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「一般的でない名前」が世界各国で増加傾向に

  • 2025.12.5
Credit: canva

近年、日本で「キラキラネーム」という言葉が話題になることが増えましたが、実はこの現象は日本だけのものではありません。

青山学院大学の最新研究で、「一般的でない名前」が今や世界各国で増加傾向にあることが明らかになりました。

たとえば、珍しい名前や個性的な名前は、その国ならではの一時的な流行かと思いきや、ドイツ、アメリカ、イギリス、フランス、日本、中国、インドネシアと、文化や歴史の異なる7カ国で“普通ではない名前”が一貫して増えていたのです。

研究の詳細は2025年11月25日付で学術誌『Humanities and Social sciences Communications』に掲載されています。

目次

  • グローバルに広がる「珍しい名前」現象
  • 名前が映す「個性重視」への社会変化

グローバルに広がる「珍しい名前」現象

「日本だけじゃなかったのか」と驚く人も多いかもしれません。

研究チームは、ドイツ・アメリカ・イギリス・フランス・日本・中国・インドネシアの7カ国を対象に、過去から現在までの出生名データを比較し、一般的に使われていない“珍しい名前”の割合を詳しく分析しました。

その結果、すべての国で、一般的でない名前が増加していることが明らかになったのです。

たとえば、日本では1979年以降に珍しい名前が急増。アメリカでは1880年代から、イギリスでは1838年から長期的な増加傾向が確認されています。

この動きは、ヨーロッパ、アメリカ、アジアといった異なる文化圏でも一貫しており、「珍しい名前は一部の国や一時的な流行」という考え方を覆すものでした。

調査の特徴は、あくまでも名前の“頻度”を客観的な指標とし、「多くの人がつける名前(トップ10やトップ50)」以外の“頻度が低い名前”を「一般的でない名前」としてカウントした点にあります。

つまり、どの国でも“多数派”ではない名前を選ぶ親が、じわじわと増えているということです。

名前が映す「個性重視」への社会変化

「なぜ珍しい名前が世界で増えているのか?」という疑問に、研究は「社会や文化の価値観の変化」が深く関わっていると指摘します。

かつては「周囲と同じ」「伝統に従う」ことが重視されてきた名付けですが、近年は「自分だけの個性」や「他人との差異」を重視する気持ちが強まっています。

こうした個性志向は、グローバル化や多様性の尊重、インターネットを通じた情報拡散など、社会の変化と密接に連動しています。

親は子どもに“特別な存在になってほしい”“自分らしく生きてほしい”と願い、その思いを名前に託すようになってきたのです。

日本では「キラキラネーム」という言葉が流行していますが、研究では「キラキラネーム」という曖昧な定義ではなく、あくまで“頻度”を基準に分析しています。

実際には「読みづらさ」や「伝統からの逸脱」など、“キラキラネーム”特有のニュアンスまで含むかどうかは議論の余地がありますが、世界的には「普通でない名前を選ぶ」傾向が着実に強まっていることが確かめられました。

参考文献

【教育人間科学部】荻原祐二准教授が一般的でない名前の世界的な増加傾向を実証 ~個性重視の文化変容を示唆~
https://www.aoyama.ac.jp/faculty115/2025/news_20251202_01

元論文

Uncommon names are increasing globally: a review of empirical evidence on naming trends
https://doi.org/10.1057/s41599-025-06156-1

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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