「子供のしたことよ」惣菜パックを指で潰して遊ぶ子供を庇う親→店長の正論に逃げるように退店【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

スーパーでレジ打ちのパートをしている私ですが、先日、忘れられない出来事がありました。
夕方の混雑時、総菜コーナーから「プチッ、ベコッ」という異質な音が聞こえてきたのです。

ふと見ると、5歳くらいの男の子が、陳列されたポテトサラダやコロッケのパックを次々と指で押し、ラップに穴を開けては中身を潰して遊んでいるではありませんか！

慌てて駆け寄り、「ボク、それは売り物だからダメだよ」と優しく止めに入りました。
すると、その子の母親が血相を変えて飛んできました。
謝罪があるかと思いきや、彼女の口から出たのは信じられない言葉でした。

「ちょっと！うちの子になにするのよ！」
「いえ、商品に穴を開けてしまっていたので……」私が事情を説明しても、母親は鼻で笑ってこう言いました。
「たかが子供のしたことじゃない。そんなに目くじら立てて、意地悪な店員ね。どうせ大した金額じゃないでしょ？」

潰された商品はもう売り物になりません。

私が言葉に詰まっていると、騒ぎを聞きつけた店長が静かに現れました。
店長は潰れたパックを手に取り、母親へ真っすぐに告げました。

「お客様。『子供のしたことだから』という言葉は、被害を受けた側が許す時に使う言葉であって、親御さんが責任逃れのために使う言葉ではありませんよ」

母親は虚を突かれた顔をしました。
店長は畳みかけます。
「この商品は、もう他のお客様には販売できません。もし、よそのお子さんが指でこね回した料理を、ご自身の食卓に出せますか？出せませんよね。これは破損であり、損害です。買い取りをお願いします」

周りのお客様からも「そうだそうだ」という無言の圧力が。
顔を真っ赤にした母親は、何も言い返せず、潰された総菜をカゴに入れて支払いを済ませ、逃げるように店を出ていきました。

「子供だから」という魔法の言葉が通用しないこともある。
店長の毅然とした態度に、胸がスカッとした出来事でした。

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