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【台北で見つけるおしゃれな台湾土産】茶農家出身デザイナーの店主が厳選した、茶葉・茶器・ウェアに出会える店

  • 2025.12.13

静かな住宅街に佇む、センスあふれるライフスタイルショップ

台北市の南部に位置するMRT六張犁駅。その周辺を観光客が訪れる機会はあまり多いとは言えませんが、最近は素敵なカフェやレストランが増えており、注目されつつあるエリアです。

駅から少し歩いた先の路地を曲がると、閑静な住宅街にライフスタイルショップ「清山寶珠」が現れます。

グリーンが置かれ、外観から心地よさが伝わってくる店。

築60年という趣ある集合住宅の1階に位置し、レトロでかわいいタイルが敷き詰められた店内は、まるでギャラリーのような空間です。

手前が茶器などの陶芸品、奥が服飾品のコーナーになっています。

店主のルビーさんは、国際的なインテリアデザイン会社でシニアデザイナーとして働いていた経歴をもちます。

柔和な笑顔が素敵なルビーさん。

ルビーさんの実家は台湾北部の茶どころ、坪林の茶農家。清らかな水と土に恵まれた山間部に位置し、自然農法で包種茶や紅茶などを栽培しています。

そのほか、親戚や友人から仕入れた台湾高山茶や紅烏龍茶なども扱っており、いずれもルビーさんが手がけたパッケージに入っています。値段が手ごろなのもうれしいところです。

今後は、布の袋にラベルを貼りつけた包装に変更する計画もあり。ちなみに、清山は父親の名前で、寶珠は母親の名前。家族愛が感じられるブランド名です。

また、ルビーさんの審美眼に適った台湾人陶芸家の茶器もセンス良く並べられています。

コレクション欲が高まる陶器ブランド「白花花」の作品。

ルビーさんの茶器選びの基準は、とてもシンプル。作家の知名度にかかわらず、「普段の暮らしの中で使いやすく、そして長く使えるもの」というわかりやすいものです。渋さが光る伝統的な茶器とは一線を画した、モダンでスタイリッシュなものが多く、実用性に富んでいるのも魅力の一つです。

ちなみに私自身、コーディネーターという仕事をしていると、台湾人の現代作家の茶器を見てみたいというリクエストをよくもらいます。そんなときにおすすめするのも「清山寶珠」です。

窓際にも素敵な茶器がずらりと並んでいます。

そのほか、自ら愛用しているという服飾類やアクセサリーも販売。綿や麻素材の着心地のよい服が多く、なかにはちょっぴり斬新な台湾ブランド「川衣WEAR BEING」の商品もあります。

こちらは「服は川のように流動的である」というコンセプトで、人体の構造に合わせて流れるような形で設計されており、個性が光る作りとなっています。

シンプルながらも個性的なデザインの服。

さらに、ファブリックラボラトリー「nafl(ナーフル)」の靴下も。こちらは靴下ブランドの「+10・テンモア」がファブリックの研究・実験に注力するために立ち上げた新プロジェクト。芭蕉の繊維を使っていたり、葛飾北斎の作品からインスピレーションを得ていたり、個性的ながらも履きやすい靴下を手に入れられます。

独自の世界観が繰り広げられている「nafl」の靴下。

店では毎月、さまざまなアーティストの展覧会が催されているので、何度訪れても飽きることはありません。

なお、手づくりの作品が多いので、在庫がなくなった場合、同じものが手に入るとは限りません。一期一会の出会いを大切に、旅の思い出になる、とっておきのお土産を手に入れましょう。

雑味のない香りと味わいが好評の2種類の包種茶

◆文山包種茶 400元 ◆熟香包種茶 400元

左側の2つが包種茶。右側は台湾高山茶で、こちらも人気です。

ルビーさんの実家で栽培されている茶葉。包種茶は低発酵の烏龍茶で、蘭の花のような香りが特色。ふわっとした軽い飲み心地がたまりません。

また、やや発酵度が高めのめずらしい「熟香包種茶」もあり、こちらはフルーツのような香りがします。試飲もできるので、お好みで選んでみましょう。

上質な紅茶のような風味の東方美人茶と紅烏龍茶

◆東方美人茶 480元 ◆紅烏龍茶 550元

中身がお茶とは思えない、クールなパッケージに入っています。

東方美人茶は、紅茶に近い発酵度の高い烏龍茶です。夏場に生産され、ウンカが茶葉を咬むことから蜜のような独特な香りをもちます。

一般的には台湾北西部の新竹県や苗栗県で栽培されていますが、ここで扱うのは坪林産の東方美人茶。「金萱」という品種の茶樹で作ったもので、リーズナブルなのもうれしいところ。繊細な香りと深みのある味わいにうっとりするはずです。

また、ここ最近、台湾で注目されている茶葉と言えば、台東県の鹿野で2008年から生産が始まった紅烏龍茶です。

これは烏龍茶の製茶方法と紅茶の発酵技術を融合させたもので、フルーティーな香りとまろやかな喉越しが特色。店では数々の賞を受賞している「博雅齋」の紅烏龍茶を扱っています。いつもとはちょっと違ったお茶を味わってみたいという方におすすめです。

すっきりと上品なデザインの「水口」の茶器

◆「水口」の急須 4800元、茶海 1500元

取材時にルビーさんも使っていた「水口」の茶器。

こちらは、陶芸家・王文德さんが人材育成のために立ち上げた工房「水口」の作品。薄くて滑らかな肌触りで、使い勝手が良いとのこと。淡い色合いで、優美な美しさを放っています。

なお、茶海とは急須で淹れたお茶を一度移し、味や濃さを均一にするための器です。

台湾で人気上昇中。新進気鋭の作家の作品

◆「白花花」の小物入れ 3980元、急須 12000元 ◆「studi.o17」の茶針 2800元(純銀、黃銅入りは2000元)

中華風の女の子が描かれた小物入れ。

こちらは人気の若手陶芸家・陳迦恩さんが主宰する陶芸ブランド「白花花」の作品。「遊歴山水の楽しみ」というシリーズで、清国時代に刊行された彩色版画絵手本「芥子園画伝」から着想を得て絵付けされたものです。

繊細なタッチで山水や花鳥、女の子の姿がユーモラスに描かれており、随所に遊び心が感じられます。いつまでも眺めていたくなってしまう、そんな味わいのある作品です。

テーブルが華やぐ「白花花」の急須と「studi.o17」の茶針。

なお、急須に添えられた茶針(急須の注ぎ口に詰まった茶葉を取り除く道具)は「studi.o17」の作品。舞踊家でもあるアーティストが2018年に設立した金工ブランドで、金属で体の動きを表現しています。そのしなやかな形に見惚れてしまうはずです。

モダンで温かみのある「山牌」の茶器

◆「山牌」の急須 5800元、湯のみ 900元、茶則 2000元

ティータイムが楽しくなること間違いなしの茶器。

現代的なスタイルの作風を得意とする「山牌」の幾何学模様が描かれた茶道具。

眺めていると、急須から湯のみ、茶則(茶葉を急須に入れるときに使う道具)まで揃えてみたくなるはず。

シンプルなデザインですが、使えば使うほど愛着が湧いてくることでしょう。

清山寶珠(チンサンパオズー)

所在地 台北市信義區富陽街72巷19號1樓
電話 02-2737-3777
営業時間 13:00~18:00
定休日 月、火、日曜
アクセス MRT六張犁駅から徒歩約6分
https://baotsu.tw/

片倉真理(かたくら まり)

台湾在住ライター。1999年から台湾に暮らし、台湾に関するガイドブックや書籍の執筆、製作に携わる。そのほか、機内誌への寄稿や女性誌のコーディネートなども手がけている。

文・撮影=片倉真理

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