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鳥羽シェフ「大変だったのは1時間に1回のトイレ」糖尿病公開から3か月で劇的改善!そのメソッドとは?【鳥羽周作さんのターニングポイント#1】

  • 2025.12.11

鳥羽シェフ「大変だったのは1時間に1回のトイレ」糖尿病公開から3か月で劇的改善!そのメソッドとは?【鳥羽周作さんのターニングポイント#1】

2025年夏、料理人・鳥羽周作さんは“ある異変”をきっかけに糖尿病と診断されました。厨房での長時間勤務、絶え間ない試食、そして飲食店の経営という多忙の中で、彼はどのように病気と向き合い、生活を立て直したのか。診断までの経緯、治療のリアル、支えてくれた医師との出会い、そして「食べるプロ」としての心境の変化=ターニングポイントをうかがいました。今回は第4回中の第1回をお届けします。

SNSのDMから“人生を変える出会い”が始まった

――編集部から取材依頼のDMを送らせていただきましたが、まさかのご本人から即レス!普段から、SNSはご自身でやられていますか?

鳥羽周作さん(以下、鳥羽シェフ):そうなんですよ。Xはすべて自分で動かしているので、DMも基本は自分で返信しています。 実は、主治医の大坂貴史先生(綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長)とも、最初のきっかけはSNSでした。先生が食べることが好きで、僕の料理や考え方に興味を持ってフォローしてくれていたんです。SNSって、こういう偶然の出会いがあるから面白いですよね。そんなとき、僕自身に気になる症状が出始めたんです。

異常なトイレの回数。1時間に1回トイレへ

――最初の異変はどんなものでしたか?

鳥羽シェフ:2025 年の5〜6月。とにかくトイレが近くなって、店の営業中にも1時間に1回は行っていました。料理人って本来、営業中にトイレに立つことなんてほとんどないんですよ。味見もたくさんするので、水はよく飲むんですけど、それにしてもこれは異常だな、と。
最初は“夏だし、水分をたくさん取ってるからかも”と思っていたんですけど、どうもそれだけでは説明がつかない。
喉もやたら渇くし、夜中にも起きる。調べてみたら「頻尿」と「のどの渇き」——まさに糖尿病の典型的な症状でした。
TikTokの医療系動画や、ネットにあるヘモグロビンA1cの解説などを見ているうちに「これ、自分じゃん」と思って。

――その2つ以外におかしいと思った症状はありましたか?

鳥羽シェフ:「疲れやすい」のも代表的な症状らしいんですけど、ある意味自分にとって疲労って言われても、いつも疲れてるからあまりそこは感じなかったんですよね。で、大坂先生に詳しく覚えていないんですが、連絡とって症状を伝えたらそれは一度きちんと検査しましょう、ってなったんですよね。

“とんでもない数値”だった検査結果

――検査はすぐ受けられたんですね。

鳥羽シェフ:大坂先生が東京のクリニックを紹介してくれて、すぐ予約を取りました。検査してみたらまぁ…数値がとんでもなく悪かった(笑)。それまでも健康診断などで、基本的な検査はやっていたけどそこまでの数値は出たことがなかったし、母親がⅡ型の糖尿病なので、自分もそういう可能性があるとは思っていました。
ただ、そこで大坂先生が言った「治りますよ。大丈夫です」の言葉が本当に大きかった。

――診断を受けて、イメージは変わりましたか?

鳥羽シェフ:糖尿病って、なんとなく「一生治らない」とか「食事が制限される」というイメージが強いじゃないですか。僕も以前は、罹患したら絶望って印象を持っていたんです。でも勉強してみたらけっこう世間のイメージとギャップがある病気だなっていうのがわかったんですよね。
ある程度インスリンを打ったりとか、上手にクスリと付き合っていけば、必ずしも普通の生活ができないわけじゃない。
大坂先生によると膵臓は回復できる臓器らしいんですね。疲れていてうまく機能しない時は上手に休ませてあげるのがいいと。だから膵臓の変わりにインスリン注射を打ってあげて、膵臓をお休みさせてあげて、最終的には本来の働きをしてもらうやり方が良いのではと提案されました。
なので、今はインスリン注射とインスリンの働きを良くする薬と、食欲をコントロールしてくれる薬を併用しています。いま診断されてから約3か月くらいたちましたが、当初打っていたインスリンの量も1/5くらいに減ったんですよ。

支えてくれたのは“24時間体制のドクター”。毎日5〜6回のやり取りも

――3か月で1/5にクスリの量が減った!それってけっこうすごいことですよね?

鳥羽シェフ:大坂先生の体制がめちゃくちゃすごくて。本当に24時間体制というか、1日5〜6回LINEをしているんですね。腕にセンサーをつけて常に血糖値を測っているんですが、先生が病院でリアルタイムに見てくれるんですよ。
それで、「昨夜は少し高かったですね」とか、「今日はよく歩いてますね」とか、「出張中、大丈夫ですか?」みたいなメッセージをすぐ送ってくれるんです。
また「シンクヘルス」というアプリで毎食の写真を記録しているんですが、定食屋さんだとまだパって1枚撮ればいいんですが、居酒屋みたいなところだと一品ずつ出てくるから全部撮るのが大変で(笑)。でもそこはある程度大目に見てもらっています。

血糖値が以前は250とかあったのが、今は133(空腹時血糖値は100mg /dL未満は正常、100〜125 mg /dLは境界型、126mg /dL以上は糖尿病)です。また、GMI(平均血糖値の指標)は 8.1(正常は6点台)が、3か月経った今は 6.8まで改善しました。血糖値に関しては特に診断直後はアラームが鳴りまくって本当にうるさかったのですが(笑)、そんな日々から考えると、劇的改善です。

栄養士の先生も「今日はキノコ足しました?」「もう少し野菜があってもいいですね」など細かくコメントしてくれる。僕は本当に良いチームに恵まれました。

甘いものは“ゼロ”。それでもストレスがない理由

――生活で最初に変えたことは?

鳥羽シェフ:“調べること”と“すぐできることの実践”です。やめたのは「アイスとジュース」。
僕、診断前は1日3個ハーゲンダッツ食べてたんですよ(笑)。でも診断後は一口も食べてないし、ジュースもゼロ。
ただ、全然ストレスじゃないんです。それはなぜかというと、病気を勉強して「甘いものをやめれば確実に良くなる」ことを理解できていたから。納得していることって、無理なく続けられるんですよね。お酒はもともと飲まないので、まったく問題なかったです。

炭水化物を抜くのはNG。「積極的バランス治療」という考え方

――食事制限は厳しいのかと思っていました。

鳥羽シェフ:ご飯に関しては、まったく厳しくないんです。
例えば、定食の大戸家さんに行くとしたら「普段の量の6〜7分目にすればOK」。炭水化物抜きみたいな極端な食事はむしろ良くない。
短期的には痩せるけど、長期的に見ればリバウンドしやすいですし、吸収率が上がって逆効果になる場合も多い。だから僕、今でも焼肉とかもたまに行きますよ。次の日にバランスとれば よいというのが、わかっているんで。極端なことはしないようにしています。この方法を僕は「積極的バランス治療」って名付けているんです。

●焼肉に行く日は、その前後の食事を軽くする
●会食の予定がある日は、積極的にウォーキングや運動を入れる
●“1日のカロリー予算”の中でどこを上げ、どこを下げるかコントロールする

これなら制限というより“計画”ですよね。「今日はこれを食べるから、ここで調整しよう」という前向きな発想なんです。クリスマスのお買い物のために貯金するような感覚で、ストレスが本当に少ない。“不自由”ではなく“選択”。この考え方は、多くの人にフィットすると思います。

「頭で治す糖尿病」。理解するだけで8割はもう治っている

鳥羽シェフ:僕は病気について「頭で治す糖尿病」って言ってるんです。なぜなら治すうえで、一番大切なのは「自分で理解すること」だから。
血糖値の意味、薬の役割、食事との関係。それを主体的に学んで理解すれば、8割は治っていると言っても過言じゃないと思っているんです。あとはそれをロジカルに行動に移すだけ。これって特別なことじゃなくて多くの人がマネできると思うんですよね。がんでも糖尿病でも、「よくわからない不安」がいちばん怖い。でも調べれば知識がつくし、セカンドオピニオンにもつながります。

料理人としての仕事はどう変わった?味見や試食に支障は?

――お仕事への影響は?

鳥羽シェフ:ほぼゼロです。
料理を作るのが仕事なんで、そこは大目に見てもらっていて食べることは制限していません。その代わりに、夜に歩く距離を増やしたり、他の部分で調整しています。“積極的バランス治療”は、仕事に影響を及ぼさない意味でも重要なんですよね。さらに今は以前より健康への意識は高まったので、他の数値だって改善傾向にあります。


【鳥羽シェフのターニングポイント1】
大坂先生が言った「治りますよ。大丈夫です」の言葉が本当に大きかった。僕は本当に良いチームに恵まれました。

撮影/三角茉由

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