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フレイルの引き金にも?!【加齢によるめまい】のリスクとその予防策

  • 2025.12.4

フレイルの引き金にも?!【加齢によるめまい】のリスクとその予防策

家族との会話で聞き返す回数が増えた、最近声が大きくなったと言われる……。それは耳からの注意信号かもしれません。耳の状態が変わると、日々の過ごし方や人づき合いに影響することも。ここでは、めまいについて詳しくご紹介します。

教えてくれたのは
木村至信さん 馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック

きむら・しのぶ●耳鼻咽喉科医。
信州大学病院に勤務後、難聴遺伝子、遺伝子解析研究のスペシャリストとして厚生省(当時)で研究に携わり、米国ネブラスカ州国立リサーチ病院に留学。
大学病院での高度医療、癌センターでのオペ研修など医療のトップレベルの現場で15年以上勤務。
横浜市立大学医学部大学院にて医学博士を取得。
現在、横浜市内のクリニックで地域密着の診療に励んでいる。

守りたい、耳の健康【めまい】

加齢によって、めまいの症状を自覚する人も増加。転倒による骨折や、寝たきりにつながるリスクも高いため、検査をして原因を探る必要があります。

めまいの種類

回転性めまい

内耳、または脳の異常が原因で、数秒から数分にわたり周囲がグルグル動いているように感じる。吐き気・嘔吐、目が自発的に動く眼振(がんしん)を伴うことも。症状は激しいことが多い。

非回転性めまい

体がふわふわする、重心が定まらないなどの「浮動性めまい」や、体が揺れているように感じる「動揺性めまい」、平衡感覚が失われる「立ちくらみ」など。比較的軽度であることが多い

体と心のさまざまな要因が影響し、骨折や寝たきりの引き金にも

めまいは、体の平衡感覚を維持するシステムに、障がいが起きることで生じる症状だ。

「加齢につれてめまいが増えるのは、体のバランス感覚をつかさどる内耳の前庭神経の機能が弱まる、目の神経の働きが悪くなるなど、さまざまな要因があります」

年齢を重ねて筋力が低下するとめまいによるフラつきで転倒しやすく、骨折やフレイル(加齢で心身が疲れやすく弱った状態)の引き金になることも。

「めまいは血流不全や生活習慣病、寝不足やストレスなどによっても起こります。自己流のケアにより悪化する可能性もあるため、まず耳鼻科で検査を。原因を探ったうえで、脳神経外科や循環器内科などと連携することもあります」

めまいが現れる病気

めまいの原因には耳のトラブルだけでなく、血管や神経、脳の病気などがあり、体の異常を知らせるサインかもしれません。激しい頭痛や手足のしびれなどを伴う場合は急いで受診を。

□メニエール病
□突発性難聴
□前庭神経炎
□良性発作性頭位めまい症
□悪性発作性頭位めまい症
□外リンパ瘻(ろう)
□脳梗塞

めまいの原因は さまざま。困ったらまずは耳鼻科へ

耳や脳など平衡感覚に関わる部分に異常がなくても、全身の状態によってめまいが起こることがあります。加齢による変化や低血圧、自律神経の不調、ストレスなどがその要因。まずは耳鼻科で検査を受けて。結果によって、より適した診療科で運動療法や薬物療法などの治療が行われることもあります。

加齢性めまい

加齢により生じるめまい。平衡感覚をつかさどる三半規管や耳石器は加齢に伴って機能が低下し、めまいが起こりやすくなる。機能の改善は見込めないが、平衡感覚を取り戻すための運動療法(前庭リハビリテーション)で症状を改善できる。

起立性低血圧

立ち上がったときや長時間立ち続けたときに、一時的に脳への血流が不足して起こるめまい。視界が暗くなり、失神を引き起こすことも。血液量の低下や貧血、薬の副作用、糖尿病による神経障害などが主な原因。

自律神経の不調

耳鼻科で異常がなく、それ以外の体の部位にも異常が見られない場合、自律神経の不調が疑われる。自律神経が乱れているときは血圧のコントロールがうまくいかず、めまいが生じやすい。治療には薬物療法や、生活習慣の見直しなどがある。

心因性めまい

精神的なストレスや不安、抑うつ状態などの心理的な要因から生じるめまい。気にしすぎることでさらに症状が悪化するが、抱えているストレスや不安が解消されれば改善される。抗不安薬、抗うつ薬などの薬物療法やカウンセリングで治療を行う。

イラスト/あらいのりこ
取材・文/武田純子

※この記事は「ゆうゆう」2025年12月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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