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誰もが知る昔話や逸話を、ふてぶてしくも愛らしい猫たちでゆる〜く再構築! クスッと笑えて癒やされる、猫好き必見の4コマパロディ【書評】

  • 2025.12.14

【漫画】本編を読む

もしも、“猫”があの物語に登場したら? 『ねこむかしばなし』(ぱんだにあ/KADOKAWA)は、誰もが知る昔話を、猫を軸に再構築したパロディ4コマ。Youtubeのアニメも好評の人気作品だ。

「桃太郎」や「シンデレラ」といった昔話や童話、『走れメロス』などの小説、「一休さん」、「ソクラテス」など偉人たちの逸話まで、誰もが知る話に、ふてぶてしくも愛くるしい猫たちが参戦。彼らの存在が物語の流れを変えてしまい、自然と笑みがこぼれる展開を生み出していく。

作中に登場する猫たちは、単なるデフォルメキャラにとどまらず「猫の生態をよく知っている人が描いた猫」としての表現が光る。猫ならではの気まぐれな行動が物語に盛り込まれており、猫と暮らした経験がある読者ほど「わかる!」と膝をたたいて共感できるはずだ。

なおかつ本作は、「物語の構造を崩して遊ぶ」パロディ作品としても非常に巧みだ。昔話や童話にありがちな勧善懲悪の展開や教訓が、猫の自由気ままな言動によってあっさりと裏切られてしまうのだ。しかもそれがシュールなようでいて、社会の本質をついていたりするのが面白い。よく知る話だからこそ、そのズレに笑いと知的な快感を覚える読者も多いだろう。2025年10月に発売された第4巻でもおなじみの物語が「猫展開」されており、「さるかに合戦」では蟹の代わりに猫が登場。猿からおにぎりと柿の種との交換を持ちかけられるが……。

脱力感がクセになるかわいらしいイラストと、4コマ形式でテンポよく進んでいく構成で、ちょっとした空き時間に気軽に手に取れるのも大きな魅力。

とにかく、小難しいことは置いておいて、ゆるくて自由奔放な猫を見ているだけで気持ちがほぐれること間違いなしの本書。仕事に疲れ、ただただ猫に癒やされたいという時にもおすすめの一冊である。

文=坪谷佳保

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