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松屋銀座開店100周年・『婦人画報』創刊120周年記念『 つなぎ、つたえる「人」と「家」 特別展 京都 十二の家』が開催

  • 2025.12.9
撮影=久保田康夫

『婦人画報』創刊120周年を記念した特別展が、2025年12月27日(土)から東京の松屋銀座で開催されます。展覧会名は、『-つなぎ、伝える「人」と「家」-特別展 京都 十二の家』。

会場には、長い歴史の間に小誌が足を運び、取材を重ねた京都の十二の家が作り伝えてきた「美しきもの」およそ70点と、小誌アーカイブスが華やかに並びます。漆器、抹茶茶碗、屛風、きもの……。作品の一部をひと足先に誌上公開します。

京都の十二の家が手掛け、守り続けてきた「美しきもの」たち

小誌が大切にしてきたのが、茶道、華道、工芸、芸能などの伝統文化を受け継ぎ、次代に伝えてきた京都の「人」と「家」です。

その「家」の「人」が手掛け守り伝えてきた「美しきもの」は、つなぎ、伝えていくことの大切さを、静かに物語っています。(五十音順)

華道 池坊(いけのぼう)家

《関東献上百瓶図貼交屛風》江戸時代後期 一般財団法人池坊華道会蔵 撮影=久保田康夫

聖徳太子に仕えた小野妹子を祖とし、当代の池坊専永は華道家元四十五世としていけばな界を牽引。若宗匠 池坊専好は池坊初の女性家元となる。

有職御人形司 伊東(いとう)家

十二世伊東久重《一番》2023(令和5)年 撮影=久保田康夫

江戸時代より宮中に御所人形を作り納める。当代の十二世久重は胡粉高盛金彩絵(ごふんたかもりきんさいえ)も手掛ける。2019年に久重十三世嗣として、長男の建一が庄五郎を襲名。

京舞井上流 井上(いのうえ)家

《黒地松竹梅留袖》祇園甲部の始業式における「倭文(やまとぶみ)」の際などで着用 撮影=久保田康夫

京舞井上流は200年以上の歴史を有する祇園甲部唯一の正式流派。当代五世井上八千代は、四世井上八千代に引き続き、人間国宝に認定されている。

日本画 上村(うえむら)家

上村松園《鼓の音》 1940(昭和15)年 松伯美術館蔵 撮影=久保田康夫

数多くの美人画の傑作を残し、女性初の文化勲章を受章した上村松園。雅やかな京都画壇の系譜は、子・上村松篁、孫・上村淳之と続いた。

金剛流宗家 金剛(こんごう)家

近江作 《能面 小面》江戸時代金剛家蔵 撮影=久保田康夫

能楽のシテ方五流派のひとつで唯一京都に拠点をもつ。現宗家は二十六世金剛永謹。鮮やかな型の中に京都らしい優美さを兼ね備え、「舞金剛」とも称される。

染織 志村(しむら)家

志村ふくみ 《杜》(もり) 2025(令和7)年 撮影=久保田康夫

母の影響で草木染を始め、人間国宝に認定された染織家・志村ふくみと娘の洋子、そして孫の昌司による「アトリエシムラ」が、「しむらのいろ」を受け継ぐ。

茶道裏千家 千(せん)家

玄々斎好《立礼式点前 図面寸法記》淡々斎箱書 撮影=久保田康夫

千利休を始祖とする茶道三千家のひとつで、茶室「今日庵」を有する。歴代家元は「宗室」を名乗り、当代の坐忘斎宗室で十六代を数える。

瓢亭 髙橋(たかはし)家

永楽即全《金襴手八角鉢》 撮影=久保田康夫

南禅寺境内の門番所を兼ねた腰掛茶屋を端緒とし、創業四百余年という京都でも有数の歴史をもち、数多くの文化人に愛されてきた料亭「瓢亭」を代々営む。

塗師 中村(なかむら)家

十二代中村宗哲《利休梅溜大棗》1990(平成2)年 撮影=久保田康夫

400年近く続く、千家の茶道具を主とする塗師の家で、代々が「宗哲」を襲名。先代十二代、当代十三代と正式に女性が当主となり、家業を守り継ぐ。

友禅 森口(もりぐち)家

森口華弘 友禅染額 習作《海の音》 1971(昭和46)年 森口家蔵 撮影=久保田康夫

蒔糊(まきのり)の技法を用いた友禅染で人間国宝の認定を受けた森口華弘。同じ分野ながらも父とは異なる斬新な意匠で、次男の森口邦彦も人間国宝に認定される。

樂焼窯元 樂(らく)家

初代長次郎《黒樂茶碗 銘:万代(よろずよ)》16世紀後半 樂美術館蔵 撮影=久保田康夫

千利休の創意を受け、約450年にわたり樂焼の伝統と技術を継承してきた樂家。2019(令和元)年7月、十六代吉左衞門が代を継いだ。

冷泉流歌道 冷泉(れいぜい)家

《百人一首かるた》 江戸時代後期 冷泉家時雨亭文庫蔵 撮影=久保田康夫

平安・鎌倉期の歌人、藤原俊成、定家を祖とし、現当主で二十五代を数える。歌道の宗家のひとつとして、冷泉流歌道を伝承。

<展覧会の見どころとイベントについて>

12 0年の歴史からエポックメイキングな記事を厳選

『婦人画報』アーカイブ展

創刊号の巻頭グラビアは「華族女学校」の運動会。走る女学生の姿は新鮮だった。 Hearst Owned
洗練されたデザインが魅力的な昭和初期の誌面。 Hearst Owned

初代編集長・国木田独歩のもと、1905(明治38)年に創刊された『婦人画報』は、120年という長きにわたり、衣・食・住をはじめとする上質な情報を、知的好奇心豊かな女性たちに送り届けてきました。そうした膨大なアーカイブスのなかから、時代の空気を物語るエポックメイキングな記事を厳選して紹介します。

後に名著『懐石傳書』となる辻嘉一氏の料理連載。 Hearst Owned
表紙は雑誌の顔。そして時代の空気を映す鏡

壮観!『婦人画報』表紙展

Hearst Owned

120年間の間に『婦人画報』は、増刊号なども含め1460点以上の表紙を作ってきました。アール・ヌーボー調の創刊号の表紙に始まり、大正モダンを思わせる可愛らしい表紙絵、やがて大家となる画家の若かりしころの作品、人気俳優の艶やかなポートレート……。200点以上の表紙が並ぶ様子は圧巻です!

若きふたりのアーティストによるスペシャルトーク

池坊専宗氏(華道家・写真家)×樂 雅臣氏(樂家次男・彫刻家)

撮影=高嶋克郎
撮影=高嶋克郎

池坊家と樂家。連綿と続く歴史をもつ家に生まれ育ち、ジャンルの異なる分野で活躍するふたりの若きアーティストが、初のコラボレーションに挑み、作品の前で語ります。

日時 12月27日(土) 11時~
会場 松屋銀座8階イベントスクエア「特別展」会場内
*スペシャルトークの詳細は松屋ウェブサイトをご覧ください。

宮中に納める、由緒正しき御所人形の作り手が語る

有職御人形司 十二世伊東久重氏によるギャラリートーク

撮影=久保田康夫

真ん丸のお顔に真っ白な肌、ほほ笑みかけてくる瞳。宮中の慶事に納められる由緒正しき御所人形を手掛ける十二世伊東久重さんに作り手としての思いなどを語っていただきます。

日時 1月16日(金) 14時~
会場 松屋銀座8階イベントスクエア「特別展」会場内
*ギャラリートークの詳細は松屋ウェブサイトをご覧ください。

池坊の立花が会場入り口でお出迎え

池坊専好若宗匠監修によるいけばな作品の展示

色鮮やかな花のみならず、虫食い葉や枯葉までも草木の命の姿ととらえ美を見出す池坊。室町時代後期に池坊専応によりこのような理念が確立されて以来、常にいけばなの中心的存在である池坊の立花(りっか)が会場入口に全会期中展示されます。

作り手が振り返る120年

『婦人画報』編集長が語る、120年の歴史

120年という長い歴史の間、編集部はどのような姿勢で社会を見つめ、ページを作り続けてきたのでしょうか。小誌編集長の西原史が雑誌の変遷を語ります。

展覧会期間限定の京都セレクトショップ

「つなぎ、つたえる京の逸品」販売

今回の展覧会開催を記念し、厳選した京都の逸品が集結。展覧会に参加してくださったお家ゆかりの作品から、このコーナーでしか手に入れることのできない逸品まで。展覧会期間限定の京都セレクトショップです。

出店予定店(変更になる場合もあります)
アトリエシムラ、 鍵善良房、 開化堂
かづら清老舗、 京都村上開新堂、 香老舗松栄堂
末富SUETOMI AoQ、 とらや、 原了郭 、瓢亭

photo=婦人画報松屋銀座開店100周年・『婦人画報』創刊120周年記念

【展覧会概要】─つなぎ、つたえる「人」と「家」─ 特別展 京都 十二の家

会場/松屋銀座8階イベントスクエア
会期/2025年12月27日(土)~2026年1月19日(月)〈1月1日(木・祝)2日(金)は定休日〉
開場時間/11時~20時 〈1/4(日)、1/12(月)、1/18(日)は、19時30分まで。最終日は17時閉場。入場は閉場の30分前まで。年末年始の営業は松屋ウェブサイトをご覧ください〉*12月27日はイベント開催のため一般入場は12時からとなります。(*の情報は変更になる場合もあります)
入場料(税込)/一般 2,000円(1,700円)、高・大学生1,500円(1,200円) 小・中学生1,000円(700円) 未就学児無料 *( )内は前売り料金。前売りはローソンチケットにて取り扱い。
主催/ハースト婦人画報社 松屋
企画/イムラアートギャラリー 企画協力 オフィス クローバー

撮影=久保田康夫 編集・文=櫻井正朗(オフィス クローバー) 編集=吉岡尚美(婦人画報編集部)

『婦人画報』2026年1月号より

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