1. トップ
  2. 【いじめパワハラ】「悪気はなかった」と、加害者。適応障害で辞めざるを得ない被害者は我慢するしかない?【作者に聞く】

【いじめパワハラ】「悪気はなかった」と、加害者。適応障害で辞めざるを得ない被害者は我慢するしかない?【作者に聞く】

  • 2025.11.29

昨今、職場でいじめやハラスメントを受けたことを上司に相談しても「解決しなかった」ったいう声は多い。一体どうするのがいいのか?実体験を描いた、尾持トモ(@o0omotitomo0o)さんの『人生崩壊~会社ぐるみのいじめで苦手な人と無理やり付き合わされました』を紹介するとともに、当時の話を聞く。

いじめやパワハラを進言しても「悪気はなかった」とごまかされる職場

3P-4 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA
3P-4 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA

尾持さんの入社した会社は、なかなか入れる業界ではなく、新卒採用が極めて少ない職種だったという。「長い間しっかり勉強してきた結果、狭き門である憧れの業界に入れたんです」。入社後に配属された先では、上司や先輩に「彼氏がいないなら、嫌田さんと付き合ってみたら?」と、30歳も年上の上司をすすめられた。興味がなかった尾持さんは、やたらしつこい雑談ものらりくらりとかわしていたが、飲み会の席で「付き合えコール」をされ、社長の「フッたらクビ!」という冗談とも脅しとも取れる発言に押され、新入社員の尾持さんは断るに断れない雰囲気に呑まれた。

7P-3 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA
7P-3 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA

「あのときの飲み会のコールは、特に印象に残っています。あれは、いじめられた経験のある方ならわかると思いますが、『味方が一人もいない』というのは本当に怖いものです。ただただ、早くこの時間が終わって…と、祈るしかありません。たとえ味方がいても、すぐに辞めてしまうような環境でした」と、尾持さんは当時を振り返る。「飲み会のノリ」では誤魔化せないほど価値観が古いが、「勤めていた時期は平成後期〜令和あたりです。この時代にそぐわない考え方の人ばかりだなと、今思うとすごく呆れます」。実はさほど昔の出来事でもない。

1P-2 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA
1P-2 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA

その後、嫌田さんと連絡先を交換して強制的に付き合わされるようになり、性的行為にも恐怖をおぼえつつも「退職だけは…」と、適応障害になるまで頑張り続けてしまった。いじめやパワハラにあったことについては、「許せない!という怒りの方が大きかったですが、少しだけ切なさもありました。入社当時は『辞めないでずっとこの会社で頑張ろう!』と考えていたので。こんなことになっている自分と入社当時の自分を比べて、少し悲しかったです」と、当時の心境を振り返る。

5P-2 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA
5P-2 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA

尾持さんが退職をためらった一番の理由は、「会社を訴えれば、同じ業界で再就職するのは難しくなる」ということだった。「努力して入った業界なので葛藤は大きかったし、こんなことになって悔しかったです…。どんな業界でも、仕事のためにこういうことに耐えて、業界に残り続けている人もいると聞いたことがあったので、苦しくても、残り続ける選択があったのかもしれない。でも、私には多分、耐えれなかっただろうし、これでよかっただろうな…と当時は考えました。今でもこれが正解だったのかなと、時々考えることがあります」(尾持さん)

10P-1 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA
10P-1 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA

昨今、職場でハラスメントを受けたことろ上司に相談しても「解決しなかった」ったいう声は多い。尾持さんも社長に退職の意向を伝えたとき、パワハラ、セクハラ、いじめについての話をしたが、加害者たちは「嫌田さんが可哀想で彼女作りに協力した」「尾持さんに彼氏を作ってほしかった」などといいように述べ、「悪気はなかった」と謝罪だけでことを済ませた。

11P-2 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA
11P-2 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA

ハラスメントを会社に訴えても「解決しない」というのが、まさにこの例。かえって事態が悪化するという厳しい現実もある。「職場いじめは、上司か上層部に相談すべきです。何らかの対策(注意や異動とか)をしてくれるかもしれません。でも漫画のように、周囲も頼りにならないとわかったら、労基(労働基準監督署)、弁護士、場合によっては警察など…早めに会社の外に頼ってほしいです」と、尾持さんは話す。

9P-2 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA
9P-2 画像提供:(C)尾持トモ/KADOKAWA

変わらないハラスメント体質のせいで、辞めることを決意。決めたら一気にためらいがなくなったとか。嫌田さんとのやり取りや画像を撮影、保存。上司たちとのやり取りも録音するなど、証拠集めに専念した。「辞めても条件にこだわらなければ、いくらでも会社はあるんです。ここを辞めたらどこでも働けないかもしれない。辞めたら生活できないかもしれない…、辞めたら相手の思うつぼだ、辞めたら負けだ…、などの考えを捨ててほしいです。病む前に即、辞める。いじめなんて乗り越えなくていいから逃げる。それでいいと思います」と、尾持さん。訴訟を起こして1カ月たらずで、示談は成立。しかし、適応障害が改善し、働けるようになるまではかなり時間を費やしたという。

取材協力:尾持トモ(@o0omotitomo0o)

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる