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草彅剛「三宅監督は、僕がきれいに映る角度を分かっているんです」『終幕のロンド』草彅剛&三宅喜重監督、対談インタビュー

  • 2025.12.1
左から草彅剛、三宅喜重監督
左から草彅剛、三宅喜重監督
左から草彅剛、三宅喜重監督

ーーー遺品整理をしている鳥飼たちが崇高な人に見える瞬間があります。役作りはいかがですか?

草彅「三宅監督には伝えていないのですが、あくまで自分の中だけのシチュエーションとして、僕としては、パラレルワールドというか、どこかで実在するお話という感覚の中で、樹を演じている部分がある。

それは、いかにも“ドラマ作品”として分かりやすく演じるためではなくて、自分なりのリアルを追求したいという思いから。

そのうえで、あまりにも普通のキャラクターだと面白くないし、もうひとつなにかをプラスする作業が、僕は好きなんです。

樹でいうとまさに浮世離れしている“違和感”をプラスしたつもり。

ただ、行き過ぎると作品の本質が伝わらなくなるので、そこはせめぎ合いではあるのだけれど…監督に『もうちょっとこうやって』と言われないかな、と思いながらギリギリのところを狙っています。監督には迷惑かもですが(笑)」

三宅「そんな雰囲気を漂わせている樹だからこそ、家庭での息子とのやりとりは、とてもアットホームで、より樹のキャラクターが生きているよね」

草彅「あと、三宅監督が僕のいい表情を引き出してくれるんです。

三宅監督が撮ってくれる僕のアップの顔、すごくきれいでしょ!

三宅監督とは長い付き合いだから“僕がきれいに映る角度”を分かっているんです。

自分で見ても『すごくいい顔だな』と思ってしまうくらいなので(笑)」

三宅「それは僕だけではなくて、カメラマンの力が大きいし、本当に草彅さんがいい顔をしているからです」

草彅剛
草彅剛

ーーーお2人の初めての出会いは28年前のカンテレ制作のドラマ『いいひと。』ですが、その時のことは覚えていますか?

草彅「僕は三宅監督のことをすごく覚えてます。

当時、星(護)監督(『いいひと。』チーフ監督)に怒られながらも、すごく一生懸命で。とにかくガッツがあったし、僕の目には一番頑張っていました。だから監督としてこんなに活躍されているんです」

三宅「東京に出てきて初めての連続ドラマの助監督で、こんなに大変なんだと…草彅さんは本当に一生懸命な人という印象でした」

草彅「お互い一緒ってことですね」

三宅「僕は必死だっただけなんだけど(笑)」

草彅「僕も初めての主役だったから必死でした。

そういえば今回の『終幕のロンド』の東京駅での撮影時に、『いいひと。』の1話で僕が演じる北野優二が足を1歩踏み出すと北海道から東京駅になるというシーンを撮ったことを思い出して。位置的にも数メートルしか離れていない、ほぼ同じ場所だったんですけど、その時、三宅監督も僕の顔を見て『思い出してる?』という表情をしていて」

三宅「その後、草彅さんと『ここで『いいひと。』の撮影をしたね』と話をして」

草彅「三宅監督との意思の疎通でいうと、もうひとつエピソードがあって。

実は『終幕のロンド』の1話のエンディングに近い回想の泣くシーンで時間がかかってしまって、僕の“涙待ち”になってしまったんです…その後なんとか乗り越えて無事その日の撮影は終わったんですけど。

次の日、三宅監督と、『僕の生きる道』の1話の最後、カップラーメンを食べながら泣くシーンでも泣くのに時間がかかったことを思い出していたら、三宅監督も実はそのことを思い出してたと聞いて」

三宅「そうですね。『僕の生きる道』のカップラーメンのシーンを思い出してましたね。

長く共に携わるって、作品ごとに思い出があって、同じ想いを分け合う瞬間がある…感慨深いですね」

草彅「『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』(2012)でも一緒だったし、三宅監督は一番僕を撮ってくれている監督かもしれないですね」

『終幕のロンド ーもう二度と、会えないあなたにー』メイキング ©カンテレ
『終幕のロンド ーもう二度と、会えないあなたにー』メイキング ©カンテレ

ーーーそんな長いお付き合いの三宅監督から見て、草彅さんの役者としての変化を感じるところは?

三宅「助監督だった頃の自分が、草彅さんの演技について言及するまでに至っていなかったということはありますが、草彅さんを見続けている立場として、作品のたびに変わり続けていますし、成長し続けていると感じます」

草彅「作品ごとに学ぶことがあって、演じたキャラクターたちが発するセリフが、僕のアイデンティティーになっている。

いい役をいただき素敵な脚本にめぐり合えていることにも感謝していますし、いまでもセリフを覚えているほどです。

“運がいい”という言葉だけでは表せないほど本当にいろんなご縁があって、毎回共演者の方たちにも恵まれて、充実した時間を過ごしているから、ここまでやってこれている」

三宅「今作の草彅さんの演技で特にハッとされられたのは、樹のなにげない普通の表情。喜怒哀楽はあるけれど、激しく表に出すキャラクターではない中で、見えない心の機微が込められているのを感じてすごいなと思いました」

草彅「今回の世界観、僕はすごく好きです。

前回の『戦争シリーズ』のような激しい作品も好きですが、いまの心境的にはこういうドラマをぜひ皆さんに見ていただきたいなという思いがあって。

いわば今の自分の“推しドラマ”ですね。確かにこれまでとは方向性がガラッと変わってチャレンジングな役どころだとつくづく思います。

またいい役をいただけるように、カンテレドラマに呼んでもらえるように努力し続けたい。言うなれば、これはカンテレさんと僕の勝負ですね!」

【作品情報】
【タイトル】 『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-』
【放送枠】 毎週月曜よる10時(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
【出演】 草彅剛 中村ゆり
八木莉可子 塩野瑛久 長井短 小澤竜心 石山順征 永瀬矢紘 /
要潤 国仲涼子 古川雄大 月城かなと / 大島蓉子 小柳ルミ子 村上弘明
中村雅俊 風吹ジュン
【脚本】 高橋美幸
【音楽】 菅野祐悟
【主題歌】 千葉雄喜 「幸せってなに?」 (Warner Music Japan)
【プロデューサー】 河西秀幸 三方祐人 阿部優香子
【演出】 宝来忠昭 洞功二
【演出・プロデューサー】 三宅喜重
【制作協力】ジニアス
【制作著作】カンテレ

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