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電動歯ブラシは効果的だが、「さらに高価な機器」よりも「良い習慣」が大切

  • 2025.12.8
電動歯ブラシは効果的だが、良い習慣がもっと大事 / Credit:Canva

現代では、様々な種類の電動歯ブラシが存在しており、高速に振動したり回転したりするなど、最新のテクノロジーをうたったモデルも少なくありません。

しかし「高価な製品ほど健康に良いはずだ」という私たちの思い込みを見直すきっかけになる研究結果が示されました。

オランダのアムステルダム大学(University of Amsterdam)の歯科医であり歯周病専門医でもあるティム・トーマスセン氏は、、口腔疾患の予防に最も影響を与えるのは、「より高価な機器かどうか」ではなく「日々の習慣そのもの」であると結論づけました。

詳細は、アムステルダム大学の『ニュース』(2025年12月4日)で発表されています。

目次

  • 電動歯ブラシは効果的!ただし「より高価なもの」を選ぶよりも「良い習慣」が大切
  • 最適なブラッシング時間と実情

電動歯ブラシは効果的!ただし「より高価なもの」を選ぶよりも「良い習慣」が大切

世界では約35億人が虫歯や歯周病といった口腔疾患を抱えており、その中心的な原因として歯垢の蓄積が知られています。

トーマスセン氏はこの深刻な状況を踏まえ、口腔疾患の予防に最も有効な方法を明らかにすることを目指しました。

そのため数十件に及ぶ国際的な臨床研究を集めて系統的レビューを行い、さらに自分自身が行った複数の実験も組み合わせて分析しました。

研究では、歯ブラシの種類やブラッシング時間、口腔ケアに関する指導の実効性など、私たちの日常生活に密接に関わるテーマが扱われています。

そして最も重要な結論は、「1日に2回、2分間のブラッシングを行うこと」「フッ化物入り歯磨き剤を使って歯を磨くこと」、さらに「歯間の清掃を毎日続ける」という基本的な習慣こそが最も大きな予防効果をもたらすという点でした。

この基本習慣は、どれほど高価で最新の機器を使うかよりも、口腔健康に直接的な影響を与えると示されています。

またこの研究では電動歯ブラシと手動歯ブラシの違いも検証され、歯垢の除去能力に関しては電動歯ブラシが手動歯ブラシより優れていることが確認されました。

しかし電動歯ブラシ同士の比較では、回転式と音波式の性能差は日常使用の範囲ではほとんど見られず最新モデルの高額化が必ずしも実際の効果向上につながるわけではないと述べられています。

そのため電動歯ブラシのユーザーは、新機能が追加された「より高価な電動歯ブラシ」を選ぶよりも、まず自分の習慣を見直す方が良いと考えられます。

では、ブラッシングの時間についてはどんなことが分かったでしょうか。

最適なブラッシング時間と実情

研究の次の焦点となったブラッシング時間の検証では、2分間のブラッシングは1分よりも明確に歯垢除去効果が高いことが確認されました。

一方で3分間に延長しても追加の効果はごくわずかであり、2分が最適なブラッシング時間であると示されています。

では人々は実際にどれくらいの時間をかけて歯を磨いているのでしょうか。

世界的に主流である手動歯ブラシのユーザーは平均して1.5分未満しか磨いておらず、推奨される2分に届いていない現状が明らかになりました。

一方、電動歯ブラシのユーザーは平均で約2.5分とより長く磨いており、この差は電動歯ブラシに搭載されたタイマー機能などが影響している可能性があるとされています。

さらにトーマスセン氏は世界の歯科関連団体が提供するオンライン情報を分析し、そのうち明確で実践的なブラッシング指導を提供しているのは全体の3分の1にとどまるという課題を示しました。

そのため研究者たちは、人々の生活習慣や能力、予算に応じて実践可能なガイドラインを整備し、国レベルの口腔ケアガイドラインを策定する必要があると提言しています。

すでにその準備は進められており、トーマスセン氏自身もそのプロジェクトに関わる予定です。

今回の研究は、より高価な機器よりも日々の習慣こそが健康な口腔を守る鍵であることを改めて示しており、私たちが今日から実践できる予防の方向性を明確にしてくれます。

参考文献

Brush well – and long enough – for a healthy mouth
https://www.uva.nl/en/content/news/press-releases/2025/12/brush-well---and-long-enough---for-a-healthy-mouth.html

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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