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「人生で一番好きなドラマ」25年経ても“熱い支持”を得る傑作…人気女優が10代で魅せた“名演”

  • 2026.2.7

「若いっていいよね。無限の可能性があるから」無責任にそう言う大人の言葉ほど、当時の若者には空虚に響くものはなかったかもしれません。可能性なんて実感できない。自分は、いてもいなくても同じ存在なんじゃないだろうかーー。2000年代の初期は、そんな若者の焦燥感や閉塞感を、真正面から描いたドラマが社会の小さな声に応え確かに存在していました。“2000年代初期に放送された名作ドラマ5選”そのラストを飾る第5弾は、2001年放送の青春ドラマ『ファイティングガール』です。静かで、荒々しくて、そしてどこまでも切実で。“何者でもなかった自分”と格闘する19歳の夏を描いたこの作品は、今でもなお熱い支持を集め続けているのです。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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「20歳のベスト・パール・ドレッサー」に選出され「真珠の成人式パーティー」で真珠のネックレスが贈られた女優・深田恭子(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):『ファイティングガール』(フジテレビ系)
  • 放送期間:2001年7月4日~2001年9月19日
  • 出演者:深田恭子、ユンソナ、坂口憲二、天海祐希、平山綾 ほか

「いくつ?」

「19歳」

「いいね、無限の可能性があって」

そんな言葉を、呆れ半分で聞き、くだらなく無責任だと感じてしまう年頃。集団に埋もれ、代わりはいくらでもいる。自分だけの価値なんて、本当にあるのだろうかー。

主人公・吉田小夜子(深田恭子)は、自分の人生がどこへ向かっているのかわからないまま、ただ日々をやり過ごしている19歳の少女でした。そんな夏、小夜子は韓国から来た留学生・宗亜美(ユンソナ)と出会う。第一印象は価値観の違いからそれはもう最悪でした。文化も性格も、価値観もまるで違う二人は、出会った瞬間から衝突してしまいます。しかし、現状に行き詰まりを感じていた小夜子は、亜美とともに、ひと夏限定の小さなショップを始めることを決意します。自分たちで作ったリメイクTシャツや雑貨を売るという、冷ややかな大人たちの目からすると無謀で、だけど少女たちにとっては必死な挑戦でした。

ぶつかり合い、喧嘩し、決裂し、また向き合う。その過程で、小夜子は「物を作る」という情熱を通して、これまで反発していた父の姿を、少しずつ理解していきます。やがて、強い絆で結ばれていく二人。

しかし、夏の終わりは別れへのカウントダウンでもありました。留学生である亜美の帰国ー。一人になった小夜子は、喪失の中で、確かに“以前とは違う自分”を見つけていくことになるのでした。

若さの痛みを、誤魔化さずに描いた青春ドラマ

『ファイティングガール』は、19歳の青春を作り手の都合で美化しません。夢に向かって一直線でもない。漫画の主人公のように才能が突然開花するわけでもない。あるのは、焦り、苛立ち、どうしようもない劣等感。それでも、自分の手で何かを作り、何かを選び取ろうとする姿を、このドラマは温かなまなざしで応援し続けます。

若さとは、無限の可能性ではなく、「新しい自分と戦っている最中であること」なのだとーー。そんなメッセージが、全編を通して流れています。

深田恭子という、時代を象徴する存在

本作の中心にいるのは、当時10代の深田恭子さんです。

透明感のある佇まい、意志の強そうな瞳、しかし不安定さや危うさも抱えた小夜子というキャラクターを、驚くほどリアルに体現しています。感情を爆発させる場面だけでなく、何も言えずに立ち尽くす沈黙の時間こそが、この作品の肝といえるでしょう。その空白、つまり行間をを成立させていたのが、深田恭子さんの存在でした。

SNSでは今なお、「夏になると見たくなる」「人生で一番好きなドラマ」といった声が見られ、世代を超えて支持され続けていることがわかります。

青春は終わっても、物語は残る

『ファイティングガール』は、ドラマチックな大きな成功も、派手なハッピーエンドも描きません。描かれるのは、ほんの少し前に進んだだけの、いえ確かに一歩進んで成長した19歳の背中です。けれど、その一歩こそが、人生において何よりも大切なのだと、このドラマは教えてくれます。

若さに迷い、戦っていたすべての人へ。『ファイティングガール』は、今も変わらず、あなたのそばで静かに拳を振り上げています。


※執筆時点の情報です