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生きているありがたみが込み上げてくる感動作『栄光のバックホーム』【LiLiCo's試写室】

  • 2025.12.7

生きているありがたみが込み上げてくる感動作『栄光のバックホーム』【LiLiCo's試写室】

TBS「王様のブランチ」の映画コーナーを担当し、映画コメンテーターとしても人気を集めるLiLiCoさんが、おすすめ映画を紹介していきます。今回は『栄光のバックホーム』です。

野球に生き、野球に支えられた青年が、家族とともに闘い続けた人生の軌跡

冬は毎日が映画日和。この季節だからこそ!のミニシアター作品が豊富です。ぜひ行ったことのない映画館に足を運んでみて。新しい発見が必ずあるから。

さて、皆さんは横田慎太郎という名前をご存知ですか? 2013年のドラフト会議で阪神タイガースに2位指名され、若きホープとして期待されました。ですが21歳で脳腫瘍を発症。生きるために戦い抜いた選手です。阪神タイガースのファンじゃなくても、野球がわからなくても大丈夫。だってこれは誰にでも起こり得る、親子の物語。子どもを支えるお母さんによる、お母さんのための一本なんです。

ストーリーは横田選手の野球生活と突然訪れた闘病生活を軸に、子どものために頑張る横田選手の母を描いています。きっと「なんでうちの息子が?」と叫びたいはず。でも何とか笑顔を失わないように、そして希望を捨てないように、気持ちを整えていくの。横田選手は、病気がよくならず、目が見えなくなったり、ボールが取れなかったり。そうなると「野球は嫌いです」と言ってしまうその気持ち、痛いほどわかります。

実は私の弟も病を抱えていて、母はいつも自身を責めてました。産まなければよかったのか?と。この映画で横田選手の母・まなみ(鈴木京香)の強さと、頑張りを観るだけでも力になります。「自分だったらここまでできたか?」と何度も自問自答しちゃうくらいにね。

とても素敵だなぁと思ったのは選手と記者の関係性。毎日練習を見ていて調子がどうなのか家族よりわかっているのよ。ちょっと羨ましい気持ちになりました。ここでは横田選手のお父さんの存在に触れないけど、ちゃんと描かれていてここにも物語があります。ホント、家族の物語。だからこそ、言葉のひとつひとつが響きます。

この映画を通して横田選手のことが、大好きになりました。エンドロールに驚きの事実があったりして、観終わった私は何度も静かに深呼吸しました。今日も朝、目が覚めた、これがどれだけ素敵なことか。生きてるありがたみが込み上げてくる感動の一本です。

『栄光のバックホーム』

監督/秋山 純
出演/松谷鷹也、鈴木京香、高橋克典、前田拳太郎、伊原六花、山崎紘奈、草川拓弥 他
全国公開中(日本 配給/ギャガ)

© 2025「栄光のバックホーム」製作委員会

※この記事は「ゆうゆう」2026年1月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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