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『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』初日舞台挨拶、中村倫也が“割り込んででも言いたかったこと”に板垣李光人も観客も笑顔に!

  • 2025.12.5

映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』公開初日舞台挨拶が12月5日、新宿バルト9にて開催され、板垣李光人、中村倫也、久慈悟郎監督、原作、共同脚本の武田一義が登壇した。

【写真を見る】仲良しすぎ!板垣李光人&中村倫也、『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』公開初日舞台挨拶で褒め合い合戦

【写真を見る】仲良しすぎ!板垣李光人&中村倫也、『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』公開初日舞台挨拶で褒め合い合戦
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第46回日本漫画家協会賞優秀賞受賞の武田一義による同名漫画を原作に劇場アニメーション化。物語の舞台は太平洋戦争末期。すでに戦局が悪化していた昭和19年9月15日に始まった「ペリリュー島の戦い」と、終戦を知らず 2年間潜伏し続け、最後まで生き残った34人の兵士たちを、かわいらしいタッチとは裏腹に、“戦争が日常と化す狂気” を圧倒的なリアリティで描き出す。

主人公の田丸均役の板垣は、上映後の観客の様子に「感無量です」と笑顔を見せ、「感想を自分なりに書き留めるなりしていただけるとうれしいです」と呼びかけた。田丸の相棒、吉敷佳助役の中村は「知って感じて考えていただきたい作品です」とし「観ていただけることがうれしいです」とニッコリ。観客のなかに子どもの姿を見つけた中村は「小さいお子様にも観ていただけたようで」と満足の表情を浮かべていた。

田丸均役の板垣李光人
田丸均役の板垣李光人

「声のお芝居のコンセプトは等身大の若者の声をつけていただきたいと思って、各キャストにお願いをしていました」と振り返った久慈監督。板垣、中村の芝居は「作っていただくというよりもお二人の声で演じていただくというのを大切にできたかなと思います」と力を込めた久慈監督は「(それぞれの)最後のセリフは大事なところと思っていて。スタッフ一同注目して聴いていました。お二人とも一発でOKとなって。とてもいい映画にできたと思いました」と充実感を滲ませていた。

原作の武田は「お二人の第一声が想像を超えていました」と大絶賛。「第一声からあまりにも自分のなかの田丸と吉敷。本番のアフレコの前に予告編の声入れをしていただいたのですが、予告編を聞いた時に、自分のなかの田丸と吉敷がいきなり実現したので。それが自分のなかで『予想を超えた』と感じた最初の瞬間です」とこれ以上のキャスティングはないといった様子で、板垣、中村の再現度への感想を伝えていた。

田丸の相棒、吉敷佳助役の中村倫也
田丸の相棒、吉敷佳助役の中村倫也

「(板垣)李光人くんのパンを作っているYouTubeを観て(キャスティングを)思いついたんですよね?」と中村が尋ねると「はい、そうです!」と笑顔の武田。板垣は「正しくは、パンを使った料理なんですけれど…」と補足すると、「僕もパン作ってればよかった…」と悔しがる様子を見せる中村に、板垣も武田も大笑い。中村の吉敷も武田のイメージにピッタリだったそうで、「吉敷の声は実力のある俳優さんであれば、どなたでも(吉敷としての表現を)やってくれると思っていました」と前置きしたうえで、「でも、中村さんの声は、物語のなかで“お父さんのいない農家の生まれで、妹とお母さんと暮らしている長男”というエピソードが出てくる前から、(その雰囲気が)出ていた。予想超えよかったです」と中村の繊細な表現を称賛。武田の言葉ににんまりとした中村が「仕事増えるかな?声のお仕事は難しいけれど、やっていきたいです」と語ったあとに「売れたいなー」とボソッと呟くと、登壇者も会場も大笑いしていた。

制作でのこだわりを語った久慈悟郎監督
制作でのこだわりを語った久慈悟郎監督

イベントは本作をいち早く観た方からの感想パネルをバックに行われ、そこに書かれた感想についてもトークを展開。映像と内容のギャップに触れている感想も多かったことが告げられると、「絵柄自体は武田先生の描かれるかわいらしい、やさしい感じだけど、内容自体は生々しく、戦争の凄惨さなどを描いています。もしこれを(普通の)人間の等身でとなると、このタッチじゃないとなかなか描けないところもあるだろうと。神のような塩梅だと思いながら原作を読んでいましたし、実際に映像を観てもそう感じました」と感想を伝えた板垣。

久慈監督は「自分では怖くて(感想が)聞けていないところもあるけれど…」としながらもSNSでは感想をチェックしているようで、「作りとして泣かせたいというよりかは田丸くんたちが過ごした時間、事実をひとつひとつ追っていって、考えてほしいという売りにしたので、それが伝わっていると思える感想もあったのでうれしかたったです」と安堵。武田はこの日の上映を観客と一緒に観たことも明かし、「原作から追いかけてくださる方が多いので、原作の『ペリリュー』が映画の尺で短くなることへの期待と不安がありました」と正直な気持ちを明かす。ただ、出来上がった映画は「ちゃんと『ペリリューだった』と言ってくださる方がいて、すごくホッとしたところです」とのこと。尺の関係上、エピソードを削る作業が必要だったが「作品の芯の部分は残したつもりです」とし、観てもらうまでは原作ファンの反響には不安はついて回ったとしながらも、実際に届いている感想は「ちゃんと『ペリリュー』だった!」というものが多いそうで、「うれしかったです」とホッとした表情を見せていた。

原作、共同脚本の武田一義
原作、共同脚本の武田一義

「若い世代にこそ見てほしい心震える映画でした」との感想に武田は「戦争ものは年齢層が高くなりがち。作品の初めのコンセプトがグッとハードルを下げて若い人にも観てほしいというのが絵柄や田丸の性格に出ています。現代の子どもが観ても(田丸を)友達っぽく観られるような性格を設定してできたのが『ペリリュー』なので、中村さんが先ほどおっしゃったようにお子さんが観てくれているのは本当にうれしいです」とよろこびを伝えていた。

田丸を演じた感想を問われた板垣は「あの当時の戦争ものの作品となると価値観とかその当時の日本の空気みたいなものって、いまの我々だと理解しきれない部分があります。と思うけれど、田丸って、現代の我々と近い目線というか。そういう空気や価値観に対して、自分のなかで鵜呑みにするのではなく、自分なりに持っているものがあって。いまを生きている我々と近いなという想いで読んでいたので、演じるうえでは等身大というか。いまの自分のままで、自分がそのまま感じた部分を田丸に反映させていきました」と説明。久慈監督は「かわいい画で戦争を描くという武田先生のコンセプトをアニメでも守ろうという気持ちでやっていました。アニメ制作としては現地の描写は可能な限りリアルにして。現実と歴史とこの物語が繋げられるように、というのを意識していました」と制作でのこだわりと制作チームの共通認識についても触れていた。

「歴史を題材にした作品は少し特殊」と話した中村はその理由は結末を知っているということ、と指摘。続けて「どういう結末を迎えるのかはある程度知っている」と語った中村は「だからこそ、(物語の)なかで起きている人間たちの葛藤、会話、選択によりフォーカスして観ていただけるというのかな。登場人物の言動がある程度ダイレクトに伝わったのかなと思っています」と反響から感じた自身の考えを伝えていた。

周囲の反響やSNSなどでの声について話す場面も
周囲の反響やSNSなどでの声について話す場面も

イベントでは主題歌「奇跡のようなこと」を担当した上白石萌音からのビデオレターも到着。上白石が歌う主題歌について板垣は「この映画のエンドロールと共に、この主題歌が流れるということがすごく心地がよいというか。余韻をすごくやさしく撫でてくれるような曲だなと思っているので。すてきな曲をありがとうございます」と感謝。上白石から「お互いの声を最初に聞いた時の感想を!」とのリクエストに「俳優なら褒め合うのが難しいことはわかっているのに、悪い子だねえ」とニヤリとし笑いを誘う中村。「田丸は吉敷と出会えてから、吉敷に心身ともに助けられてきています。中村さんの声がちゃんとガッツリ体重をのせて寄りかかっても大丈夫だという安心感があって…」と中村の声の印象を語る板垣。すると中村は「思いついちゃったから言っていい?」と割り込みトークの許可を得たうえで、「人をイナバ物置みたいに言って。100人乗っても大丈夫!」とニンマリ。「思いついたからどうしても言いたかった」とニヤニヤする中村に、会場は大爆笑。

「イナバ物置、トレンド入りするかなぁ」と笑いが止まらない中村は、板垣の芝居について「大きい声を出すと時折割れるのがエモくていい!」とし、「一文を割とゆっくり喋る。あと、読点でちょいちょい区切って喋るのがすごくうまい。声優としての腕もあるなと思っていて。うまいなあ、うらやましいなあって思っていました」とベタ褒め。また上白石が歌う主題歌については「子守唄のような、レクイエムのような、包み込まれるような。メロディと声が前を向かせてくれるような。すごく美しくてやさしくて、あたたかい曲が主題歌でよかったと思っていました」とこちらも大絶賛の中村は、上白石が主題歌を担当することを知らずに完成した映画を観たそうで「この声の綺麗な人誰だろうと思って。萌音でした。お会いしたことないのに、呼び捨てで恐縮です(笑)」と語るなど、中村独特の言い回しを織り交ぜながらトークを盛り上げた。

フォトセッションの様子
フォトセッションの様子

久慈監督は主題歌について「映画のラストにふさわしいやさしい声。この映画を観た時は最後は悲しい気持ちになると思います。『ただいま』という笑顔があったとはいえ、まだまだ悲しい気持ちでいるみなさんを、やさしい声で帰り道を帰らせてくれるような歌だと思いました」と、登壇者は揃って上白石の包み込むようなやさしい歌声に魅了されていた。

取材・文/タナカシノブ

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