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発表会も展覧会も「おかしいですよね?」→止まらない!モンペの【理不尽要求】|クラスにいたモンペママ

  • 2025.12.4

給食のおかわり問題で教室を緊張させた鳴海さん。しかしその主張はそれで終わらず、冬休みが近づくにつれ“役決め”“作品選出”など、学校生活のあらゆる場面にまで及んでいく。担任の坂上先生、保護者、そして子どもたち自身にも影響が広がり、クラス全体は不穏な空気に包まれて―――。『クラスにいたモンペママ』第3話をごらんください。
 

前回の懇談会では、鳴海さんが「体格が大きい子におかわりを優先すべき」と強く主張し、場が混乱した。その後も彼女の要求は続き、担任との衝突が増える中、周囲の保護者は対応に迷い、教室の空気さえも徐々に不安定になっていく。

役決めにも口出しする“暴走”

ママリ

2学期の懇親会では、給食のおかわりについて、すごい剣幕で自分の考えを主張していた鳴海さん。するとそこから冬休みが近づくにつれ、彼女の“要望”はまるで雪崩のように、あらゆる場面に口を挟むようになっていった。
 
「発表会の劇、優斗があの役なのおかしいですよね?」
 
冬休み前の三者面談で廊下で待機していると、教室から漏れた鳴海さんのその発言を聞いてしまった。聞かないようにしようとしても、声が大きいので聞こえてしまう。
 
「クラスの子たちで公平に話し合って決めた役なんですよ」
「また公平?先生、すぐ公平っていいますけどね?うちの子が他の子よりずっとセリフが少ないのは、不公平じゃないんですか?」
 
その声は廊下全体にまで轟いていたようで、廊下の端で聞いていた保護者が眉をひそめていた。同じく面談待ちの他クラスの保護者や面談終わりの保護者が小さく囁く声が耳に入ってくる。
 
「先生、かわいそう……」
「発表会くらいで、そんな目くじら立ててもねぇ……」
 
そんなこととは関係なしに、鳴海さんはさらに坂上先生に不満をぶつける。
 
「そもそも作品選びがおかしいですよ。主役の子以外はほとんどセリフがないですよね?変な作品だなと思ってたんですけど」
 
その発言はどんどん先生への攻撃と化しているのが丸わかりで、聞いていると気分が悪くなりそうだった。美羽からは、先生が一生懸命選んでくれた作品で、みんなそのお話が大好きだと聞いているのに。

作品展の選出にも不満が爆発

ママリ

面談を終えた鳴海さんがやっと廊下に出てきたと思ったら、今度は廊下の図工作品を指さしてチクチク文句を言い出した。
 
「展覧会の代表作品だって、おかしいですよね?優斗の工作はすごく良かったと思いますけどね。代表のこの子の作品、そんなにいいですか?」
 
鳴海さんが指差した先には、子どもたちが一生懸命作った粘土作品が並んでいた。それを“何がいいのか分からない”と言い切る姿に、周りのママたちは驚き、呆れていた。フロア全体の空気がひやりと冷えるのを感じる。
 
「学年の担任たちで話し合った結果です。優斗くんのは絵画作品で選ばれてますよね?」
「あれはとても良かったですもの。選ばれて当然というか」
「ぜひ展覧会、見にいらしてくださいね。すみません、ではちょっとお時間なので…」
 
坂上先生はうまく話を乗り切って、私を部屋に呼び込んでくださった。先生は本当に大変なお仕事だ…。
 
1、2学期の懇談会・三者面談と、鳴海さんの度を超えた要望が続いた。そのため、他の保護者の間では坂上先生や学校に相談したほうがいいのでは、という話だけは挙がるのだが、みんな行動に移すことはなかった。
 
「もし鳴海さんに知られたら……」
「逆恨みされたら怖いよね」
 
実際、前回意見した保護者は、後日鳴海さんに会った際、「あなた、陰で何か言った?」と詰め寄られたらしい。坂上先生は誠実で優しい先生だけど、鳴海さん一人のエネルギーがあまりにも強すぎて、誰も前に出られない。クラスの“雰囲気ごと”飲み込まれていく感覚に、私自身も不安を覚えるようになった。

子どもたちにも及ぶ“影”

ママリ

そしてその影響は、徐々に子どもたちにまで及んでいった。
 
「ママ、今日ね……」
 
ある日の夕飯時、美羽がぽつりと話し始めた。
 
「優斗くんのお母さんが、また先生に怒ってたって、みんな言ってたよ」
 
「そうなんだ……どんなことで?」
「わかんないけど、廊下にママがきて、優斗くん、ちょっと泣きそうだったって……」
 
胸のあたりがじわっと痛くなった。
 
(そんなこと、子どもたちの前で言わなくてもいいのに)
 
私が内心でそう思っていると、美羽は続けた。
 
「みんなね、“また優斗くんのお母さん怒ってる”って……。なんか怖いって」
 
鳴海さん一人の存在が、こんなに広く影響を与えてしまっている。それでも彼女は、自分の“正しさ”に微塵も疑いを持っていない。
 
(このままじゃ、子どもたちがかわいそう……)
 
薄暗いキッチンで、私は小さく息を吐いた―――。

あとがき:“強い声”が飲み込むもの

今回描かれたのは、鳴海さんの主張が「1つの場面」に留まらず、学校生活のさまざまな領域へと広がっていく危うさでした。劇の役、作品展、日常のやり取り──そのすべてに“うちの子が優先されるべき”という前提があるため、周囲は萎縮し、声を上げられなくなっていきます。
 
大きな声は一時的には場を支配しますが、その影響を最も強く受けるのは子どもたち。主人公が感じていた不安は、クラス全体の未来を暗示しているようにも思えました。
 
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

著者:tenkyu_writing

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