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【2026旅トレンド】次に行くべき世界の場所を、旅のプロが解説

  • 2025.12.12
murat4art / Getty Images

かつては限られた人々だけに許される贅沢だった「旅行」だが、今では私たちの人生の一部へとなりつつある。

「旅は、幸せを感じるための投資であり、心の安定やひらめき、そして人とのつながりを生む源です」と話すのは、アメリカ・マイアミの旅行会社NUBAのマネージングディレクター、マリオ・デル・ドゥカ氏。「物価が高騰したり、世界が不安定になったりしても、旅に出たいという気持ちは衰えていません。さらに、お金の使い方も変わりました。心身を癒やし、感情に強く訴えかける、真にパーソナルな体験が重視されるようになってきました」

また、ドゥカ氏によると、旅に「意義」を求める人が増えているという。2025年は、人気映画やTV番組のロケ地巡りといった“聖地巡礼”のほか、大都市ではなく小さな街への旅行や、オーロラをはじめとする自然現象観察を目的とする旅行の人気が急上昇した。

では、2026年の旅のトレンドはどんなものになると予測されているのだろうか? 今注目すべき旅のキーワードと、おすすめのデスティネーションを見ていこう。米『Veranda』より。

From Veranda

Petter Sandell / 500px / Getty Images

2026年の旅のトレンド&キーワードは?

2026年のトレンドは、あえてオフシーズンを選ぶ旅、人生を変えるような旅、そして、人込みを避けた旅が予想されている。ラグジュアリートラベルアドバイザーのエマ・メジャー・シュローダー氏によると、2026年は「スローで、特別で、自分だけの旅」が主流になるとのこと。

  • スローな旅:旅程をゆったり組み、質の高い時間を過ごす旅。「例えば、10日間でイタリア全土を巡る代わりに、アマルフィ海岸だけで10泊するような旅です」とシュローダー氏。チェックリストをこなすのではなく、ある場所で暮らすように旅することがトレンドになるという。
  • 特別な旅:旅の目的は、ユニークで忘れられない思い出を作ること。「食事やウェルネス、特定のイベントを中心とした体験型旅行への支出が増えています」とシュローダー氏は話す。
  • 自分だけの旅:パーソナライゼーションは旅にも波及。行き先だけでなく、“なぜそこに行くのか”、“その旅が自分の価値観とどう結びつくか”が重要に。「旅が自己表現のひとつととらえられるようになり、よりパーソナルなものへと変化しています」とドゥカ氏。

――旅行の未来は、単なる日常からの逃避ではなく、より意義深いものに変わりつつある、とドゥカ氏。以下では、それを実現する、9の旬の目的地をご紹介。

Argelis Rebolledo / Getty Images

メキシコシティ(メキシコ)

活気あふれる文化都市として注目されるメキシコシティ。「美食、現代アート、デザインが豊かで、インスピレーションが尽きない街」とドゥカ氏は話す。

その力強いエネルギーは、ミシュラン二つ星で世界のベストレストラン上位の「クイントニル」や、ルイス・バラガンによるメキシコを代表する建築「ヒラルディ邸」、ミッドセンチュリー・モダンな装飾が光るデザインホテル「ウマ カーサ」などで感じられる。

この「ウマ カーサ」を拠点に、ローカルとグローバルな感覚が融合する新興地区を、時間をかけて散策するのがドゥカ氏のおすすめ。

Balate Dorin / Getty Images

マヨルカ島(スペイン)

2026年夏の旅先をひとつだけ選ぶなら、シュローダー氏はスペインのマヨルカ島をおすすめしている。

これまでは、イビサ島をはじめとする地中海周遊の経由地のひとつだったマヨルカ島。だが、文化、ビーチ、歴史、ハイキング、サイクリング、ボート遊びなど、数カ月滞在しても飽きないほど豊かな魅力が詰まったこの島に、今関心が集まっているとか。シュローダー氏のクライアントは、5〜10日間をここで過ごすそう。

特に、全30室の客室とスイートルーム、地下のスパを備えた有名ホテル「キャップ ロカット」は、まさに第二の我が家と呼びたくなる宿。地元の名店「ラ・カーニャ」で最高級のタパスを味わうのも忘れずに。

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リスボン(ポルトガル)

「ソウルフルで、陽光に満ちた個性あふれる街」とドゥカ氏が表現するのが、ポルトガルの首都リスボン。「ここは、ゆったりとしたヨーロッパ旅行の本質を体現している街です」

丘陵を散策するもよし、広範な路面電車網で移動するもよし。絵のように美しい景色、歴史的建築、そしてさまざまなパイや焼き菓子があなたを待っている。なかでも、ポルトガル名物のエッグタルト「パステル・デ・ナタ」は必食!

ブティックホテルやグルメシーンが賑わい、観光客は増加傾向にあるものの、ドゥカ氏は「リスボンは依然、静かでひっそりとした感覚を保っている」と評価する。この街が持つ「ノスタルジアと現代性の絶妙な調和」こそが、今の時代にぴったりの稀有な魅力だという。トレンディなシアード地区にある隠れ家的ホテル、「ヴェライド パラシオ サンタ カタリーナ」が、その好例。

George Rose / Getty Images

マクミンビル(アメリカ・オレゴン州)

ナパやシャンパーニュ、トスカーナに代わるワインの街として注目されているのが、オレゴンのマクミンビル。

“スローな旅”の人気が高まるなかで、「ひとつの場所で長い時間を過ごし、より深い体験や現地への没入を好む人が増えました」とドゥカ氏は語る。人口3万5000人ほどの美しく穏やかなこの街は、まさにそれを実現できる場所。今ならまだ観光客もそう多くないという。

ポートランド空港から1時間ほどで到着する、この知られざるワインの名産地は、“ファーム・トゥ・テーブル”のグルメタウンとしても急成長中。豪華なスパと敷地内の農場を備えたモダンなB&B「イン・ザ・グラウンド」にチェックインしたら、もう帰りたくなくなるかも。

アンティークモールや地元ブティックを巡り、近隣の100軒以上あるワイナリーを訪れるアクティビティはマスト。「トリビュータリー ホテル」内にある、農場直送の食材を扱う「オクタ」での食事は格別のご褒美だ。

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サンノゼ(アメリカ・カリフォルニア州)

長年IT業界の関係者に愛されてきたシリコンバレーの街が、2026年にはスポーツファンを迎え入れる。2026年2月8日、サンノゼのリーバイス・スタジアムで第60回スーパーボウルが開催されるのだ(ダウンタウンからスタジアムまでの移動には、ライトレールと呼ばれる路面電車を利用すれば渋滞を避けられる)。

また、3月にはSAPセンターで開催されるNCAA男子バスケットボールのマーチ・マッドネスがあり、夏にはリーバイス・スタジアムで行われるFIFAワールドカップ・グループステージも満喫できる。

訪れる季節や目的が何であれ、宿泊は「ホテル バレンシア サンタナ ロウ」がいち押し。ショッピングエリアの中心という立地が魅力的だ。また、応援チームの勝利を祝うにも、接戦の悔しさを分かち合うにもおすすめなのが、人気レストランの「Eos & Nyx」。国内でも指折りのクリエイティブなカクテルと、本格的な地中海料理を堪能できる。

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ミラノ(イタリア)

「2025年には、テイラー・スウィフトのワールドツアーやF1、ゴルフやテニスの世界大会など、特定のイベントを軸に旅行計画を立てる旅行者が増加しました」とシュローダー氏。エクスペディアの調査によると、この傾向は2026年にさらに加速すると予測されている。

また新たな調査「Unpack '26」では、2万4000人の回答者のうち57%が、2026年の旅行中にスポーツイベントへの参加を計画していることが判明した。

スポーツファンなら、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックは見逃せないイベント。2026年2月6日から22日の間に休みを取って、ミラノのホテルを今すぐ予約して。おすすめは、ドゥオーモからもほど近い、街の中心にあるスタイリッシュなデザインホテル「ホテル ストラフ」。ブレラ美術館やプラダ財団美術館など、アートを楽しむこともお忘れなく。

Sean Pavone / Getty Images

ボストン(アメリカ・マサチューセッツ州)

2026年のアメリカ建国250周年を記念して、首都であるワシントンD.C.や、アメリカ独立の舞台となったフィラデルフィアへ巡礼の旅に出る人が増えると予想されている。これらも素晴らしい目的地だけれど、歴史を体感するなら、東海岸のボストンがシュローダー氏のおすすめだそう。

アメリカ史における重要な出来事の舞台であり、ボストンマラソンやFIFAワールドカップの開催地にもなっている。

滞在するなら、ぜひ老舗ホテル「フェアモント コプレー プラザ ボストン」へ。もとはボストン美術館として建設されたここは、フランスとベネチア・ルネサンス様式を融合したデザインが特徴で、街を見渡す屋上テラスや特製樽熟成のジンなど、お楽しみもたくさん。

SeanPavonePhoto / Getty Images

北京(中国)

中国の首都である北京は、新旧が共存する街。ドゥカ氏が最近訪れた際は、「変わりぶりに驚かされた」という。前回の滞在時と比べ、「より清潔で、より整然とし、創造性と進歩に満ち溢れています」とのこと。

ドゥカ氏によれば、この都市はまさに“目覚め”の真っ最中。今ならまだ、混雑を避けながら、アート地区や洗練された食文化、ワールドクラスのホテルに没頭する旅が楽しめるタイミングといえるようだ。

ドゥカ氏のおすすめホテルは、「アマン サマー パレス」と「ホテル・エクラ・北京」。

murat4art / Getty Images

北極・南極

かつては、冒険家や、七大陸制覇を目指す一部の人だけの挑戦だった、北極や南極への旅。それが、シーボーンやリンドブラッドといった豪華客船が登場したことで、状況は一変。「今や多くの人が、安心して人里離れた極地を旅することができるようになりました」とシュローダー氏は述べる。

特に、グリーンランド、アイスランド、ノルウェー、そして南極まで足を運び、そこでしか撮影できない特別な瞬間をSNSでシェアしたいと思う人々が増加。まさに子どもの頃に描いた夢のような、素晴らしい体験を味わっているのだそう。

極地旅行は、「心が満たされ、自分自身が変われる、現在最も魅力的な旅先」だとドゥカ氏はコメント。「立ち止まって、自然とのつながりを感じ、心を動かされる場所です。なぜ自分は旅をするのかという、旅の目的を思い出させてくれる場所といえるでしょう」

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