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Z・Y世代の「燃え尽き」は平均25歳で生じる(アメリカ)

  • 2025.12.10
Z世代の燃え尽きが深刻なのはなぜか? / Credit:Canva

「以前は仕事の意欲を保てていたのに、今では心身ともに疲弊し、やる気が出ない」と感じる燃え尽き症候群を経験する人が増えています。

最近の調査では、とくにZ世代がこれまでにない早さで限界に達している可能性が示されました。

アメリカのTalker Researchによる2,000人調査では、Z世代とY(ミレニアル)世代のストレスや燃え尽き感のピークが平均25歳とされ、一般的なピークは42歳という全体傾向と比べても異例の早さであることが示されました。

いったいどうしてZ世代は早くに燃え尽きてしまうのでしょうか。

調査の詳細は、Talker Researchの報告(2025年3月7日公開)に記されています。

目次

  • アメリカのZ世代とミレニアル世代の「燃え尽き」は平均25歳で生じる
  • なぜZ世代の燃え尽きが深刻化しているのか

アメリカのZ世代とミレニアル世代の「燃え尽き」は平均25歳で生じる

燃え尽き症候群とは、仕事に期待するものと実際に求められるものの間に大きなギャップが生じたときに起こる心理的な疲弊のことです。

必要なスキルや資源が不足していたり、仕事量が多すぎたり、求められる役割が曖昧だったりすると、心身に負荷が積み重なり、慢性的な疲労が蓄積していきます。

この疲労は、仕事に距離を置きたくなるような冷めた感覚や投げやりさにつながり、さらに自分の力を信じられなくなる感覚へと進行します。

Talker Researchが2025年3月に実施した2,000人規模の調査は、Z世代とY(ミレニアル)世代の深刻な状態を明確に示しました。

調査によると、アメリカ人のおよそ4人に1人が30歳前に燃え尽きを経験していると回答しました。

そして、18〜44歳のZ世代(1990年代半ば~2010年代前半生まれ)とミレニアル世代(1981年〜1990年代半ばの生まれ)では、ストレスや燃え尽き感が最も強くなる時期が平均25歳とされています。

これは全体のピークが42歳前後という結果と比べて大きく早く、社会人としての初期段階で強い負荷に直面している可能性を示します。

またこの調査結果は、これまでにこれまでに行われた他の調査とも一致しています。

たとえば、イギリスの研究ではZ世代の燃え尽きがパンデミック後の18カ月の追跡期間で80%に達したとされました。

また11カ国・1万3,000人超の国際調査では、Z世代が83%、他の従業員が75%と、若い世代の高さが際立ったと報告されています。

カナダでもZ世代の回答者の51%が燃え尽きを感じているという調査結果があります。

では、世界中のZ世代の燃え尽きが深刻化しているのはなぜでしょうか?

なぜZ世代の燃え尽きが深刻化しているのか

カナダのゲルフ・ハンバー大学(University of Guelph-Humber )の専門家ニティン・デッカ氏は、その理由として3つの構造的な問題が重なっていると解説しています。

1つ目は、多くのZ世代が新型コロナウイルスの感染拡大期からその直後に就職し、職場での自然な学びや人間関係づくりが難しい状況でスタートしたことです。

先輩の働き方をそばで見たり、ちょっとした会話から学べる仕事のコツが得にくくなり、孤立感が強まりやすかった可能性があります。

2つ目は、経済的な不安定さの増加です。

大学を出れば安定した生活に近づけるという以前の期待が揺らぎ、住宅費や生活費の上昇、格差の拡大、雇用の不安定さが若い世代の将来像を曇らせています。

努力が報われる見通しが立てにくい環境は、仕事への意欲や自己効力感を削りやすい土壌になります。

3つ目は、AIとハイブリッドワークによる職場構造の変化です。

自動化が進むことで仕事の背景や意味が見えにくくなったり、出社と在宅が混ざる働き方でつながりが細切れになったりすると、若手が判断や成長のモデルを学ぶ機会が減ってしまいます。

この「つながりの弱さ」と「学びの不足」は、燃え尽きの2段階目である冷めた感覚や距離感を強めやすいと考えられます。

加えて、世代によってストレスの内容が大きく異なる点も重要です。

今回のTalker Researchの調査によれば、若い世代は仕事やお金、メンタルヘルスに悩み、中高年層では政治や身体の健康が主要なストレス要因となっています。

世代によって苦しさの種類が違うと理解すると、Z世代の早い燃え尽きが、個人の性格ではなく社会環境の変化と結びついて見えてきます。

Z世代は決して弱いわけではなく、急激に変化する社会の最前線に立たされ、他の世代よりも早い時期に大きな負荷を受けていると考えられるのです。

若者の燃え尽きは、働き方や社会の仕組みがどこで無理を生んでいるのかを示すサインでもあります。

参考文献

Gen Z is burning out at work more than any other generation — here’s why and what can be done
https://theconversation.com/gen-z-is-burning-out-at-work-more-than-any-other-generation-heres-why-and-what-can-be-done-270237

Poll: A quarter of Americans are burnt out before they’re 30
https://talkerresearch.com/poll-a-quarter-of-americans-are-burnt-out-before-theyre-30/

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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