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「本当に引退しようかと…」町田ゼルビアの“鉄人”昌子源、今季公式戦50試合出場も「やめようかな」と家族に話した過去を激白

  • 2025.12.10

[AFCチャンピオンズリーグ・エリート第6節、FC町田ゼルビア 3-1 蔚山HD FC、12月9日、東京・町田GIONスタジアム]

町田はホームでの蔚山戦を3-1で勝利し、AFCチャンピオンズリーグ・エリートで2連勝。年内最後の公式戦を白星で締めくくった。

この日、主将として腕章を巻いて先発した元日本代表DF昌子源主将は、身体を張った守備でチームの勝利に貢献。

試合後には、主将として今季のチームのパフォーマンスを振り返った。

画像: ドリブルでボールを運ぶ昌子(写真右) (C)Getty Images
ドリブルでボールを運ぶ昌子(写真右)

「本当に引退しようかと…」

「最後の失点は、今季を象徴しているというか、ああいうのが減らないと…」

後半2分までに3ゴールを挙げて試合を決定づけた町田だったが、後半10分にロングボールから相手に背後を取られ、失点を喫した。

町田のディフェンスリーダーは「失点シーンは、オープンに自分たちも持って行った中でのイージーな入れ替わりからやった。あそこでの強さが僕らの強さだったので、一本のパスでひっくり返されると…。あっさり失点してしまうのが今年は多かったと思います」と語り、守備の甘さが残った1年を悔やんだ。

同選手は続けて「3-1で終わる試合が多いので、そういうところもしっかり来季に向けてやっていく一つの反省材料だと思います。メンバーが変わる可能性が大いにある中で、またそこから“強い町田”をもう一回築いていかなければいけない」 と、今季の反省点を糧にする。

昌子は今季、町田が戦った公式戦全52試合のうち、50試合に出場。後方からチームを支え続けた。

「(11日に)33歳になりますけど、まだまだやりたいですし、僕より先輩方がまだまだバリバリやられてる人が多いのでね」

今季は天皇杯の京都産業大戦とJ2カターレ富山戦を除く公式戦に出場し、鉄人ぶりを見せた昌子だが、過去にはコンディション不良に悩まされた時期もあった。

2019年、フランス1部トゥールーズに移籍した昌子は、合流直後の練習で左ハムストリングを負傷。はらに同年9月に右足首を捻挫した。

その後、復帰と離脱を繰り返していた元日本代表DFは、翌年にJ1ガンバ大阪へ移籍。Jリーグ復帰後も、度重なる負傷に苦しめられた。

「いまでも思いますよ。 ガンバのときはもう本当に引退しようかと思った。あんまり引退したいとか、サッカーをやめたいと思うことはないし、妻に言う言葉なんてなおさらないですけど、初めてですね。 妻に『ちょっとやめようかな』とこぼすぐらい悩んでいました」

町田の背番号3は、当時を思い出しながら「それでも“昌子源”っていう選手として、このまま終わっていくと思わせたくなかった。ガンバ時代は、意図的に大きく言って、『昌子源はまだもがいている』というのを見せて、『まだここからや』と思わせたかった。いまでもサポーターの皆さんに申し訳ないと思っている。ガンバの皆さん、鹿島(アントラーズ)の皆さんに観てほしいわけではないですが、まだまだ33歳でも戦っている姿を見せられて良かったです」 と胸を張った。

画像: チームメイトとハイタッチをする昌子(写真中央、右から3番目) (C)Getty Images
チームメイトとハイタッチをする昌子(写真中央、右から3番目)

また同選手は、J1でプレーする同世代のライバル選手たちの活躍が、大きな刺激になっていると明かした。

「(佐々木)翔くんもそうやし、大迫(勇也)くん、ゴンちゃん(権田修一)、扇原(貴宏)くんとかね。 あとは直接の面識はないですが、稲垣祥くん。一つ年上で全試合フル出場していますし、11点も取って、化け物ですよね(笑)。あと(植田)直通、(古賀)太陽ですか。

少し昔と違って、30代に入ったからベテランという表現は少しずつ後退しているのではないかなと。まだまだ中堅の気持ちでやらないといけないと思います」

今季、公式戦50試合に出場した昌子は、シーズンを通して自身とチームの精神的支柱となり続けた二人の副キャプテンの存在について語った。

昌子を支えた二人の副キャプテン

町田は今季、クラブ史上初の天皇杯制覇を成し遂げたが、ケガ人が続出して、なかなか勝ちきれない試合が続くなど難しいシーズンを送った。

そのようなシーズンで主将を務めた昌子。最後までチームをけん引し続けられた大きな要因に、二人の副キャプテンの存在があった。

「本当に(みんなに)支えられました。 名前を挙げたらきりがないんですが、やっぱり(中山)雄太と(下田)北斗くんですかね。副キャプテンの二人には直接感謝を言いたいです。

雄太と北斗くんは、僕が持っていない感覚でチームを見てくれていますし、ときには厳しく言ってくれます。僕の立場的に、ときにはスタッフの味方をしないといけないときがあるので、僕がちょっとスタッフ寄りというのを察知して、行動してくれる瞬間もあります」

昌子によると、自身と中山、下田は「(チームを)見ている角度が違う」という。だからこそ、三者三様の視点が歯車のように噛み合い、チームに力強い循環を生み出している。

画像: 今季、チームをけん引し続けた昌子(左)と中山(右) (C)Getty Images
今季、チームをけん引し続けた昌子(左)と中山(右)

町田は来季に向けて再びチームを再構築していかなければならない。

それでも、昌子、中山、下田の3人がまとめるこのチームは、さらに結束力を高め、新たなステージへと歩みを進めていくはずだ。

(取材・文 縄手猟)

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