「内定辞退します」入社式前日に届いたLINE。理由を聞くと人事担当が絶句。一体何が？【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

私は中堅企業で人事課長を務めています。明日は待ちに待った入社式。

今年の新人たちは非常に優秀で、特にトップ採用の女子学生は、役員たちも「将来の幹部候補だ」と期待を寄せるほどの逸材でした。

そんな入社式前日の夕方のことでした。翌日の準備に追われていた私のスマホが震えました。画面を見ると、なんとその彼女からのLINEです。

「明日の集合時間の確認かな？」と思いながら開いた私は、血の気が引くのを感じました。

「大変申し訳ありませんが、内定辞退します」

私は目を疑いました。この前まで「入社が楽しみです！」と連絡を取り合っていたのに、一体なぜ？私は震える指で慌てて返信しました。

『急にどうしたの？何かトラブルでもあった？』

既読はすぐにつきました。そして送られてきたのは、冷徹な事実を告げるメッセージでした。

「御社のコンプライアンス意識に、命を預けられないと判断しました」

『え？どういうこと？』

「昨日、〇〇さんに飲みに誘われ、『俺と付き合えば配属先を優遇してやる。断れば研修で地獄を見るぞ』と脅されました。会話の録音データもあります。」

私の部下である彼は人当たりが良く、面倒見が良いと評判の社員でした。しかし、裏ではその立場を利用し、新人を食い物にしようとしていたのです。

その直後、何も知らない彼が「明日の準備終わりました〜飲み行ってきまーす」とヘラヘラ笑いながら私の席に近づいてきました。私は怒りで震える手で、彼の目の前にスマホを突きつけました。

「これ、説明ができるの？」

画面を見た瞬間、彼の顔から色が消えました。

「いや、これはその、冗談でコミュニケーションを…」としどろもどろになる彼。

「冗談？社長にも報告済みよ。明日から来なくていい、というか二度と顔を見せないで」

彼は「誤解だ！俺はエースだぞ！」と叫んでいましたが、後の祭りです。

そして翌朝。入社式の会場には、晴れやかな笑顔の彼女の姿がありました。

『昨日の迅速な対応、感動しました。あのような決断ができる上司の下でなら、安心して働けます』

彼女は私の手を取り、力強く握手してくれました。膿を出し切り、最高の部下を迎えることができた逆転の入社式。これ以上ないスタートとなりました。

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