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脳梗塞の前兆!? 60代以降の【耳鳴り】には重大な病気が潜んでいるかも!?

  • 2025.12.1

脳梗塞の前兆!? 60代以降の【耳鳴り】には重大な病気が潜んでいるかも!?

家族との会話で聞き返す回数が増えた、最近声が大きくなったと言われる……。それは耳からの注意信号かもしれません。耳の状態が変わると、日々の過ごし方や人づき合いに影響することも。ここでは、耳鳴りについて詳しくご紹介します。

教えてくれたのは
木村至信さん 馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック

きむら・しのぶ●耳鼻咽喉科医。
信州大学病院に勤務後、難聴遺伝子、遺伝子解析研究のスペシャリストとして厚生省(当時)で研究に携わり、米国ネブラスカ州国立リサーチ病院に留学。
大学病院での高度医療、癌センターでのオペ研修など医療のトップレベルの現場で15年以上勤務。
横浜市立大学医学部大学院にて医学博士を取得。
現在、横浜市内のクリニックで地域密着の診療に励んでいる。

守りたい、耳の健康【耳鳴り】

音がしていないのにジージー、キーンなどの音が聞こえる症状が耳鳴り。すぐおさまるならあまり心配いりませんが、日常生活に支障が出てきたら要注意です。

耳鳴りは誰にでも起こりうる症状。一度は耳鼻科で検査しましょう

誰でも一度は経験したことのある耳鳴り。基礎疾患がなく、イライラする、眠れないなど日常生活に支障がない限り、あまり積極的に治療は行われないのが実状だ。

「ただし検査をしなければ、治療しなくても大丈夫な耳鳴りかどうかは判断できません。人間ドックや一般的な健診では状態が十分にわからないことも多いので、耳鼻科で専門的な検査を受けることをおすすめします」

特に60代以降で耳鳴りが続く場合は、循環器や神経の病気が隠れていることもあるため要注意。

「以前耳鳴りを訴えて来院した70代女性がいました。検査をすると血圧が高く、耳鳴りは脳梗塞の前兆だったのです。放置せず、原因を特定することが大切です」

耳鳴りの原因となる病気

耳鳴りは、その原因や症状が多岐にわたります。耳の病気だけでなく、循環器疾患などが隠れていたり、ホルモンバランスの乱れや心理的な要因が影響していたりすることも。

耳鳴り+耳が遠くなる

突発性難聴、加齢性難聴、耳垢栓塞、耳管狭窄症、耳硬化症、メニエール病、薬の副作用など

耳鳴り+めまいがする

メニエール病、内耳や脳の血行障害、脳腫瘍、脳卒中や頭部外傷の後遺症、薬の副作用など

耳鳴り+自分の声が響く

耳管狭窄(きょうさく)症、中耳炎など

耳鳴り+全身に不快感がある

自律神経失調症、更年期障害、ストレスなど

耳鳴り+頭痛・肩こり・動悸

高血圧、低血圧、貧血、心臓疾患、脳血管疾患など

Point

耳鳴りがある人の9割は難聴がある

「耳鳴りと難聴は蝸牛神経がダメージを受けることで起こり、耳鳴りがある人の約9割に難聴があります」と木村さん。音が聞こえにくくなると脳は音への感度を上げようとして異常な興奮状態となり、雑音を拾ってしまう。最新の学説ではこれが耳鳴りとして感じられるといわれている。

軽い耳鳴りはほとんどの人にある

ときどき軽く「キーン」といった音を感じるが、10秒ほどでおさまるという経験は誰にでもあるだろう。症状がすぐにおさまり、特に生活に影響がなく、かつ検査で問題なければ気にする必要はない。耳鳴りは、気にしすぎると症状が悪化する傾向があるので、心配せずに大丈夫と割り切ることも必要だ。

心理的ストレスで耳鳴りは悪化する

耳鳴りを意識すればするほど、よりストレスを感じて、症状をさらに悪化させるという悪循環に陥るケースも。耳鳴りを意識せずにすむよう、環境を整えることが大事。静かすぎる環境を避け、テレビやラジオ、音楽などいろいろな音を適度な音量で聞いたり、趣味に取り組んだり、運動をするなどを心がけて。

イラスト/あらいのりこ
取材・文/武田純子

※この記事は「ゆうゆう」2025年12月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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