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なぜ会話が嚙み合わない? ASD(自閉スペクトラム症)に見られる話し方の特徴

  • 2025.12.4

ASD(自閉スペクトラム症)のある人とのコミュニケーションでは、「意図が伝わらない」「話がかみ合いにくい」と感じる場面が生じることがあります。こうしたズレは、相性や性格の問題ではなく、情報の理解や処理の仕方にみられる特性が影響していると考えられています。

ASDの大人に見られる話し方の傾向と、会話がずれやすい背景について整理します。

なぜ起こる? ASDの人との会話のズレ

会話のすれ違いは、ASDの特性から生まれるコミュニケーションスタイルの違いによって起こります。本人の努力不足ではなく、脳の情報処理の方向性の違いが関係しています。

言葉を“そのまま”理解しやすい

ASDの人は、言葉をまず正確に理解しようとする傾向があります。比喩表現や遠回しな言い方、あいまいな指示をそのまま受け取ってしまうため、相手が意図したニュアンスとのズレが生じることがあります。

相手の意図や情報量の予測がむずかしい

「どこまで説明してほしいのか」「どういう方向で話してほしいのか」など、相手の求めている情報量を推測するのが苦手な場合があります。

そのため、雑談程度の話題でも、細部まで丁寧に説明しようとしてしまい、会話が長くなったり、相手の期待と異なる方向に進んでしまうことがあります。

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話題の切り替えや“空気のサイン”に気づきにくい

話の流れが変わるタイミングや、表情・相づちといった非言語的なサインを読み取りにくいため、「もう大丈夫」「次の話題に進みたい」という合図を逃してしまうことがあります。

その結果、会話のテンポがずれたり、同じ話題に戻ってしまうことが起こります。

同時に“聞く・考える・話す”の処理が負担になりやすい

会話中は、相手の言葉を理解しながら返事を考え、さらにそれを適切に表現するという“同時処理”が求められます。

ASDの人にとってこれは負担が大きく、返答に時間がかかったり、話の順序が前後したり、結論から話すことが難しくなることがあります。

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次:どうしたらいい? ASDの人とスムーズに会話するコツ

どうしたらいい? ASDの人とスムーズに会話するコツ

ASDの人に“改善を求める”のではなく、こちらの伝え方を少し工夫するだけで会話がスムーズになりやすくなります。

あいまいな表現を避け、意図を明確に伝える

曖昧な言葉は誤解のもとになります。「あとでやっておいて」よりも、「15時までにこの作業を終えてほしい」のように、内容・時間・目的を具体的に示すと伝わりやすくなります。

話題を変えるときは“明示する”

話題転換は、ほんの一言でスムーズになります。「話を変えますが」「次の話題なんですが」など、切り替えを明示することで、会話の流れが格段にわかりやすくなります。

反応を急がせない

ASDの人は「聞く → 理解する → 考える」に時間がかかることがあります。間が空いても慌てず、返事を待つほうがコミュニケーションが安定します。

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相手を変えるより、会話の“仕組み”を整えるほうが効率的

ASDの人とのやり取りでは、相手の話し方を変えようとするより、会話の形を整えたほうが早く、双方のストレスが減ります。

明確に、短く、順序だてて伝える。この3つを意識するだけで、会話の負担が大幅に軽くなることがあります。

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監修者プロフィール

神谷町カリスメンタルクリニック院長 松澤 美愛先生

東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会
URL https://charis-mental.com/
InstagramURL https://www.instagram.com/charismentalclinic

<Edit:編集部>

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