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『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』で主人公の宿敵を熱演!濱尾ノリタカの際立つ存在感

  • 2025.12.10

全世界累計発行部数1000万部突破の大人気不良漫画を実写化した『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』(公開中)。本作で水上恒司が演じる“ケンカ上等”の主人公の最凶ライバルに扮しているのが濱尾ノリタカだ。NHK連続テレビ小説「あんぱん」、「仮面ライダー」シリーズのほか、今秋クールのドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」にも出演し、ネクストブレイク俳優として存在感を増している。激しいアクションと胸を熱くする友情ドラマが融合した『WIND BREAKER』においても、圧倒的な迫力と緊張感をもたらしている彼の輝きを見ていきたい。

【写真を見る】桜と十亀が繰り広げるアクロバティックな格闘シーンは圧巻!

【写真を見る】桜と十亀が繰り広げるアクロバティックな格闘シーンは圧巻! [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
【写真を見る】桜と十亀が繰り広げるアクロバティックな格闘シーンは圧巻! [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

街を守るヒーロー、防風鈴の前に立ちはだかる“力への絶対信仰”を掲げる獅子頭連

ケンカだけが取り柄で、どこか孤独を抱えた高校生の桜遥(水上)。彼は“不良の巣窟”として恐れられる風鈴高校のてっぺんを獲るため、街へとやって来る。だが桜が目にしたのは、かつての荒れた姿とはまったく異なるワルたちの現在だった。生徒たちは街を守る「防風鈴(ボウフウリン)=ウィンドブレイカー」と呼ばれ、住民たちに頼りにされるヒーローのような存在へと変貌を遂げていたのだ。

ケンカだけが取り柄で孤独を抱えながら生きてきた桜遥 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
ケンカだけが取り柄で孤独を抱えながら生きてきた桜遥 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

戸惑いながらも桜は防風鈴に加わり、個性豊かな仲間たちと共に街を守る闘いに身を投じていく。しかし、彼らの前に立ち塞がるのが“力への絶対信仰”を掲げる「獅子頭連」。その副頭取こそが、濱尾演じる十亀条である。圧倒的な暴の気配と揺るぎない支配哲学を纏う十亀。対極の信念を持つ2人が激しくぶつかり合う時、物語は大きく動きだす。

防風鈴の前に立ちはだかる獅子頭連 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
防風鈴の前に立ちはだかる獅子頭連 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

十亀条の強さと迷いを徹底的に体へなじませた濱尾ノリタカ

群れることを嫌う一匹狼の不良高校生が、仲間たちとの出会いを通して成長していく本作。その魅力の一つは、主人公サイドだけでなく“敵側のドラマ”もまた丁寧に描かれている点だ。敵側である獅子頭連を率いるのは、史上最年少で頂点に立った頭取の兎耳山丁子(山下幸輝)。ピンクゴールドの髪に小柄な体型というかわいらしい見た目とは裏腹に、高い身体能力と攻撃的な戦闘スタイルを併せ持ち、“強者との戦い”を求めて止まない危ういカリスマ性を放つ。

獅子頭連の頭取、兎耳山丁子を側で支えてきた十亀 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
獅子頭連の頭取、兎耳山丁子を側で支えてきた十亀 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

一方、その側で兎耳山を支え続けてきたのが、副頭取の十亀。長身に大きなサングラス、三つ編み姿が特徴で、穏やかな口調が逆に恐怖心を煽る冷静沈着な参謀タイプ。しかし、強さを絶対視するその佇まいの奥にはふと“迷い”がにじむ瞬間もあり、その揺らぎが十亀という人物に静かな奥行きをもたらしている。

そんな十亀を体現した濱尾は、作品ごとにまったく違う表情を見せる変幻自在な俳優だ。「仮面ライダーリバイス」で仮面ライダーベルトを開発した科学者役をテンション高く演じたかと思えば、「埼玉のホスト」では空気が読めない学生ホストを“おとぼけキャラ”として表現。また、主人公のぶ(今田美緒)と嵩(北村匠海)の同級生役を演じた「あんぱん」では、影のある人物として深みを見せるなど幅広い作品で多彩な演技を披露してきた。

『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』は濱尾ノリタカ演じる十亀条に注目! [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』は濱尾ノリタカ演じる十亀条に注目! [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

本作でも徹底した役作りで不穏な気配を漂わせる十亀像を創出。撮影前から大幅に減量を行い、十亀の威圧感や鋭さを身体のラインから作り上げたほか、異彩を放つ“下駄スタイル”を日常生活でも取り入れ、歩幅や重心までも徹底的に体へなじませていったという。

さらに現場では、休憩時間になっても対決シーンのリハを続ける濱尾に、水上が思わずツッコんだというストイックなエピソードも…。こうした入念な準備と役への前のめりな姿勢が、スクリーンに息づく十亀条のカリスマ性を支えているのは間違いない。強く、冷たく、しかしどこか壊れそうな危うさを纏った十亀の存在感は、そんな濱尾が演じたからこそ。彼のひたむきな情熱が、十亀というキャラクターをさらなる味わい深い人物として際立たせているのだ。

主人公、桜遥にとっての最大のライバルとなる十亀 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
主人公、桜遥にとっての最大のライバルとなる十亀 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

拳と拳で互いの想いをぶつけ合う奥深い人間ドラマ

また本作は、破壊ではなく“守るための鉄拳”が炸裂するヒーロー映画としての側面も持つ。なかでも観客の心を強く揺さぶるのは、アクションが単なる殴り合いではなく、キャラクター同士の心情や信念がぶつかり合う対話として描かれている点だ。

風鈴高校1年生で長身を活かしたパワーから狂犬と恐れられている杉下京太郎(JUNON) [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
風鈴高校1年生で長身を活かしたパワーから狂犬と恐れられている杉下京太郎(JUNON) [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

クライマックスでは防風鈴と獅子頭連が総力を上げて衝突する壮絶な乱闘が展開。仲間を思う気持ち、譲れない想い…。そのすべてが拳となってぶつかり合い、一瞬たりとも目が離せない。

そんなゲキ熱の本作で印象的なのが、“ケンカは対話”というフレーズ。「拳が時に、言葉より相手を知る言語になる」。この台詞が示すように、本作は不良映画の枠を超え、人間同士が真正面から向き合うドラマとしての深みを放っている。

観終えたあとに残るのは暴力の衝撃ではなく、胸の奥にじんわりと灯る友情の温もり [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
観終えたあとに残るのは暴力の衝撃ではなく、胸の奥にじんわりと灯る友情の温もり [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

桜と十亀が繰り広げるアクロバティックな格闘シーン

防風鈴の総長である梅宮(上杉柊平)と兎耳山が激突する強烈な対話も見どころだが、やはり見逃せないのは桜と十亀が繰り広げるアクロバティックな格闘シーンだろう。長身&下駄フットワークを活かした濱尾の迫力ある攻撃と、それを紙一重でかわす水上の身体能力によって生まれた攻防はまさに息をのむ迫力。同時に、拳を交えることで初めて伝わる言葉にならない本音が2人の胸にあふれ、敵同士でありながら互いの核へと迫った瞬間、アクションは戦いを超え、心の底に触れ合う対話へと昇華していく。

本作のメガホンをとった『ブルーピリオド』(24)の萩原健太郎監督は、「ケンカしたくなる映画ではなく、仲間を思って肩を組み合いたくなる映画にしたかった」と語る。その言葉通り、観終えたあとに残るのは暴力の衝撃ではなく、胸の奥にじんわりと灯る友情の温もりだ。本作はスカッと楽しめる痛快アクションでありながら、仲間の存在が確かな力を与えてくれる友情譚でもあり、それが唯一無二の感動を届けてくれる。

全世界累計発行部数1000万部突破の大人気不良漫画を実写化した『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会
全世界累計発行部数1000万部突破の大人気不良漫画を実写化した『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』 [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会

超ド級のアクションと仲間を思う気持ちが交差する、この冬を熱くする『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』。劇場でこの“風”を全身で感じつつ、濱尾ノリタカの魂の演技を見届けてほしい。

文/足立美由紀

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