獲得したのはやっぱりあの作品 [c]Everett Collection/AFLO

それでは、「エルム街の悪夢」シリーズの“フレッシュ”10傑を挙げていこう。

94%フレッシュ『エルム街の悪夢』(84)

78%フレッシュ『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』(94)

68%フレッシュ『エルム街の悪夢3 惨劇の館』(87)

56%ロッテン『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃』(88)

46%ロッテン『エルム街の悪夢2 フレディの復讐』(85)

42%ロッテン『フレディVSジェイソン』(03)

38%ロッテン「Freddy’s Nightmares」(88-90)

32%ロッテン『エルム街の悪夢5 ザ・ドリーム・チャイルド』(89)

23%ロッテン『エルム街の悪夢 ザ・ファイナルナイトメア』(91)

14%ロッテン『エルム街の悪夢』(10)

ウェス・クレイヴンにレニー・ハーリン…参加監督は超豪華!?

テレビシリーズも含めてちょうど10タイトル、そのうち“ロッテン”になってしまったのが7作品。これはジャンル映画、特に娯楽色の強いホラー映画の宿命のようなものだろう。そのなかでもっとも高い評価を獲得したのは、やはりシリーズ第1作の『エルム街の悪夢』。94%フレッシュと一本だけ抜けた高評価となっている。

夢のなかに現れるフレディと、高校生ナンシーの最初の戦いが描かれた『エルム街の悪夢』 [c]Everett Collection/AFLO
夢のなかに現れるフレディと、高校生ナンシーの最初の戦いが描かれた『エルム街の悪夢』 [c]Everett Collection/AFLO

親友同士の高校生、ティナ(アマンダ・ワイス)とナンシー(ヘザー・ランゲンカンプ)は同じ悪夢に悩まされていた。ある日ティナが無惨に殺され、夢のなかに出てくる殺人鬼の正体がかつてこの町で子どもを殺して処刑されたフレディ(ロバート・イングランド)という男だと知ったナンシーは、フレディと対決するため夢のなかへと乗り込んでいく。ナンシーのボーイフレンドのグレン役として、あのジョニー・デップが映画デビューを飾ったことでも知られている。

この第1作は、制作費180万ドルに対し北米興収2550万ドルを記録する大ヒットに。以降のシリーズ作品も第4作『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃』の北米興収4936万ドル(制作費1300万ドル)を筆頭に興行的な安定感は抜群。批評家からの評価は伸び悩んでも、ファンからの人気が衰えることなく、興行的成功を収めつづけたことでシリーズが存続してきたのだろう。

ウェス・クレイヴン脚本の『エルム街の悪夢3 惨劇の館』でナンシーが再登場!新たな主人公はパトリシア・アークエット [c]Everett Collection/AFLO
ウェス・クレイヴン脚本の『エルム街の悪夢3 惨劇の館』でナンシーが再登場!新たな主人公はパトリシア・アークエット [c]Everett Collection/AFLO

第1作と第3作の『エルム街の悪夢3 惨劇の館』、そして番外編でもある第7作の『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』に共通しているのは、シリーズの生みの親であるウェス・クレイヴン監督(第3作では脚本・製作総指揮)と、ヘザー・ランゲンカンプが参加していること。特に第7作は、クレイヴンが自らメガホンをとりながら“ウェス・クレイヴン役”として出演し、『エルム街の悪夢』をリメイクしようとして現実世界にフレディが現れるというメタ展開が繰り広げられる興味深い一本となっている。

長い年月にわたって展開するシリーズ作品、とりわけそれがホラージャンルとなると、どうしてもマンネリ化した続編になりがち。そうしたなかで第7作のような斬新な切り口を選んだり、第3作や第4作のように前作の主人公が登場しながら、新たな主人公にバトンが渡される“継承”が繰り広げられてきたりと、常に目新しさを追求してきたことがこのシリーズの最大の特徴といえよう。

クレイヴンとランゲンカンプがシリーズにカムバックを果たした『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』 [c]Everett Collection/AFLO
クレイヴンとランゲンカンプがシリーズにカムバックを果たした『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』 [c]Everett Collection/AFLO

それに加えて、案外見落とされているのは参加してきた監督たちの豪華さだ。先述したクレイヴン監督をはじめ、第2作は後に『ヒドゥン』(88)などB級映画の名手として名を馳せるジャック・ショルダー監督、第3作は後にジム・キャリー主演の『マスク』(94)などを手掛けるチャック・ラッセル監督。そして第4作は『ダイ・ハード2』(90)や『クリフハンガー』(93)のレニー・ハーリン監督。

さらに第5作のスティーヴン・ホプキンス監督は『プレデター2』(90)でメガホンをとり、社会現象を巻き起こしたドラマシリーズ「24 -TWENTY FOUR-」のメイン監督の一人としても名を連ねた。第6作のレイチェル・タラレイは、「ドクター・フー」などテレビドラマをメインにしながら現在も第一線で活躍を続けている。ジャンル映画ファンから愛される個性的な監督たちを輩出した点でも見逃せないシリーズといえよう。

2010年のリメイク版は大失敗…ファンを満足させるリブートの実現はいつやってくるのか [c]Everett Collection/AFLO
2010年のリメイク版は大失敗…ファンを満足させるリブートの実現はいつやってくるのか [c]Everett Collection/AFLO

2010年のリメイク版が興行的・批評的にも大失敗したことで、さらなるシリーズ続行の計画は棚上げ状態。何度か新作の開発が行われるも実現には至らず、2015年にはクレイヴンもこの世を去った。また、シリーズを手掛けてきたニュー・ライン・シネマは「死霊館」ユニバースに注力するために新リメイク計画を保留にすることを2018年に表明。しかしその「死霊館」ユニバースも先日完結を迎えたので、そろそろ順番が来てもおかしくないはずだ。

ランゲンカンプはここ数年、「続編が作られるならばナンシー役を再演したい」という意欲を何度も示しているのに対し、フレディ役のロバート・イングランドは実写版での復帰には否定的。しかし最近になって、「アニメ化されるならフレディ役を演じてもいい」とのコメントも。さまざまな名作ホラーフランチャイズがよみがえっている近年。『エルム街の悪夢』の本格的な復活はあるのか、今後の動向に注目していきたい。

文/久保田 和馬

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