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内転筋を鍛えると体はどう変わる?役割・効果・鍛え方を専門家がわかりやすく解説

  • 2025.12.5

座った時に脚が開いてしまうのを「内転筋が弱い」なんていいますが、内転筋を鍛えるとどんなメリットがあるのでしょうか?内転筋の機能や役割、筋肉構成など、徹底解説します。

監修は、人体構造に詳しいパーソナルトレーナー・三原 大和さんです。

内転筋とは?

内転筋群は太ももの内側に位置し、長内転筋・薄筋・短内転筋・恥骨筋・小内転筋・大内転筋など複数の筋肉から構成されています。

股関節を内転(脚を内側に寄せる)させるのが主な役割で、歩行や立位姿勢で骨盤・股関節の安定にも関わります。さらに筋肉(部位)によっては、股関節の屈曲や伸展、内旋の動きも「補助的に」サポートします。

内転筋をしっかり鍛えることで、内ももの引き締めはもちろん、膝や股関節の安定性向上、姿勢改善、O脚予防など、見た目と機能面の両方にメリットがあります。

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内転筋の基本的な役割

内転筋は、脚の動きから姿勢の安定まで、下半身の土台づくりに欠かせない重要な働きを担っています。

脚を閉じる動作をつくる

内転筋は、脚を内側に寄せる「脚を閉じる」動作をつくる筋肉です。この働きは、歩行や立ち姿勢の安定に深く関わり、日常生活のあらゆる動作を支えています。

骨盤を安定させて姿勢を保つ

内転筋は骨盤の位置を正しく保つ役割もあります。内ももに力が入りにくいと骨盤が左右にブレやすく、歩いたり立ったりしたときの安定感が低下し、姿勢が崩れやすくなります。

骨盤底筋と連動して骨盤まわりを支える

内転筋は骨盤底筋とも連動して働き、骨盤まわりの支えを強めます。内転筋を鍛えることで骨盤底筋にも刺激が入り、尿漏れ予防にもつながります。

内転筋を構成する筋肉

内転筋はひとつの筋肉ではなく、以下の筋肉の総称です。それぞれが連動して働くことで、股関節の動きや骨盤の安定をサポートしています。

筋肉は表層・中層・深層に分かれる「層」構造になっています。内転筋も同様で、表層は大きく動いて鍛えやすい層、中層は動きを安定させる層、深層はインナーマッスルと言われ、鍛えにくい層という特徴があります。それぞれ解説します。

表層

長内転筋:脚を閉じる動作に大きく貢献し、日常動作で最もよく使われる筋肉です。
薄筋:膝の曲げ伸ばしにも関わる、縦に細長い筋肉です。

中層

短内転筋:細かい動きで脚のコントロールを支える小さな筋肉です。

深層

恥骨筋:股関節の曲げ伸ばしにも関わり、脚を引き寄せる動作を補助します。
小内転筋:股関節まわりを内側から支える深層の小さな内転筋です。
大内転筋:内転筋の中でも最も大きく、股関節の安定に深く関わります。

次:内転筋が弱いと起こるデメリット

「内もも(内転筋)」を鍛えて太ももを細くする方法|バレエダンサーはなぜ細い?

内転筋が弱いと起こるデメリット

内転筋がうまく働かないと、脚のラインから姿勢、歩行の安定性までさまざまな部分に影響が出やすくなります。

骨盤の安定がなくなり、反り腰・ぽっこり下腹につながる

内転筋が働かないと骨盤を支える力が弱まり、前後の傾きが大きくなりやすくなります。その結果、腰が反りやすくなったり、下腹がぽっこり見えやすい姿勢につながります。

膝や股関節の負担増加

脚を内側で支える力が不足すると、動作のたびに膝や股関節に余計な負担がかかります。長く歩いたり立っていると疲れやすくなる原因にもなります。

脚の外側ばかり張る

内ももが使えない分、外側の筋肉(大腿筋膜張筋など)が代わりに働きすぎてしまいます。結果として脚の外側が張りやすく、太く見える原因にもつながります。

O脚の原因になりやすい

脚を内側に保つ力が弱まると、膝が外側へ向きやすくなります。日常の立ち方や歩き方でも O 脚傾向が強まり、脚のラインが整いにくくなります。

内転筋が硬い・弱いと、どんな影響が出るのか

内転筋は「硬い」と「弱い」で身体への影響が異なりますが、この2つは混同されやすいポイントです。どちらの状態なのかを理解しておくと、改善の方向性がわかりやすくなります。

内転筋が「硬い」場合

内転筋が硬くなると、股関節の柔軟性が低下し、脚をスムーズに動かしにくくなります。骨盤が後ろに傾きやすく、姿勢が丸まりやすいのも特徴です。

■起こりやすい症状

・股関節の可動域が狭くなる
・脚が開きにくい、閉じにくい
・骨盤が傾きやすい(後傾ぎみ)
・歩行時にガニ股になりやすい

硬さが原因の場合は、まずストレッチなどで柔軟性を高めることが大切です。

内転筋が「弱い」場合

一方で、内転筋が弱いと脚を内側に保持する力が不足し、立ったときや歩くときに下半身が左右にブレやすくなります。膝や股関節への負担も増えやすい状態です。

■起こりやすい症状

・O脚ぎみになる
・歩くと膝が内外に揺れる
・下半身がぐらつきやすい
・骨盤が安定せず、反り腰や下腹ぽっこりにつながる

弱さを改善するには、軽めの内転筋トレーニングから始めて筋力を高めることが必要です。

硬い・弱いを同時に抱えている人も多い

内転筋は日常生活で使われにくいため、硬くて弱い「二重の問題」 を抱えている方も珍しくありません。この場合は、1. 硬さをほぐす → 2. 軽いトレーニングという順番でアプローチすると改善しやすくなります。

太もも痩せ筋トレ7選|内もも(内転筋)を引き締める

次:内転筋が使えているかを判断するセルフチェック

内転筋が使えているかを判断するセルフチェック

内転筋が働いているかどうかは、簡単な動作で確認できます。今の自分の状態を知ることで、どのトレーニングから始めれば良いかが分かります。

1. 片足立ちでグラつく

片足立ちになったとき、すぐにバランスを崩したり、骨盤が左右に傾く場合は、内転筋がうまく働いていない可能性があります。

2. スクワットで膝が内外にブレる

スクワットの動作中に膝が内側・外側へ動くのは、脚をまっすぐ保つ内転筋が弱いサインです。

3. 仰向けで脚を閉じるのがつらい

仰向けになって脚を揃え、内ももに力を入れたときにキープが難しい場合は、内転筋が弱まりやすい傾向です。

4. 立ったときに太ももの隙間が大きい

立位で自然に脚を閉じたとき、内もも同士が触れずに隙間が広い人は、内転筋の働きが低下している可能性があります。内転筋を鍛えると得られるメリット

内転筋を鍛えることで、見た目の変化と身体機能の改善の両方が期待できます。

脚のラインが整い、内ももが引き締まる

内転筋は「脚の内側の支え」として働くため、鍛えることで内ももに自然なハリが生まれます。外側ばかり張りやすい脚がバランスよく引き締まり、まっすぐな脚ラインをつくりやすくなります。

歩き方が安定し、日常動作がスムーズになる

内転筋が使えると脚の軌道が安定し、歩行や階段の上り下りが軽く感じやすくなります。脚が左右にブレにくくなるため、長時間歩いても疲れにくいのが特徴です。

骨盤が安定し、姿勢が崩れにくくなる

深層の内転筋は骨盤や股関節の安定に直結するため、鍛えることで姿勢が持続しやすくなります。反り腰や下腹のぽっこり改善にもつながり、立ち姿が自然と整います。

下半身トレーニングの効果が上がる

スクワットやランジなどの下半身トレーニングでフォームが安定し、必要な筋肉へ力が伝わりやすくなります。「内ももが使える」ことで、下半身全体の連動がスムーズになり、筋トレの効率が高まります。

股関節まわりが動かしやすくなる

内転筋が使えるようになると、脚の付け根まわりの動きがスムーズになり、股関節の可動域が広がりやすくなります。階段の上り下りで脚が上げやすくなるほか、ヨガの開脚や前屈などもスムーズに行えるようになります。

内転筋に効かせるには「連動」がカギ

内転筋は単独で働く筋肉ではなく、お尻(大臀筋)や太ももの裏(ハムストリングス)、股関節前の腸腰筋などと協力しながら脚の動きを支えています。

そのため、内転筋トレーニングでは「内ももだけを使う」のではなく、下半身全体が安定するフォームをつくることが大切です。ここを押さえておくと、どの種目でも内転筋に力が入りやすくなります。

骨盤を安定させること

内転筋は骨盤に付着しているため、骨盤が前後に傾きすぎると力が入りにくくなります。下腹を軽く引き込み、骨盤をまっすぐ保つことで内ももに力が通りやすくなります。

膝の向きをまっすぐにそろえること

膝が内側や外側にブレると、外ももなど別の筋肉に負荷が逃げやすくなります。つま先と膝の向きを常にそろえ、「脚が1本のレールの上を動く」ように意識するのがポイントです。

お尻や太もも裏と一緒に使うこと

内転筋は、単独では動きが小さく働きにくい筋肉です。お尻(大臀筋)や太もも裏(ハムストリングス)と連動することで、本来の働きが出やすくなります。スクワットやランジなど全体で動く種目を組み合わせることで、内転筋の負荷が安定し、トレーニングの効果が高まります。

この「筋肉の連動」を意識して選んだ、内転筋のトレーニングを次に紹介します。内ももだけでなく下半身全体が安定することで、内転筋にしっかり効くようになります。

次:内転筋を効果的に鍛えるトレーニング6選

内転筋を効果的に鍛えるトレーニング6選

内転筋は、使い慣れていない人が多い筋肉ですが、負荷の低い動きから始めるとスムーズに使えるようになります。ここでは、初心者から中・上級者まで段階的に取り組めるトレーニングを紹介します。

初心者向け

まずは小さな動きで内ももに力が入る感覚をつかみましょう。無理なく続けられるメニューから始めます。

■座ってできる内転筋ボールつぶし

イスに座り、膝にクッションやボールを挟んで軽く押しつぶします。姿勢をまっすぐ保ち、内ももに力が入る感覚をつかむのがポイントです。

目安:10回×2〜3セット

■レッグアダクション

横向きに寝て、下側の脚を内ももを使って持ち上げるトレーニングです。反動を使わずゆっくり上下させることで、内転筋にしっかり負荷がかかります。

1. 横向きに寝転がり、肘を床につきます。上にくる足は腰の前に置き、手で足首を掴みます。

2. 下側の足を内ももを意識しながらゆっくり上げ下げします。

目安:左右各10~15回×2セット

中級者向け

脚全体を使いながら、内転筋に負荷が入りやすいフォームを身につける段階です。動きを安定させて取り組みましょう。

■ワイドスクワット

肩幅より広めに足を開き、つま先は外側へ。しゃがむ動作で内転筋に負荷が入り、脚の内側をしっかり使えるようになります。

1.両脚を肩幅よりも広く開いて外ハの字にして立つ(スタートポジション)

2.太ももと膝が平行になるように体を下げる

3.膝を伸ばして、スタートポジションの体勢に戻る

目安:10〜12回×2〜3セット

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■サイドランジ

左右に大きく踏み出し、内ももを伸ばしながら脚を支える力を使います。方向転換の安定性にも効果的です。

1. 足を閉じて立つ

2. 片足を真横に大きく踏み出し、膝を90度にゆっくり曲げていく

3. つま先は膝と同じ方向に曲がるよう意識する
4. 蹴るように力を入れて元の姿勢に戻る

目安:左右各10回×2セット

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上級者向け

下半身の安定を保ちながら、内転筋にしっかり刺激を入れる段階です。全身の連動を意識すると効きが高まります。

■プランクレッグレイズ

体幹を安定させながら脚をゆっくり持ち上げる動作で、深層の内転筋にも刺激が入ります。内側の支えが必要になるため、全身の安定性も同時に高められます。

1. プランクの姿勢を作り、足は少しついた状態で、つま先でふんばる

2. 片方の足を、膝が曲がらないように上げていく

3. この動作を左右交互に行う

目安:左右10回×2〜3セット

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■ブルガリアンスクワット(内転筋バージョン)

後ろ脚を台に乗せて行う片脚スクワット。通常のブルガリアンスクワットだと、内転筋は補助程度でしか働きません。

内転筋バージョンとして、前足をやや外側に置き、つま先は正面〜少し外に向けることで、内転筋の働きが強まります。お尻と内ももを同時に鍛えたい人におすすめです。

1.イスから60~90cm離れ、後ろ向きで立つ

2.イスに足先か足の甲を乗せ、反対側の脚は前に出す

3.背筋を伸ばし、ゆっくりと前方の脚を曲げていく

4.90度まで曲げたら、元の姿勢に戻す

スクワット同様、膝がつま先より前に出過ぎないよう注意。

目安:左右10回×2〜3セット

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内転筋のストレッチ

内転筋は日常生活で縮みやすく、硬くなると脚の動きが悪くなる原因になります。筋トレとあわせて、以下のストレッチを取り入れて柔軟性を保ちましょう。

バタフライストレッチ

床に座って足裏を合わせ、膝を左右に開くストレッチです。内もも全体を無理なく伸ばせます。

■やり方

1. 足裏を合わせて座る
2. 膝を床の方へ軽く押す
3. 背筋を伸ばしたまま軽く前に倒れる
4. 20〜30秒キープ

立位サイドストレッチ

立ったまま内ももを伸ばせるので、運動前のウォームアップにも最適です。

■やり方

1. 足を大きく横に開く
2. 片側に体重をのせ、反対側の内ももを伸ばす
3. 背中が丸まらないよう注意
4. 左右20秒ずつ

ストレッチのポイント

・痛みが出るほど無理に伸ばさない
・呼吸を止めず、息を吐きながら伸ばす
・筋トレの前後に取り入れると効果的

Q&A|内転筋に関するよくある疑問

内転筋トレーニングでよく寄せられる質問を、まとめて分かりやすく回答します。

Q. 内転筋が痛いときは、トレーニングを続けても大丈夫?

軽い筋肉痛であれば問題ありませんが、鋭い痛みや違和感がある場合は無理に動かさず休息をとりましょう。フォームの乱れや負荷のかけすぎが原因のことも多いため、痛みが繰り返す場合は負荷を下げるか専門家に相談してください。

Q. 内転筋を鍛えるグッズは何が効果的?

ピラティスボール、アダクションバンド、エクササイズリングなど「挟む・押す」動作ができるグッズが効果的です。どれも内ももを意識しやすく、初心者でも取り入れやすいアイテムです。

Q. 内転筋トレーニングは毎日やってもいい?

強度が低いメニュー「ボールつぶし」「レッグアダクション」などは、毎日行ってOKです。スクワットやランジなど負荷が高い種目は、筋肉を回復させるために1日おきが目安になります。

Q. 内転筋を鍛えると太ももが太くなることはある?

基本的には太くなりません。内転筋はインナーマッスルとして働く筋肉が多く、鍛えることで脚の内側が引き締まり、むしろラインが整いやすくなります。太く見える原因の多くは外ももの張りなので、内転筋を鍛えることは逆効果ではなく改善につながります。

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監修者プロフィール

パーソナルトレーナー 三原 大和(みはら やまと)

専門学校にてパーソナルトレーニングと人体の構造について体系的に学び、JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会 認定トレーナー)や健康運動指導者など複数の資格を取得。卒業後は女性専用パーソナルジムにてトレーナーとしてのキャリアをスタートし、丁寧で寄り添う指導に定評がある。

また、10年以上にわたり自身が競技者として取り組んできたバドミントンの経験を活かし、スポーツパフォーマンス向上やジュニア指導にも精通。現在は大阪・高槻にある「パーソナルジムBREEZE」のトレーナーとして、ダイエットから機能改善、競技力向上まで、幅広いニーズに対応した指導を行っている。

保有資格:
JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会認定)
健康運動指導者(健康・体力づくり事業財団)

トレーニング動画指導・監修 鳥光 健仁(とりみつ たけのり)

フィットネスランニングトレーナー。1991年生まれ、千葉県出身。出張パーソナルトレーナー、SUUNTO5 アンバサダー、VX4アドバイザリー、(株)BOOSTマネジメント契約、HOKA ONE ONE サポート。

出演者プロフィール MIHO(みほ)

市民アスリート。トライアスロン、トレイルランニング、マラソン、スパルタンレース、筋トレが大好き。フルマラソン自己ベストは3時間0分18秒。1児の母。
■ Instagramアカウント → @mip0000

<Edit:編集部>

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