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【野菜ジュースは意味ないのか】野菜不足を補う効果は?毎日飲むと肝臓に悪い?

  • 2025.12.10

忙しい朝や食生活の偏りが気になるとき、手軽に野菜を摂れる「野菜ジュース」。でも、「野菜ジュースは意味ない」「かえって健康に悪い」なんて声も聞きますよね。

実際のところ、野菜不足を補う効果はあるのか? 毎日飲んでも問題ないのか? 肝臓への影響は? 気になるポイントを、沢岻美奈子女性医療クリニック 神戸院 院長・押切 佳代先生に聞きました。

なお、ここで取り上げる「野菜ジュース」とは、砂糖不使用のものを指します。

野菜ジュースを飲んでも野菜不足を補えない?

「野菜ジュースで野菜不足を手軽に補いたい」という人は多いですが、結論から言うと“野菜の代わりにはならないが、補助的な役割としては使える”というのが現状の答えです。

なぜ野菜ジュースだけでは野菜不足を補えないのか。おもな理由は3つです。

① 食物繊維が少ない or ほとんど除去されている

多くの野菜ジュースは、製造過程で食物繊維が取り除かれてしまうため、腸内環境改善といった効果はあまり期待できません。

とくに “濃縮還元タイプ”のジュースだと、栄養素が加工の段階でかなり失われていることが多い傾向にあります。

② ビタミン類が熱処理で減少している

市販の野菜ジュースは安全性を保つために加熱殺菌されていますが、その過程でビタミンCや葉酸などの水溶性ビタミンが壊れやすいというデメリットがあります。

③ “野菜相当量”と“生の野菜の栄養”は別物

「コップ1杯で1日分の野菜350g相当」と書かれているジュースでも、それは“野菜を絞った量”の合計であり、生野菜の栄養素をそのまま摂れるわけではありません。

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じゃあ、野菜ジュースは意味がないの?

では、野菜ジュースは飲んでも意味がないただのジュースなのかというと、そんなことはありません。以下のようなメリットもあります。

  • 朝食や外食時にビタミンやミネラルを少しでも補給できる
  • 咀嚼が難しい高齢者や病中の人にはいい栄養サポートになる
  • 「野菜をまったく食べない日」のリスクを軽減する

野菜の“代用品”ではなく、“栄養補助ドリンク”として捉えるのがよいでしょう。その際には、以下のようなタイプの野菜ジュースがおすすめです。

次:どんな野菜ジュースがおすすめ?

こんな野菜ジュースがおすすめ!

  • 無添加・無塩・無加糖のものを選ぶ
  • 野菜のみの「野菜汁100%」を選ぶ

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砂糖不使用の野菜ジュースでも血糖値は上がる

ただし、砂糖不使用の野菜ジュースでも血糖値は上がります。

野菜ジュースには、にんじん・トマト・かぼちゃ・ビートなど糖質の多い野菜が使われていることがよくあり、これらに含まれる糖質(ブドウ糖・果糖・ショ糖など)が、ジュースに加工されても残っているため、飲むと血糖値が上昇します。

また、野菜ジュースは噛む必要がなく、胃をすぐ通過して腸に届きます。そのため糖質が急速に吸収され、食後高血糖を引き起こしやすくなります。

たとえ「無糖・食物繊維入り」の商品であっても、ジュース加工の過程で食物繊維が減少していることが多く、血糖値の急上昇を抑える効果が弱まっていると考えられます。

たとえば、トマトジュース(無塩・無糖)でもコップ1杯で糖質6〜8g程度含まれており、空腹時に飲めば血糖値が急激に上がることがあります。

糖尿病・予備軍の方、血糖値を気にしている方は、飲み方に注意しましょう。

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野菜ジュースで血糖値を急上昇させない飲み方

  • 空腹時に飲まない
  • たんぱく質や脂質と一緒に摂る
  • ゆっくり時間をかけて飲む

次:野菜ジュースを毎日飲むと糖尿病になる?

「野菜ジュースは体に悪い」気になるウワサを解説!

ここからは、野菜ジュースにまつわる噂について解説していきます。

野菜ジュースを毎日飲むと糖尿病になる?

野菜ジュースを毎日飲むだけで糖尿病になることは基本的にありません。ただし、飲み方や量、種類によっては「糖尿病リスクを高める要因」にはなり得ます。

先述の通り、野菜ジュースには、にんじん・トマト・かぼちゃなど糖質の多い野菜が含まれており、「砂糖不使用・野菜100%」でも、1杯(200ml)で10g前後の糖質を含むことがあります。

また、野菜ジュースは「咀嚼がいらず、胃をすぐ通過する」ため、糖質が一気に吸収され、血糖値が急激に上がりやすい特徴があります。これを毎日続けると、インスリンの負担が増え、糖尿病リスクを高める可能性があります。

食事の代わりに野菜ジュースだけを摂る、空腹時に飲む、家族に糖尿病歴がある方は注意が必要です。

野菜ジュースを毎日飲むと肝臓に悪い?

野菜のみの野菜ジュースなら、適量なら問題になることはありません。しかし条件によっては肝臓に負担をかける可能性は否定できません。

「野菜・果物ミックス系」や「飲みやすく甘いタイプ」には、果糖(フルクトース)が多く含まれています。果糖は、主に肝臓で代謝される糖質。そのため、毎日多量に摂ると肝臓に脂肪が蓄積しやすくなるおそれも。

もともと肝機能が低下している人は、「糖質の多いタイプを大量に・毎日飲み続ける」ことは避けたほうがよいでしょう。

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そもそも……野菜ジュースは毎日飲んでいい?

健康な人の場合、無添加・無糖の野菜100%ジュースは毎日飲んでも基本的に問題ないことが多いでしょう。ただし1日1杯(200ml)までにとどめましょう。

次:野菜ジュースを飲まない方がいい人とは

野菜ジュースを飲まない方がいい人とは

野菜ジュースは手軽で便利な反面、体質や健康状態によっては「控えたほうがよい人」もいます。以下のような方は注意が必要です。

糖尿病・血糖値が高めの人

野菜ジュースは糖質が多く、血糖値を急上昇させる可能性があります。とくに空腹時に飲むとインスリンへの負担が増えやすいため注意が必要です。

脂肪肝・肝機能が低下している人

一部の野菜ジュースには果糖(フルクトース)が多く含まれており、肝臓で中性脂肪に変換されやすいため、脂肪肝を悪化させるおそれがあります。

腎臓病でカリウム制限がある人

野菜ジュースはカリウムが多く含まれるため、腎機能が低下している方が多量に飲むと高カリウム血症になるリスクがあります。

減塩中・高血圧の人(塩分入りを飲む場合)

「野菜ジュース(有塩タイプ)」には意外と食塩が含まれていることも。減塩中の人は“無塩タイプ”を選ぶことが重要です。

監修者プロフィール

沢岻美奈子女性医療クリニック 神戸院 院長 押切 佳代先生

「沢岻美奈子女性医療クリニック」神戸院 院長。内科学会認定医、糖尿病学会専門医。乳がん・子宮がん・骨ドックなど女性特有の検診と、理事長の産婦人科医による更年期世代を中心としたヘルスケア領域の診察、糖尿病専門医の院長によるダイエット外来など、女性をトータルで診療できる体制を整えている。

<Edit:編集部>

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