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780円のパスタを食べた彼女に「1000円でいいよ」とドヤ顔の彼氏…大半は自分が飲み食いした分なのに「俺が奢った」ヅラをする理由【作者に聞く】

  • 2025.12.10

街中がイルミネーションで彩られ、ロマンチックなムードが高まる季節。しかし、現実の恋愛はドラマのように甘いことばかりではない。 港区カンナ(@mina_kan_chan)さんが描く漫画『東京モブストーリー ヒロインになれない私たち』は、それぞれ異なる“こじらせ”を抱えた25歳の女性4人を主人公にした群像劇だ。今回はその中から、年上彼氏との金銭トラブルに悩む「みなみ」のエピソードを紹介する。

「今日は好きなだけ頼みなよ」その言葉の裏側

みなみは、10代の頃に恋愛に関心が薄かった反動か、大人になってから少々難ありな男性ばかりを選んでしまう傾向がある。友人に相談すれば「その人はやめておきなよ」と忠告されるような相手と付き合っては、痛い目を見ていた。

現在の恋人・ハルトもその一人だ。4歳年上で普段は優しげなのだが、お金のことになると途端にシビアになる。みなみの部屋に転がり込み半同棲状態であるにもかかわらず、光熱費の負担をお願いすると「がめつい」と拒否するなど、自分の財布を開くことを極端に嫌う一面があった。

そんなハルトとのある日のファミレスデート。「今日は気にせず好きなだけ頼んでいいよー」と、珍しく彼が太っ腹な発言をした。 「ありがとう!」とみなみは喜び、彼の奢りだと信じて食事を楽しむ。しかし、その期待は会計時に脆くも崩れ去る。

伝票を見たハルトが発したのは「みなみは1000円でいいよ」という言葉だった。 奢りではなかったことへの落胆に加え、さらに衝撃的な事実が発覚する。ハルトが飲み食いした金額が大半を占めており、みなみが注文したのは780円のパスタのみ。つまり、別々に会計したほうが安かったにもかかわらず、ハルトは彼女から多めに徴収し、あまつさえ「安くしてやって恩を売った」気でいたのだ。

25歳ならではの葛藤と、埋まらない価値観の溝

本作のコンセプトについて、作者の港区カンナさんは「いわゆる“モブキャラ”と呼ばれるような普通の人々にスポットを当てたかった」と語る。 主要キャラクターを全員25歳に設定したのも、社会人として自立しつつも、まだ大人になりきれない微妙な年齢特有の揺らぎを描きたかったからだという。

みなみというキャラクターには、「この世代の女性が陥りがちな悩み」を投影させた。読者が自身の経験と重ね合わせられるよう、「身に覚えがありそうなエピソード」を丁寧に紡いでいる。今回のような金銭感覚の不一致も、多くのカップルが直面する普遍的なテーマとして取り上げたそうだ。

悪気がないからこそ厄介な「ズレ」

問題の会計シーンについて、港区カンナさんはハルトの心理を「おそらく彼は、ほぼ割り勘、あるいは自分が多めに払わせているという事実に気付いてすらいない」と推測する。悪意があって搾取しているわけではなく、無自覚だからこそタチが悪いとも言えるだろう。

みなみのモヤモヤした心情がリアルに描かれているが、2人の価値観のズレについて港区カンナさんはこう締めくくった。 「私自身の感覚はみなみちゃんに近いです。ただ、これはどちらが正しい、悪いという問題ではありません。大切なのは、自分と感覚の近い相手を選ぶことだと思います」

“好き”という気持ちだけでは乗り越えられない、お金と価値観の壁。あなたなら、こんな彼氏を許せるだろうか。

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