1. トップ
  2. 恋愛
  3. 布団から出たくない季節がきた…世界の研究が導きだした「スヌーズ連発グセ」が一発でおさまるシンプルな方法

布団から出たくない季節がきた…世界の研究が導きだした「スヌーズ連発グセ」が一発でおさまるシンプルな方法

  • 2025.12.8

朝、目が覚めても布団の中でだらだらすごす癖を直す方法はないか。著述家のニルス・ソルツゲバーさんは、「100以上の研究が導き出した理想的な行動の達成率を2倍以上にする方法がある」という――。

※本稿は、ニルス・ソルツゲバー著、弓場隆訳『科学的根拠で 先延ばしグセをなくす』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

コーヒーを飲む寝起きの男性
※写真はイメージです
先延ばし防止に有効な「実行意図」

思いどおりに行動するよう自分をプログラムできたら、すばらしいと思わないか?

行動の合図を書くだけで自動的にその合図に従うようにできたら、あるいは翌日の行動を計画できたら、すばらしいと思わないか?

幸いなことに、「実行意図」というテクニックを使えば、まさにそれをすることができる。

実行意図とは、未来における特定の状況でどのように行動するかをあらかじめ決めておく「If-Thenプランニング」とのことだ。それは「Aという状況が起きたら、Bという行動をする」という図式になる。

つまり、「合図(Aという状況が起きたら)」と「望んでいる行動(Bという行為をする)」を結びつけるのだ。

If-Thenプランニングの具体例

具体例を紹介しよう。

「目が覚めたら、すぐにベッドから出る」
「食事が終わったら、すぐに食器を洗ってキッチンをきれいにする」

こんなふうに、未来においてどんな行動をするかをあらかじめ決めておくのだ。

そうすれば、冷静かつ理性的に決定をくだし、行動に移すことができる。

「Aという状況が起きたら、どうしたいか?」「Aという状況が起きたら、どう行動をとるのが最適か?」「Aをやり終えたら、何をしたいか?」と自分に問いかければいいのだ。

実行意図は単純すぎて本当に効果があるのか疑問に思うかもしれないが、私たちの行動パターンを好転させるうえで最も効果があると、現代心理学で証明されている手法のひとつである。

この記事では、実行意図がなぜ効果的かを説明し、その効果に関する科学的な研究を紹介しよう。そして最後に、私の例をもとにして実行意図の作成をお手伝いする。

サンタ帽をかぶった楽しそうな若者たち
※写真はイメージです
実行意図は達成率を2倍以上に押し上げる

信じられないかもしれないが、実行意図が人びとの行動を変えるのに効果的であることは、100以上もの研究で証明されている。

ある研究では、クリスマス休暇前の学生たちに、休暇をどのように過ごしたかについて調査する実験に参加したいかどうか尋ねた。

実験の参加に同意した学生たちは、クリスマスをどうやって過ごしたかについて作文を書いて、クリスマスから2日以内にそれを提出するよう指示された。さらに参加者の半数には、いつどこで作文を書くかを決めることが求められた。

言い換えると、前者は実行意図を使うよう指示されたのだ。

その結果は明らかだった。いつどこで作文を書くかをあらかじめ決められていた学生たちの71%が、クリスマスから2日以内に作文を提出した。実行意図を使わなかった学生たちの提出率は32%だった。

この差について考えてみよう。実行意図の計画を立てるために少しの時間を使うだけで、学生たちの提出率は2倍以上に上がったのだ。

実行意図の明白な有効性

別の研究では高校1年生の夏休みの課題について調べた。彼らは秋の模擬テストのために勉強するという目的を持っていた。5月に生徒たちに10回分の模擬テストが掲載された問題集を渡し、夏休み明けの9月にそれを提出させると通知した。

一部の生徒は夏休みにいつどこで(たとえば自分の部屋で月曜から木曜までの朝食後)問題集に取り組むかを決めるよう求められた。その生徒たちは夏休みに一度も研究者と連絡をとらなかった。

9月になって生徒たちに問題集を提出させると、実行意図を使った生徒と使わなかった生徒のちがいは歴然としていた。実行意図を使わなかった生徒は平均100問に取り組んだのに対し、実行意図を使った生徒は平均250問に取り組んだのだ。

ここでもパフォーマンスは2倍以上の差がついた。実行意図の作成は少しの時間でできることであるにもかかわらず、これだけの差がつくのだ。

さらに別の実験は、実行意図を使って禁煙を手伝うという趣旨のもと行われた。

その結果はどうなったか? 実行意図を使った人はそうでない人より2カ月で喫煙本数が激減した。

より重要なこととして、実行意図を使った人の12%が完全に禁煙に成功したのに対し、実行意図を使わなかった人の成功率はわずか2%だった。

煙草を握りつぶす禁煙のイメージ
※写真はイメージです
成功の確率を高めるには、行動を計画する

何を実行するかに関係なく、実行意図は成功の可能性をぐんと高めてくれる。

目標達成の第一人者でコロンビア大学モチベーション・サイエンス・センター副所長のハイディ・グラント・ハルバーソン博士は著書『やってのける』(大和書房)などで、実行意図の効用を的確にまとめている。

「最近、ニューヨーク大学の心理学者ペーター・ゴルヴィツァー教授とパスカル・シーラン教授は実行意図の効果を測定した94の研究の結果を調べたところ、どんな目標でも高い割合で達成していることがわかった。

たとえば、より頻繁に公共の交通機関を使う、有機食品を買う、人助けをする、より注意して車を運転する、酒を飲まない、タバコを吸わない、リサイクルをする、新年の目標をやり遂げる、公平に交渉する、差別と偏見を排除する、数学の問題を解くなど、どんな目標でも実行意図はその達成に役立つ」

ハルバーソン博士はさらにこう述べている。

「いつ、どこで、どうやって目標の達成に必要な行動を起こすかを計画することは、おそらく成功の確率を高めるための最も効果的な方法である」

実行意図は信じられないほど効果的で、柔軟なツールである。

では、先延ばしグセとの戦いに勝つうえで、役立つ実用的な秘訣を具体的に説明しよう。

「合図」+「望んでいる行動」

自分の先延ばしグセについて数分間考えてみよう。

『科学的根拠で 先延ばしグセをなくす』
ニルス・ソルツゲバー著、弓場隆訳『科学的根拠で 先延ばしグセをなくす』(かんき出版)

どんなことを先延ばしにする傾向があるか?
すべきことを最も先延ばしにしやすいのはいつか?
どんな活動を最も頻繁にしていたいか?
どんな新しい習慣を身につけたいか?

自分の先延ばしグセについてあらためて考えると、実行意図を使う可能性がたくさんあることに気づくだろう。

自分が出した最適な方法に対する実行意図を書きとめ、それを声に出すか心のなかで2回繰り返そう。

それが明確な実行意図でなくてもかまわない。

「合図」と「望んでいる行動」を結びつければいいのだ。

先延ばしは「○○したら~しよう」で改善する

具体例を紹介しよう。それらを真似てもいいし、応用してもいい。

取りかかれない、誘惑に抵抗できない、意志の弱さを克服できないといった先延ばしグセに関するさまざまな問題を克服するのに役立つ。

・大きなプロジェクトに圧倒されていると感じたら、それを実行可能な小さなステップに分解し、最初のステップから取りかかろう
・スヌーズボタンを押したくなったら、すぐにベッドから出よう
・重要な課題を後回しにしたくなったら、すぐに小さなことから取りかかろう
・土曜に朝食を摂ったら、間近に迫っているテストの勉強をしよう
・疲れているからとか、明日やるからとか、プレッシャーがかかったほうが頑張れるからといった言い訳をしていることに気づいたら、それを無視して小さなことから取りかかろう
・職場から帰ったら、すぐにヘルシーな夕食を準備しよう
・就寝時間になったら、5分間だけ感謝の日記をつけよう

自分の人生を眺めると、「~したら~しよう」というパターンを使う機会が無数にあることに気づくだろう。いったん何かを思いついたら、そのパターンに当てはめて自分の行動を設定しよう。

ニルス・ソルツゲバー
起業家・著述家・ブロガー
かつては「筋金入りの先延ばし屋」だったが、科学的根拠にもとづく方法を何百冊もの自己啓発書から徹底的に学び、ついにその悪習を克服。生産的で満ち足りた人生へと変わる。ポジティブ心理学、睡眠、瞑想に精通し、執筆や心理学研究、そして世界中を旅することをこよなく愛している。

元記事で読む
の記事をもっとみる