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「ストレンジャー・シングス 未知の世界」最終シーズン配信直前に来日したダファー・ブラザーズを直撃!「シーズン5は『メタルギアソリッド』の影響を多大に受けている」

  • 2025.11.28

2016年にシーズン1が配信されて以来、世界中で大ヒットしNetflixの看板シリーズとなった「ストレンジャー・シングス 未知の世界」がついにフィナーレを迎える。シーズン5となる今回、超能力者イレブン(ミリー・ボビー・ブラウン)らホーキンスに住む少年少女たちは、裏側の世界から現実の世界を侵食しようとするヴェクナ(ジェイミー・キャンベル・バウアー)との最終対決に臨む。VOL1(第1話~第4話)が配信された11月27日の前週には、シリーズを復習するためにリピートするファンや新たに観始める視聴者が増え、過去4シーズンすべてがNetflixのグローバルチャートTOP10にランクイン!全世界からの注目度の高さがうかがえる。

【写真を見る】ミリー・ボビー・ブラウン演じるイレブンのサイキックポーズを真似するマット(右)&ロス・ダファー

そんな大ヒットシリーズの生みの親であるマット&ロスのダファー・ブラザーズが、11月21日から22日にかけてマイク役のフィン・ヴォルフハルト、ウィル役のノア・シュナップ、ルーカス役のケイレブ・マクラフリン、ダスティン役のゲイテン・マタラッツォと共に来日。シリーズ完結を前にした思いのほか、彼らが愛する日本のゲームやスティーヴン・キングのことも語ってもらった。

「引退していたフランク・ダラボンに『監督をやってください』と懇願したんです」(マット・ダファー)

“スティーヴン・キング映画化作品のマスター”フランク・ダラボンとの仕事を振り返るマット・ダファー 撮影/植村忠透
“スティーヴン・キング映画化作品のマスター”フランク・ダラボンとの仕事を振り返るマット・ダファー 撮影/植村忠透

――あなたたちが手掛けたオリジナルストーリーの『ストレンジャー・シングス』にはスティーヴン・キングの影響が大きいと言われています。実際、ワーナー・ブラザースが進めていた「IT/イット」映画化の監督に名乗りを挙げたものの、知名度が足らないということで断られたと聞いていますが、これは本当ですか?

マット「ほぼ正解ですよ(笑)。ひとつ違うのは『知名度が足らないから断られた』という部分。それどころか、会ってもくれなかったので会議室に入ることすらできなかった。もう門前払い状態、惨敗でした(笑)。僕たちは子どものころ観たキング原作の『IT/イット』のミニシリーズにめちゃくちゃハマってしまい、数週間、眠れなかったくらい大好きだったわけです。そこからキングも大好きになり、仰る通り、『ストレンジャー・シングス』には彼のDNAが間違いなく組み込まれています」

イレブンが裏側の世界へと潜入するシーズン5第3話 Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界5」VOL1(第1~4話):独占配信中、VOL2(第5~7話):12月26日(金)10時、フィナーレ(第8話):1月1日(木)10時より世界独占配信
イレブンが裏側の世界へと潜入するシーズン5第3話 Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界5」VOL1(第1~4話):独占配信中、VOL2(第5~7話):12月26日(金)10時、フィナーレ(第8話):1月1日(木)10時より世界独占配信

――シーズン5の第3話の監督はフランク・ダラボンです。彼はキングの小説の映画化におけるマスターのような存在です。それで彼を選んだのでしょうか。

マット「正解です。キングの小説の映画化はたくさんありますが、そのなかでもっともすばらしいのがフランクによる翻案であり作品だと僕たちは思っています。実は彼、引退していたんですが、それを無理やり引っ張り出して『監督をやってください!』と懇願したんです。我ながら、いい仕事をしたなと思っているんですけどね(笑)」

フランク・ダラボン監督が手掛けた『ショーシャンクの空に』 Everett Collection / AFLO
フランク・ダラボン監督が手掛けた『ショーシャンクの空に』 Everett Collection / AFLO

――ダラボンからなにかキングのおもしろい話を聞きましたか?

ロス「『ショーシャンクの空に』(キングの原作のタイトルは「刑務所のリタ・ヘイワース」)の話をたくさん聞きました。どのようにして脚色権を手に入れたのかと尋ねたら、キングはわずか1ドルで譲ってくれたそうです。当時のフランクといえば、監督デビュー作が『ショーシャンク~』なのでほとんど無名。にもかかわらずちゃんと話を聞き、しかも1ドルしか取らなかったわけですから、どれだけいい人なんだと思ってしまいますよね。ほかにもすてきな話をたくさん聞いたのですが、それはフランクのほうがおもしろく話せると思います」

「裏側の世界の不気味なホラー感は、『SILENT HILL f』っぽい」(ロス・ダファー)

――キングのみならず、様々なゲームなどの影響を感じさせることでも知られているシリーズです。シーズン5はどうでしょうか。

日本のゲームが大好きなロス・ダファー 撮影/植村忠透
日本のゲームが大好きなロス・ダファー 撮影/植村忠透

ロス「シーズン5は『メタルギアソリッド』の影響を多大に受けています。というのも、僕たちがもっとも大好きなゲームだからです。今回はイレブンが忍者のような感じで裏側の世界(アップサイドダウン)に潜入するので、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』を参考にしました。あとは『SILENT HILL f』ですね。このシーズン5ではアップサイドダウンの全貌を見せていくのですが、そのビジュアル面で影響を受けました」

マット「アップサイドダウンの不気味なホラー感は、『SILENT HILL f』っぽいと思っていますよ。ホラー要素を持ち込む場合、奇妙だったり不可知的だったりしたほうが、恐怖がリアルに伝わって来ると思います。その辺は(H.P.)ラヴクラフト的にしたつもりです」

個性的なキャラクターたちを作り上げたダファーブラザーズ Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界5」VOL1(第1~4話):独占配信中、VOL2(第5~7話):12月26日(金)10時、フィナーレ(第8話):1月1日(木)10時より世界独占配信
個性的なキャラクターたちを作り上げたダファーブラザーズ Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界5」VOL1(第1~4話):独占配信中、VOL2(第5~7話):12月26日(金)10時、フィナーレ(第8話):1月1日(木)10時より世界独占配信

――シリーズが始まったのが2016年。9年もの間、世界中を夢中にさせたことになりますが、その秘訣や工夫は何でしょうか。

ロス「僕たちは映画からスタートしたコンビなのですが、初めてのドラマシリーズを経験してうれしい発見がありました。シリーズものはとても有機的だということです。ストーリーを進めるなかでシナリオライターたちがアイデアを出してくれたり、役者たちが提案してくれることもある。そういうものを盛り込むことでよりおもしろくなったりするんです。たとえばスティーブを演じているジョー・キーリーの場合、彼自身がとても魅力的な人物なので、僕たちも彼のためにドラマを考えたい気持ちになっていったんです。その結果として、スティーブなのか、それともジョーなのか判らなくなって、最終的にはふたりを合体させたようなキャラクターになりました(笑)。そういう様々な要素がこのシリーズを動かしていったという感じでしょうか。最初に決めた道を一直線に進むのではなく、有機的に変化しながら進んでいき、それがいい結果につながったんだと思います」

村上隆(左)が手掛けた中野ブロードウェイの「喫茶ジンガロ」を訪れたダファーブラザーズとキャスト Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界5」VOL1(第1~4話):独占配信中、VOL2(第5~7話):12月26日(金)10時、フィナーレ(第8話):1月1日(木)10時より世界独占配信
村上隆(左)が手掛けた中野ブロードウェイの「喫茶ジンガロ」を訪れたダファーブラザーズとキャスト Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界5」VOL1(第1~4話):独占配信中、VOL2(第5~7話):12月26日(金)10時、フィナーレ(第8話):1月1日(木)10時より世界独占配信

――シリーズを支えているひとつの大きな要素は活き活きして魅力的なキャラクターたちです。彼らも同じように有機的に変わって行ったということになるんですか?

マット「そうなりますね。僕たちは基本、キャラクターありきで考えるんですが、それでも当初の構想とはかなり違っている。ダスティンとスティーブの場合で言うと、シーズン2でふたりがペアになったんですが、それは単純に彼らに担ってもらう要素がなかったので、じゃあペアにしてみようということでやってみたんです。その変更はとてもうまくいき、いまでは僕たちのもっとも好きなコンビになりました。ウィルとロビン(マヤ・ホーク)の場合は、最終的な着地点があって、そこに落ち着くようダイアログも行動も、逆算しながら考えていきました。要するに、まずはキャラクターありきで考えるのが僕たちのやり方です」

【写真を見る】ミリー・ボビー・ブラウン演じるイレブンのサイキックポーズを真似するマット(右)&ロス・ダファー 撮影/植村忠透
【写真を見る】ミリー・ボビー・ブラウン演じるイレブンのサイキックポーズを真似するマット(右)&ロス・ダファー 撮影/植村忠透

――おふたりはやはりいつか、スティーヴン・キング原作の作品を手掛けてみたいですか?

ロス「実は僕たち、この10年くらいずーっと、キング(原作はリチャード・バックマン名義)の『バトルランナー(原題は『ランニングマン』)』の映画化権利を手に入れようと奔走していたんですよ。僕らの“モビー・ディック”(ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』に登場する巨大な白い鯨のこと。エイハブ船長はこれを仕留めるために命がけで追い続けた)は間違いなくそれだったんだけれど、もうほかの人たちに作られてしまった(監督はエドガー・ライト、グレン・パウエル主演。2026年1月30日公開)ので…。いまはオリジナルをつくることに集中しています。が、もちろん、いつかは絶対、キングとコラボレーションしたいと考えています!」

取材・文/渡辺麻紀

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