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「朝メシは何を食べるのが1番いい?」77歳名医が語る朝食の新常識とは?【鎌田 實先生】

  • 2025.12.5

「朝メシは何を食べるのが1番いい?」77歳名医が語る朝食の新常識とは?【鎌田 實先生】

健康寿命&病気予防の9割は朝メシで決まる!? 77歳・鎌田 實先生の話題の新刊『鎌田式 最強のズボラ朝メシ!』(エクスナレッジ刊)から、先生が毎日実践し、50年かけて調べ上げた朝メシの極意お届けします。第1回は、名医が教える「なぜ朝メシ!?」

朝メシは健康のかなめ! 必ずとろう

みなさんは毎日きちんと朝メシを食べていますか? 起きてからすぐの時間帯はあわただしいので、最近は朝メシ抜きの生活をしている人も多いと聞きます。

英語で朝メシはブレックファスト(breakfast)、これは「断食を破る」という意味です。夕メシを食べて以降、何も食べていないのですから、朝起きたときはエネルギーが枯渇しています。

ごはんやパンなどの炭水化物は、脳のエネルギーであるブドウ糖に換わりますが、朝メシを食べないと、脳がエネルギー不足になってしまいます。

会社員が朝メシを抜くと、午前中の仕事のパフォーマンスが著しく低下するといわれますが、エネルギーが不足して脳が働かないのですから当然なのです。

ですから午前中からバリバリ仕事をするためにも、朝メシはとても重要です。炭水化物だけでなく、筋肉などの材料であるたんぱく質、体の機能を整えるビタミンやミネラル、おなかの調子をよくする食物繊維など、栄養バランスのよい朝メシは、まさに健康のかなめです。

朝メシには何を食べるのが1番いいの?

食べ物の栄養素には、昼や夜よりも、朝食べたほうがより体内に吸収されるものがあります。

例えば、トマトに含まれるリコピンという成分も朝とるほうがよく吸収されます。リコピンには動脈硬化の原因になる血管の酸化を防ぐ作用(抗酸化作用)がありますが、朝とったほうがその効果も大いに期待できるというわけです。

トマトジュースのメーカーの研究によると、健康な成人男女にトマトジュースを朝・昼・夜と飲んでもらい、その後、血液中のリコピン濃度の測定を行ったところ、朝飲んだときの血中濃度が一番高くなることがわかりました。

また脳や血管の若返りによいといわれる魚油(DHAやEPAを含む)も、朝のほうが吸収率が高いことがわかっています。

魚油は脂質代謝を高めて体脂肪の蓄積を抑える働きがあります。朝、魚油をとると血中の中性脂肪が低下し、脂質の合成に関わる遺伝子の働きが抑制されることが農研機構などの研究によって明らかにされています。

山梨県ではまぐろをよく食べるといわれています。もちろん夕メシにもまぐろを食べているのですが、山梨県民は前の日に残ったまぐろの刺身をヅケにして朝食べる習慣があるというのです。

まぐろなどのさかなを朝食べるのは大賛成です。1人暮らしでも比較的簡単にとれるのは朝のさかな缶(さばやいわし)でしょうか。さかな缶の簡単な食べ方は第2章でご紹介します。

朝オイルサーディン(いわしの油漬け)もよいですね。朝まぐろにしたいなら、ツナ缶(まぐろやかつおの油漬け、または水煮)でも大丈夫。ツナ缶と野菜サラダをドレッシングであえて食べるのもおすすめです。

体内時計の働きを知ろう

食べる時間帯で栄養素の吸収率に違いがあるのは、体内時計が関わっているからだとされています。

体内時計には、脳の視交叉上核(しこうざじょうかく)というところにある親時計と、心臓や肝臓や胃、大腸、腎臓など全身のあらゆる臓器にある子時計があります。

親時計からの情報は、自律神経やホルモン、運動などによって子時計に伝わります。子時計は各臓器にあり、それが働き出すためには朝メシが必要です。

朝メシを抜くと、内臓が十分に働き出さないために、いろいろな病気を起こしやすくなるといわれています。とくに食事は子時計に直接作用するとされているので、朝メシを食べることが重要なのです。

体内時計を動かしている時計遺伝子はいくつか発見されていて、2017年のノーベル生理学・医学賞は時計遺伝子を特定した3人のアメリカ人科学者に与えられています。

この体内時計の働きによって、ぼくたちは朝になると目が覚め、日中は活動的になり、夜になると眠くなるのです。

時間栄養学という学問もあります。体内時計を考慮に入れた栄養学のことで、栄養効果が時間によって変化することなどを取り扱っています。

体内時計は朝食でリセット

時間栄養学で明らかになった事実の1つに、朝メシによる体内時計のリセットがあります。

地球の1日は24時間(自転して1回転する時間)ですが、体内時計はそれより長く24.5時間くらいあります。つまり、そのまま体内時計にしたがって生活していると、1日0.5時間のズレが生じていくのです。そこで、規則正しい生活を送るために、体内時計を毎朝リセットしなければなりません。

体内時計のリセットに一番効果があるといわれているのが、太陽の光を浴びることです。

朝起きたときは、カーテンを開けて朝日を浴びるとよいといわれていますね。これによって親時計がリセットされます。朝に太陽の下で5分くらいラジオ体操をし たり、スクワットをしたり、短時間のウォーキングをしたりする生活は、体内時計をリセットするという意味でもとても理にかなっています。

一方、朝メシを食べると、肝臓などの子時計がリセットされます。朝メシをきち んと食べなさいといわれるのは、子時計のリセットに必要だからです。

このように、朝メシをきちんと食べる習慣は、時間栄養学から見ても理にかなっているのです。「朝メシ革命」の第1歩は朝メシを食べることから始まります。忘れないようにしましょう。

※この記事は『鎌田式 最強のズボラ朝メシ!』鎌田實著(エクスナレッジ刊)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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