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『ナイトフラワー』北川景子&森田望智が互いに受けた“衝撃”とは?「きれいすぎる…」「普段の森田さんではない」

  • 2025.11.28

『ミッドナイトスワン』(20)の内田英治監督が、自ら“真夜中シリーズ”と銘打ち、原案・脚本も手掛けた最新作『ナイトフラワー』(11月28日公開)。昼も夜も働きどおしで、それでも生活に困窮する母親の夏希が、偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子どもたちの夢を叶えるため売人になる決意をする。早々にトラブルに巻き込まれた彼女を助けたのは、深い孤独を抱える格闘家の多摩恵だった。やがて2人は手を組み、ドラッグの密売で稼ぎを増やしていく。だが、ある出来事をきっかけに2人の運命が狂い始める。

【写真を見る】北川景子と森田望智がダブルピースで笑顔!和気あいあいのツーショットを撮りおろし

生活に苦しむ母親と孤独を抱える格闘家が出会い、2人の運命は思わぬ方向へ狂いだす [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会
生活に苦しむ母親と孤独を抱える格闘家が出会い、2人の運命は思わぬ方向へ狂いだす [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会

青い髪を振り乱して関西弁をまくしたて、ギリギリ感をみなぎらせて夏希を演じるのは、近年多彩な役柄に挑戦し続けている北川景子。夏希のボディーガードを買って出て、いつしか家族のような絆を結ぶ多摩恵を演じるのは、作品ごとにまったく違う顔を覗かせる森田望智。劇中の姿とはガラリと印象を変えて登場した柔らかで美しき2人に、渾身の役作りについて、追いつめられていく夏希と多摩恵を演じた心境、共演の感想を率直に語ってもらった。

「森田さんは柔らかな部分と強い部分の両方を感じさせる、独特の魅力がある」(北川)

――お2人は初共演ですが、俳優として互いにどんな印象を持っていましたか。

北川景子(以下、北川)「森田さんの出演作や作品宣伝のためのインタビューや対談なども拝読して、いつも笑顔だという印象を持っていました。自分が前に出るより、みんなのなかでバランスを大切にしていらっしゃる気がして、ふわっとした優しい人だろうな、と思っていました」

森田望智(以下、森田)「私が学生のころから北川さんのお芝居はもちろん、バラエティでの姿も拝見し、とても聡明な方というイメージと、すごく強い芯や信念を持っていらっしゃるなと感じていました」

北川景子が従来のイメージを覆すビジュアルで、ドラッグの売人になる“危険な母親”役を演じる 撮影/興梠真穂
北川景子が従来のイメージを覆すビジュアルで、ドラッグの売人になる“危険な母親”役を演じる 撮影/興梠真穂

――共演されて、なにか印象は変わりましたか?

北川「このとおりで(笑)、印象はほぼ変わらずでした。思っていたよりむしろ、もっとゆったりした方だなと(笑)。柔らかくて優しくて、いつもフレンドリーだけど、お芝居になると『これを伝えたい』という表現に対して、とても強い部分がある。柔らかな部分と強い部分の両方を感じさせる、初めて会うような方というか、独特の魅力があると思いました。ご一緒していて、とても楽しかったです」

森田「私が演じた多摩恵は、普段の自分の延長線上で演じられるような役ではなかったので、とても気合を入れていたんです。でも現場に北川さんが現れた瞬間、とにかく美しくて、いきなり私の緊張がMAXに入ってしまい、役としての多摩恵がどこかに飛んでしまって(笑)。“あれ、自分に戻っているぞ、早く多摩恵に入らなければ”と思いながらやったら、やっぱり内田監督に“それは多摩恵じゃない”と言われて。そんな初対面になってしまいました」

森田望智は、北川景子との初共演にかなり緊張したという 撮影/興梠真穂
森田望智は、北川景子との初共演にかなり緊張したという 撮影/興梠真穂

――内田監督は意図して、現場で会うまでお2人を会わせないようにされたとか。

森田「そうなんです。“初めまして”の緊張感を大切にされたかったのでしょうが、必要以上に私がそれに乗っかってしまったがために、内田監督の作戦、失敗だと思いました(笑)。2、3度お会いしてから現場に入るくらいがちょうどよかったのかもしれません」

北川「確かに。普段はピリピリすることなんて全然ないのに、あの日だけは本当に笑えない様子で、かなり苦労されていましたよね」

森田「そんな時でさえ北川さんは、とてもお優しかったです。私の緊張をほぐすために、何度もやっていただいて。それなのに私は、北川さん自身が“きれい過ぎる”と思ったのに加えて、夏希としての青い髪やら服装など、イメージにはない北川さんの存在感やギャップにヤラれて、大きな衝撃を受けてしまって…」

――北川さんから見ても、森田さんの緊張はわかりましたか?

【写真を見る】北川景子と森田望智がダブルピースで笑顔!和気あいあいのツーショットを撮りおろし 撮影/興梠真穂
【写真を見る】北川景子と森田望智がダブルピースで笑顔!和気あいあいのツーショットを撮りおろし 撮影/興梠真穂

北川「実は私自身も結構、緊張していたのですが、森田さんのそれが大きく上回っていたのがよくわかって、自分の緊張どころではなくなって(笑)。でも“あれ?おかしいな”と必死で取り組んでいる姿が、とってもかわいらしかったです」

「役作りについて、これまでは内面からアプローチすることが多かったが、外側から心に影響することもあると知った」(森田)

――森田さんが北川さんの変貌に驚いたのと同様に、多摩恵になった森田さんの変貌にも驚きませんでしたか?

北川「本当にビックリしました。肉体の作り込みもそうですが、例えばポケットから物を取り出す仕草、歩き方、扉の開け閉め一つにしても、普段の森田さんではないです。男性的な空気をまとっていて、多摩恵が身体に沁みついているな、と。そういうことは台本に書かれていないので、どんな風にやるのか読みながらイメージしてはいましたが、本当に驚きました。私は7~8kgも増量する役に挑戦したことがないので、絶対に大変だろうな、と思いながら見ていました」

――森田さんは、半年ぐらい格闘技のトレーニングを積まれたそうですね。

多摩恵を演じるため、森田望智は本気で格闘技に挑み、体も心も作り上げたという [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会
多摩恵を演じるため、森田望智は本気で格闘技に挑み、体も心も作り上げたという [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会

森田「はい。でも到達点を提示されていなかったんです。どれくらい(体重や筋肉を)増やせばいいか、どれくらい格闘技ができるようになればいいか聞いたのですが、“怪我しない程度にできる範囲で”という答えでした。そうなると私の頑張り次第になるのかもしれないと思いました。撮影中の別作品に影響しない程度にコツコツ練習し、徐々に3kgくらい増量し、本作のクランクイン直前で一気に3kg増やして、撮影中にさらに2kg増やしつつトレーニングに通い続けました」

――肉体が大きくなるに従って、気持ちも多摩恵に近づいて行くという側面もあったのではないですか?

森田「それまで缶や瓶のキャップを開けられなかったのが、軽く開けられるようになったりして、“こんなにも変わるのか”と自信がつきました。電車で吊革につかまらなくてもコケなくなり、誰かにぶつかられても転びそうにならない体幹になっていると実感しました。そういう小さな自信を重ねていったら、なるほど精神と身体って本当に繋がっているんだなと、とても勉強になりました。これまでは内面からアプローチすることが多かったのですが、外側から心に影響することもあると知りました」

――夏希も青い髪の毛や服装など外見の影響を受けて、内面が作られていく部分もありましたか?

子どものためにドラッグの売人になることを決意する母親、夏希 [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会
子どものためにドラッグの売人になることを決意する母親、夏希 [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会

北川「多少はありましたが、とはいえ、2人の子どもがいる関西人のお母さんという役なので、特別な準備は必要ありませんでした。関西弁も元々喋っていたものですし。さほど深く考えることなく、入っていけた役でした」

「人が人を求め、人を愛した時に、こんなにも怖がらずに行動が起こせる」(北川)

――夏希と多摩恵は出会ったあと、急速に近づきます。なぜあそこまで互いを信頼し、頼り合える関係になったと思いますか?

北川「多摩恵は夏希を助けてくれて、家まで送ってくれて、手当てもしてくれて、ドラッグの売人になると言いだした時も一緒に手を組んでやると言ってくれた。普通なら、なぜそんなに親切にしてくれるのか不思議に思いますよね。でも、それまで夏希はずっと1人で子育てをしてきたと思うんです。夫に逃げられ、頼れる親や友達もなく、誰かに弱音を吐いたり、悩みを打ち明けることもなく、内に溜め込んだまま1人で頑張ってきた。その挙句、生活の困窮に陥っている。そんな大変な状況をすべて見たうえで『手を組んでやる』と言ってくれた多摩恵に対しては、もう信じる以外の選択肢はなかったと思います。この人に賭けてみたいと。もちろん人間だから、感覚的に惹かれた部分もあったと思います。だから知っていくなかで多摩恵にも抱えているものがあると気づくし、どうすればこの人の力になれるのかも考えています。いろんな状況が絡み合い、2人が仲良くなるのに長い時間は必要なかった、ということだと思います」

夏希たち家族と多摩恵が揃う、“疑似家族”のようなシーンは温かい [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会
夏希たち家族と多摩恵が揃う、“疑似家族”のようなシーンは温かい [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会

森田「実は序盤で、清掃の仕事をする夏希を、多摩恵が見かけるシーンがあります。その後、街で怪我をしている夏希を助けたことがきっかけになりますが、最初に見た瞬間から、惹かれるものがあったのだと思います。それがどんな感情かは言葉にしにくいですが、友情なのか、家族愛なのか、もしかしたら恋愛感情に近いものだったかもしれない。多摩恵は子どもを思う母親の気持ちに接してこなかったので、きっと自分と夏希の子どもたちを重ねる部分もあったと思うんです。“こんなお母さんがいたら、自分はどんな風に育ったかな”という気持ちなど、夏希に惹かれる理由はたくさんあったと思います」

北川「そう考えると、多摩恵は夏希の親友でもあり、家族でもあり、そして自分の伴侶的な部分を多摩恵に求めてもいたのかなとも思いますね」

――2人とも殴られるシーンがありますが、受け方をはじめかなり大変だったのではないでしょうか?

北川「私は1発だけだったので訓練は必要ありませんでしたが、殴られている人を見るのも結構つらかったです。『これ以上やったら死んじゃう』というセリフどおり、本気でそう思っていました。お芝居とはいえ、多摩恵の相手を務めた方も本当の格闘家の方だから、それを芝居として受けるにあたっても、首に大きな負担がかかるし、メンタルも削られると思います。トレーニングシーンも含めて、肉体を酷使するシーンがたくさんあるので、森田さんの体力が持たないんじゃないかと、ずっと心配していたんです」

森田「すごく優しいんですよ!いつも気にかけてくださって、最後の格闘シーンの撮影後には“終わってよかったね”と癒しグッズをたくさんプレゼントしてくれました」

北川「多摩恵の格闘シーンの撮影がすべて終わった時は、めちゃめちゃうれしくて。もう戦わなくていいんだなと本気でホッとしました」

森田「痛いのは私も好きではないのですが、だんだんと最後のほうは、ちょっとした傷も頑張った証だ、みたいなマインドになってきて、逆にうれしくなったりしていました(笑)」

――最後に、「大切なものを守るためなら、あなたは罪を犯しますか」とキャッチコピーがついた、本作の推しポイントを教えてください。

『ナイトフラワー』は公開中 [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会
『ナイトフラワー』は公開中 [c]2025「ナイトフラワー」製作委員会

北川「それこそ“愛”ですね。夏希が子どもたちに向ける愛も、多摩恵との間に芽生えるいろんな愛もそうですが、人が人を求め、人を愛した時に、こんなにも怖がらずに行動が起こせるんだと。“愛が強さを生む”ところに、本作の見どころが詰まっている気がします。ズバリ、推しポイントはラブですね」

森田「すべて同感です。結末も含めて、選択の正しさや物事の正解を問われもしますが、誰かのために生きている人たちの姿が描かれている。誰かのために生きる時、思ってもみなかったパワーが沸いたり、その人の持つ本来のポテンシャルが開花されていくのを演じながらすごく感じました。私もそこを推したいです」

取材・文/折田千鶴子

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