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「わかってるって!」指摘すると夫は逆ギレ!?予定変更は当たり前、振り回されるのは妻ばかり!パートナーはADHDかも?【インタビュー】

  • 2025.12.4

夫と出かけるのが憂鬱…。なぜなら、指摘すると逆ギレ・予定を勝手に変更・言ってることがコロコロ変わるなどなど、予定を立ててもとにかく振り回される!これ実は、性格じゃなくてADHDの特性だったら!?はなゆい(@hanayuistudio)さんの『もしかして、うちの夫はADHD?』(はちみつコミックエッセイ)を紹介するとともにインタビューを行った。

夫の行動に振り回される妻。「なんで?」「どうして?」本人に注意してもよくなるどころか、キレられ、忘れられ、毎回繰り返される

「わかってる!」で、すべて後回し 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
「わかってる!」で、すべて後回し 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

前作『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』を描いたはなゆいさんが、今回手掛けたのは、パートナーがADHDだったら?を描いた『もしかして、うちの夫はADHD?』だ。子どもを見ていてとお願いしたのに、帰ると夫はいない。ほんの数時間子どもの面倒をみてとお願いしたのに、ランニングに行ってしまう夫。「ゲームは、ランニングしてる間だけだよ。効率的でしょ?」というが、4歳児を一人にして外出することは普通だろうか?

第4話「やりっぱなし問題・攻略法」04 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
第4話「やりっぱなし問題・攻略法」04 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

夫にいくら伝えてもそこには壁があって、妻の言葉が届かない。「今回は、隣にいるパートナー(おもに妻)側が抱えている困り事、“パートナーに理解してもらえないしんどさ”や“ずっと自分だけが頑張らなくてはいけない疲労感” などを可視化した漫画です。見どころは、夫婦それぞれが感じる“苦しさの正体”をお互いが理解できるように描いた点だと思っています」と、はなゆいさんは見どころを話す。

第3話「やり方次第で夫は変われる?」03 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
第3話「やり方次第で夫は変われる?」03 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

妻は夫の行動がおかしいと思いつつ「この人には言っても伝わらない」と、あきらめている。そして、我慢や尻拭いをするのは妻ばかり。我慢の限界を迎えたころ、夫がADHDかもしれないと気づく。さらに自分が「カサンドラ症候群」という症状にぴったり当てはまっているということも。「家族だから支えあって、相手を理解して」と書かれる書籍を読んで、「自分がすべてを引き受けなければいかないの?」と途方に暮れる。妻は「誰か助けて」誰にも言えない悲しみを抱えていた。

第3話「やり方次第で夫は変われる?」04 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
第3話「やり方次第で夫は変われる?」04 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

「ADHD夫婦の悩みの多くは、お互いが感じている“当たり前“のズレを解決できないまま、どちらか一方だけが我慢した結果、次第に気持ちが離れていく…ということがある」と、はなゆいさんはいう。「この漫画は、その最初の一歩にある “当たり前“のズレがなぜ起きるのか、夫婦両方からの視点を描きました。夫側は、自分が気づいていなかった妻の努力や苦労、そしてその裏にある気持ちを知ることができ、妻側は、夫が“わざと”やっているのではなく、物事に対して違う捉え方をしている、ということがわかる。お互いの『見えない苦労』を知ることで、声のかけ方や向き合い方が変わるきっかけになる、そんな作品を目指して描きました。そういったところが伝わればいいなと思っています。そのうえで 『どう声を掛けると伝わるのか』『どうすれば摩擦が減るのか』 といった、具体的な対策も精神科医の司馬理英子先生に監修いただいたうえで描きました」。妻が一方的に我慢するのではなく、どうすればお互いが許せる範囲までもっていけるか。

第3話「やり方次第で夫は変われる?」05 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
第3話「やり方次第で夫は変われる?」05 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

特に描くうえで難しかったところは、「自分自身がADHD当事者であるからこそ、パートナー側の『見えない苦労』を描くことが難しかった」という。「ADHD特有のミス——忘れ物、遅刻、軽はずみな発言など——これらについて、私はそうされても『なぜそうなってしまうのか?』を理解できてしまうがゆえに、『そういうものだよね、仕方ないよね』って気持ちになってしまいます。でも、ADHDを知らない人は、違う受け取り方をすることがあります。たとえば、 “怠慢” や “愛情不足”などなど。そして、違う受け取り方をすると、湧き上がる感情も変わる。この“受け取り方の違い”は、当事者だけでは到底気づけない部分で、実際にパートナーの方々にインタビューして初めて『ああ、こんなふうに感じてるんだ…』と、何度も驚かされました。同時にこれは私にとって、自分の行動が相手にどんな影響を与えていたのかを知る貴重な機会でもありました」

第4話「やりっぱなし問題・攻略法」05 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
第4話「やりっぱなし問題・攻略法」05 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

また、「最もこだわったのは、一筋縄ではいかない葛藤です。つらいときって、『○○さえすれば解決する』というシンプルな答えを求めがちだし、時に周りからもそういったアドバイスを受けることもあります。でも、実際の夫婦関係はそんなに単純ではなくて、問題を解決したら新しい問題が出てきますよね。たとえば、『夫が自覚してくれない』っていうのがとてもよくある相談なのですが、ADHDと診断されたからといって、すべての問題が解決するわけでもないんです。診断されたらされたで、新しい悩みが出てくる。そうすると『私だけが対策を考えるの?』『結局、変わらない?』『ADHDだから仕方ないの?』そのたびに、絶望して気持ちが離れる。でも、離れようとすると、何かが起きてやっぱり一緒にいようと思えたり。こうやって、希望と絶望を行ったりきたりする、心の揺れ動きこそが、多くの当事者夫婦が抱えているリアルな葛藤だと、インタビューを通して私自身も思いました。本作では、そうした葛藤を繰り返す中で、パートナーが自分の心の平和を少しずつ取り戻し、“自分の人生を生き直していく”過程を描きました。読んだ人が『自分だけじゃなかった』『また明日もやっていける気がする』と感じられ、何度も読み返したくなる——そんな本になれたらと思っています」と、はなゆいさん。

第4話「やりっぱなし問題・攻略法」018 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
第4話「やりっぱなし問題・攻略法」018 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

もし本書を読んでうちのパートナー「ちょっと変かも?」と思ったら、どのようにすればいいのだろう?「 『相手には自分とは違う世界が見えているのかもしれない』と想像してみることが助けになると思っています。忘れ物・片づけられない・話が飛ぶ・段取りが苦手——。こうした行動があるとしたら、それは性格や怠慢ではなく、脳の特性かもしれません。そうであった場合、ただ強く言うだけで変わることは難しい面もあると思います。そして、言い続けても変わらないとさらにつらくなるので、そういうときは、たとえば相手を“分析モード”で観察することが私のおすすめです」

第4話「やりっぱなし問題・攻略法」019 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
第4話「やりっぱなし問題・攻略法」019 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

分析モードとは、一体?「人は、分析モードに入ると、感情が動きにくいと言われています。実際、私自身、子育てでイラッとしたときは、『漫画のネタにしよう』と分析・観察モードに切り替えます。そうすると、不思議なぐらい冷静に状況を見つめられるようになります。なので、同じように『なんでこんなことするの?』と思ったときは、記録を取るつもり、相手の具体的な行動パターンをメモしてみてはどうでしょうか」と、はなゆいさんはアドバイスする。

いつ(例:朝のバタバタしている時間) 、どこで(例:玄関) 、何をしたか(例:ごみ捨てを忘れる)

「この方法は冷静になれるだけでなく、パターンが見えてくると、『バタバタしているときは忘れやすいので声をかける』のように、対策が見えてくることもあります。とはいえ、一人で抱え込まないことも大事です。誰かに相談したり、それでも周りに理解されないと感じたら専門家に相談することも必要だと思います」

第4話「やりっぱなし問題・攻略法」020 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ
第4話「やりっぱなし問題・攻略法」020 画像提供:(C)はなゆい/オーバーラップ

「この本は、ADHD当事者の方や、そのパートナーの苦労に焦点を当てました。といっても、ADHDだったら必ずこうなるという話でもないです。ただ、ADHDの特性は周りからわかりにくいので、どうしても “感覚や当たり前の違い”が生まれやすく、誤解や衝突につながりやすいんです。 私自身も、以前は自分の当たり前が人の当たり前とぶつかることがよくあって、それで相手を困惑させたし、自分自身も戸惑っていました。でも、少しずつ『なぜ自分はそうなるのか?』『どうしたらいいのか』を知っていく中で、衝突の根本の原因は、特性の認識不足にあったと気づけました。そのことを知って驚くほど生きやすくなりました。ご家族やパートナーとの関係で悩んでいたり、うまくいかない理由が知りたいと感じている方が、読み終わったあと、心が軽くなったり、前向きになれる本を目指しました。同じように悩まれている方に手に取っていただけるとうれしいです」

取材協力:はなゆい(@hanayuistudio)

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