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長い夜の親子時間に読みたい絵本『ヨルとよる』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】

  • 2025.12.8

ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中からピックアップ。親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。今回は、冬至が過ぎたこの時期に読みたいこちらの絵本をご紹介します。

ヨルとよる

長い夜の親子時間に読みたい絵本『ヨルとよる』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】の画像1

『ヨルとよる』
あさのますみ/作 よしむらめぐ/絵 教育画劇 1540円

一年で一番夜の長い冬至が過ぎたとは言え、まだまだすぐに日が暮れるこの季節。
長い夜の親子時間に、こちらの絵本、『ヨルとよる』はいかがですか。

ヨルは、ミリちゃんのお家で暮らしている、黒猫の男の子。
「ヨルはね、よぞらみたいな いろだから
ヨルって なまえなんだよ」
ヨルをひざにのせて、優しくなでながら教えてくれるミリちゃんですが、ヨルには何のことだかわかりません。
お家の中で暮らしているヨルは、外の世界に出たことがないのです。

ある日、ヨルはお家の外壁のすきまに、白いネズミがはさまっているのを見つけます。
「たいへん!」
手を伸ばして、ネズミをそこから出してあげたヨル。
助けてもらったネズミとヨルは、それからたくさんおしゃべりをしました。
ヨルが驚いたのは、ネズミが聞かせてくれた夜の町の話。
「よるって、まっくらで、しずかで、ねむるものでしょ?」
とヨルが言うと、
「よるって、まぶしくて、にぎやかで、おいしいもんだよ」
とネズミは答えます。
お互いの知っている夜は、同じ時間のはずなのに、全然違うものみたい。
その日の晩、ネズミの案内で、ヨルは生まれて初めて部屋の窓から抜け出し、夜の町を歩きます。
確かにそこにあったのは、まぶしい夜、にぎやかな夜、おいしい夜。
思わぬドキドキと、とびきりのおいしさも体験したヨルは、今度はネズミを、まっくらで、しずかで、ねむる夜に案内します。

読み終えた後は、幸せで温かな気持ちに満たされて、夜という時間が今までよりも素敵に思えてくる物語。
おやすみ前に、ゆっくり読み聞かせするのにもぴったりの一冊です。
何より、ふかふかの毛並みとまんまるの瞳のヨルがなんとも愛らしくて、何度も繰り返し開きたくなるのです。

選書・文
原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

※こちらの記事は2022年12月にweb掲載したものを再編集しています。

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