1. トップ
  2. 「父と連絡がつかない…嫌な予感」実家に帰ると父が全裸で倒れていた!? ひとり娘が直面した“突然の現実”を描く【作者に聞く】

「父と連絡がつかない…嫌な予感」実家に帰ると父が全裸で倒れていた!? ひとり娘が直面した“突然の現実”を描く【作者に聞く】

  • 2025.12.12
数日間LINEの返信がないことに違和感を覚え、夫と一緒に慌てて実家へ向かうことに…。 作=キクチ
数日間LINEの返信がないことに違和感を覚え、夫と一緒に慌てて実家へ向かうことに…。 作=キクチ

右耳難聴や子宮内膜症、自身の体のことから家族の看取りまで、体験をコミカルに描いてきたキクチさん(@kkc_ayn)。書籍化もされたコミックエッセイ「20代、親を看取る。」では、母の自宅介護と別れをリアルに記し、大きな共感を集めた。その母を看取ってから2年。次に立ちはだかったのは、独り暮らしの父の異変だった。頼れる家族もいない一人っ子のキクチさんが、今度は父の“老いと病”に真正面から向き合うことになる。本作「父が全裸で倒れてた。」は、その始まりの瞬間を描くエッセイである。

連絡がつかない…胸騒ぎの先にあったのは、まさかの“全裸事件”

「父が全裸で倒れてた。」 作=キクチ
「父が全裸で倒れてた。」 作=キクチ
 第1話1-1 作=キクチ
第1話1-1 作=キクチ
 第1話1-2 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ

ある日、父と急に連絡が取れなくなった。普段は返信が遅いタイプとはいえ、ここまで静かなのはさすがにおかしい。母の看取りを経験しているだけに、嫌な記憶もよぎる——。

「携帯の通知に気づいていないだけかも」とパートナーは励ましてくれたが、平気を装いながらも、タクシーに揺られる時間がやけに長く感じられたという。最悪の事態を考えればパニックになる。だから「寝込んでいるだけかもしれない。まずは無事を確認する」と、想定を“最悪より少し手前”に留め続けた。

だが、実家に到着して扉を開けたときに目にしたのは、予想のどれにも当てはまらない光景だった。父が全裸で倒れていたのである。あまりの衝撃に「真剣なのか笑っていいのか分からない境界線で立ち尽くすしかなかった」とキクチさんは振り返る。

体調不良の原因は不明…だが、母の介護経験があるからこその“冷静と混乱”

病院で告げられた可能性は「新型コロナかインフルの後遺症が長引いているのでは」。微熱や倦怠感といった症状を見れば納得できる説明だったが、父の異変はそれだけでは片づかない気配があったという。

母の介護を経験しているからこそ、落ち着いて対処できた部分も大きい。しかし、その経験があるからこそ、「もし手遅れだったら——」という恐怖も同時に襲ってくる。それは一人で抱えるには重すぎる想像だったが、だからこそ、同乗してくれたパートナーの言葉が心の支えだったという。

シリアスな現実のなかに、ふいに笑いが生まれる絶妙な“キクチ節”

本作は重いテーマを扱いながらも、キクチさんらしく淡々と、時にクスッとできる空気を絶妙に混ぜ込んでいる。突然の“全裸で倒れてた”という切迫と笑いの境目にある描写は、その象徴だろう。これから先、父の病状や生活、そしてひとり娘として抱える責任はますます大きくなる。それでも読者は、キクチさんのまなざしを通じて“ただ悲しいだけではない家族の物語”を見つめることができるはずだ。

取材協力:キクチ

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる