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東京都庭園美術館で開催中「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ」

  • 2025.12.3

こんにちは。フリーキュレーターのSEIJIです。価値観や表現方法が多様化しているアートの世界を、ニュースや展覧会、作家や作品に注目したコラムにしてお届けする「今どきのアート」。前回に続き、今年で100周年を迎える装飾芸術の博覧会にちなんだ展覧会を紹介します。美しさの極致ともいえる展示作品の数々をぜひご覧あれ!

出典:シティリビングWeb

気品あふれる東京都庭園美術館 本館 大客室 画像提供:東京都庭園美術館

アール・デコ博覧会から100周年を迎えた記念の展覧会「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ」が東京都庭園美術館で豪華絢爛に開催中!

「ヴァン クリーフ&アーペル」とは

1925年に開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称 アール・デコ博覧会)」から100周年を迎えることを記念した今回の展覧会。

ハイジュエリー メゾンとして著名なヴァン クリーフ&アーペルは、1895年にアルフレッド・ヴァン クリーフとエステル・アーペルの結婚をきっかけに創立されました。

1906年にはパリのヴァンドーム広場22番地に最初のブティックを創業。

自然やクチュール、ダンス、空想の世界からインスピレーションを得たハイジュエリーと時計を手掛けるメゾンとして、詩情あふれるデザインと革新的な技巧の独自のスタイルで高い評価を得てきたのです。

創造性と卓越性を追求する中で、メゾンを代表する「サヴォアフェール」のひとつであるミステリーセット技法が生まれ、またジップ ネックレスやアルハンブラ モチーフなど多くの作品を通して、魔法のように人を魅了するメゾンの世界観が表現されています。

出典:シティリビングWeb

コルレット1929年 プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド エジプトのファイーザ王女旧蔵 ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

ヴァン クリーフ&アーペルはアール・デコ博覧会の宝飾部門において複数の作品を出品し、グランプリを受賞しましたが、そのひとつが同展で展示されている《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》(1924年)なのです。

花から着想を得たこの作品は、メゾンがアール・デコ期に抱いていたビジョンを読み解く重要な鍵なんです!

出典:シティリビングWeb

絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

出典:シティリビングWeb

カメリア ミノディエール 1938年 イエローゴールド、ミステリーセット ルビー、ルビー ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

出典:シティリビングWeb

シャンティイ ジップ ネックレス 1952年 イエローゴールド、プラチナ、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

1970年代、ジャック・アーペルは未来の世代にメゾンの作品を残すため、ヴァン クリーフ&アーペルのスタイルを象徴する過去の作品を再購入してメゾンの手元に置きはじめます。1906年~2000年代まで、各時代の職人が手仕事で仕上げた作品をみることで、ヴァン クリーフ&アーペルのスタイルやインスピレーションの進化、そして専門技術の発展を辿ることができます。

出典:シティリビングWeb

ブローチ 1927年 プラチナ、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

東京都庭園美術館との華麗な融合による300点を超える展示は必見!

アール・デコは1910年代から装飾芸術や建築の分野で起こっていた芸術潮流であり、その精華を受け継ぐ旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)が同展の舞台として華やかさに色を添えています。

同展では、1910年代から1930年代のアール・デコ期の作品など、歴史的価値が認められた作品からなるヴァン クリーフ&アーペルの「パトリモニー コレクション」と、個人蔵の作品から厳選されたジュエリー、時計、工芸品を約250点、さらにメゾンのアーカイブから約60点を展示。

新館では、現在まで継承され続ける「サヴォアフェール(匠の技)」を紹介しています。

アール・デコ博覧会100周年を記念する祝祭的な同展は、その後の世界にもたらした芸術潮流の多様な側面とメゾンのジュエリーに与えた影響を新たに発見できる素敵な出会いの機会となるでしょう。

出典:シティリビングWeb

ロングネックレス 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、サファイア、オニキス、エナメル、ダイヤモンド

ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

出典:シティリビングWeb

クリサンセマム クリップ 1937年 プラチナ、イエローゴールド、ミステリーセット ルビー、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

学芸員からのメッセージ

「本展はアール・デコ博覧会100周年を記念するものです。会場となる旧朝香宮邸の施主であった朝香宮夫妻も、この博覧会を実際に訪れました。アール・デコは絵画や建築のみならず日用品にまで広がり、生活に潤いと美をもたらしました。女性の社会進出が進み、ライフスタイルが多様化したこの時代に生まれたジュエリーは、単なる装飾品を超え、時代の息吹と人々の暮らしを映し出す存在です。かつて生活の場であった旧朝香宮邸で、アール・デコの魅力をご堪能ください。」(担当学芸員 方波見瑠璃子)

出典:シティリビングWeb

ローズ ブローチ 1925年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

2026年1月18日(日)まで。日時指定予約制。展覧会の詳細は下記のURLからご確認ください。

展覧会特設サイト

https://art.nikkei.com/timeless-art-deco/

プロフィール/SEIJI(小太刀正史)

フリーキュレーター。MeDEL個人事務所主催。学芸員の目線から美術館の情報を発信する活動を始める。自身もオブジェ作家として活動歴あり。

OBJECT東京展入選 From A The art日本オブジェ部門佳作 日本文化デザイン会議

ETDA展参加など。

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