1. トップ
  2. 恋愛
  3. 恋人と「政治の価値観」が違うと、関係満足度が下がる

恋人と「政治の価値観」が違うと、関係満足度が下がる

  • 2025.12.9
Credit: canva

「恋人同士で政治の価値観が異なると、関係の満足度が下がる」という傾向が、米カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の研究で明らかになりました。

「政治なんてプライベートには関係ない」と思いたい人もいるかもしれません。

ですが、社会の分断が進む現代、家庭や恋愛の場にも“政治の壁”が静かに浸透しているようです。

いったい恋愛関係と政治的価値観の違いには、どんな相関があるのでしょうか?

研究の詳細は2025年12月の学術誌『Journal of Personality and Social Psychology: Interpersonal Relations and Group Processes』に掲載されています。

目次

  • カップルの多くは「政治的に似ている」現実
  • 「価値観の違い」は関係の満足度を下げる

カップルの多くは「政治的に似ている」現実

まず驚くべきなのは、アメリカ人を対象にした調査によると、カップルのほとんどが「お互いに政治的価値観が似ていた」という事実です。

研究では、500組以上のカップルに着目し、それぞれの政治的立場を調べました。

その結果、「自分と同じ政党を支持している相手」と恋人関係・夫婦関係になるケースが圧倒的多数でした。

実際、アメリカの民主党と共和党という「2大政党」をまたいだカップルは、全体の8%にも満たないというデータが出ています。

つまり、多くの人は無意識のうちに、「自分と政治観の近い人」と付き合い、「価値観の違う人」を恋愛対象から外しているようです。

また、「どんな人が党派をまたぐ恋愛をしやすいのか」という点も調査されましたが、年齢や学歴、収入、性格などの違いはほとんど影響を及ぼしませんでした。

唯一、「恋人と価値観が一致していることをどれほど重視するか」がカギとなっていました。

「価値観の一致」にこだわらない人だけが、政治的に異なる相手とも関係を築く傾向を示していたのです。

「価値観の違い」は関係の満足度を下げる

それでは、恋人や配偶者と政治の価値観が違う場合、関係にはどんな影響が現れるのでしょうか。

研究チームは、カップルの「満足度」「親密さ」「ケンカの頻度」などを詳細に調査。

その結果、「パートナーと政治的に違う」と感じている人は、同じ価値観のカップルよりも満足度がやや低くなる傾向が明確に見られました。

特に「実際に党派が違うかどうか」よりも、「自分がどれだけ相手と似ていると感じているか」が満足度に強く影響していたのです。

つまり、事実として党派が違っていても、「自分たちは似ている」と思えれば問題は小さくなり、逆に「自分とは違う」と感じれば、それだけで満足度は下がります。

さらに、日記形式で2週間連続して毎日の関係の質を記録してもらう調査も実施されました。

この細かい分析では、実際の政治的立場が異なるカップルは、日々の幸福度がわずかに低くなることも確認されました。

この差は決して大きくありませんが、統計的には確かな傾向として現れています。

また、「パートナーに感謝する」「相手の考えを理解しようとする」などの行動は、この“違いによるストレス”をやわらげる効果があることも分かっています。

しかし、政治的な違いが完全に消えるわけではなく、外部の政治的ニュースや社会的緊張が高まる時期には、こうしたカップルほどストレスや満足度低下の影響を受けやすくなるようです。

この研究はアメリカを対象としたものですが、「政治的な分断」が進む社会であれば、同じような現象は世界中で起こる可能性があります。

私たちが思っている以上に、「政治観の違い」は恋愛や結婚、家族に静かに影響を及ぼしているのかもしれません。

参考文献

New study finds political differences predict lower relationship quality
https://www.psypost.org/new-study-finds-political-differences-predict-lower-relationship-quality/

元論文

I love you but I hate your politics: The role of political dissimilarity in romantic relationships.
https://doi.org/10.1037/pspi0000467

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる