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「小学生にもおすすめ」!?ミュージカル界隈をザワつかせるバカみたいに楽しい舞台とは?【福田雄一×中川晃教】

  • 2025.11.28

「小学生にもおすすめ」!?ミュージカル界隈をザワつかせるバカみたいに楽しい舞台とは?【福田雄一×中川晃教】

映画に舞台、日本のコメディ作品に新風を吹き込んできた福田雄一監督と、日本のミュージカル界で鮮烈な輝きを放ち続ける中川晃教がタッグを組んだミュージカル『サムシング・ロッテン!』が7年ぶりに再演されます。ミュージカルファンはもちろん、「小学生でも観られる」!?という今回の舞台の魅力をお二方にたっぷり語ってもらいました。

あまりにばかばかしくて本当にブロードウェイ発!?と思う、そんな作品

――ミュージカル『サムシング・ロッテン』とはどういうお話か、その魅力や見どころについて教えてもらえますか?

中川晃教さん(以下中川さん):「僕は主人公のニックを演じさせていただきます。幕が開いた途端に中世のセットですし、これってどういう話なの?、どういう世界なの?っていろんな「?」が湧きながらも、物語はどんどん進んでいくんですね。簡単に言うと“劇団員たちが必死にヒット作を作ろうとする”お話なのですが、劇中ではミュージカルを見たことがある方々にはおなじみのミュージカルナンバー、ヒットナンバー、セリフがたくさん出てきます。“あ、これあの作品の〇〇だな!”ってピンとくる人もいるでしょう。ミュージカルを見慣れたお客様たちにとっては、“これを私達が観なくて誰が観る!?”って思える演目ですし、一方で福田さんが演出してくださることで、福田作品を観たいというお客様にも届けられる、ミュージカルファンでなくとも門戸を開いてるわけですよね。そういう意味で全方位、どなたが見ても“もう!何これ!”って驚いて笑って見てもらえる楽しいミュージカルだと思います」

福田雄一さん(以下福田さん):「僕が演出することになったきっかけは、全然関係のないプロデューサーや仕事の仲間たちからほぼ同時に演出したらって勧められたんですよ。実はブロードウェイでは未見だったので、“なんで俺がやるべきなのかな?どんな話?”って聞いたら、“売れない劇団の座長が、今後ミュージカルが流行るぞって予言者に言われて、ちょっと間抜けだったから次流行るものはハムレットと間違えてオムレットだって伝えちゃう。すると座長が必死になってオムレツに関するミュージカルを作る話ですよ”って言うんですよ。そのときに、“よくそんなおバカな話がブロードウェイで成立したね!”っておかしくて(笑)。“ひたすらオムレットっていうオムレツのミュージカルを頑張って作るんですよ”なんて言うもんだから、あまりにもバカバカしくて。ミュージカルなのにめちゃくちゃ敷居が低くて、そこがすごくいいなと思ったんです」

――福田さんにとって中川さんはミュージカル俳優としてどのような存在ですか?

福田さん:「僕はアッキーファン歴は長くて、アッキーが主演を務めたミュージカル『モーツァルト!』のCDから入ってるんですよ。(2002年に中川さんがミュージカル『モーツァルト!』の日本初演で主役を務める)車乗るときは絶対このC Dを聴いていた時期があったくらい(笑)。ダブルキャストで演じた井上芳雄くんも素晴らしいですけど、芳雄くんが言ってましたよ。アッキーの歌声聞いたら、冷や汗しか出なかったって」

中川さん:「そんな! コツコツとやっております(笑)」

福田さん:「僕案外知られてないんですけど、『勇者ヨシヒコ』の第1弾ドラマの6話で、山田孝之くんと中村静香ちゃんのミュージカルシーンがあるんですよ。そこで歌ってる曲が、あのモーツァルトのパロディだったりもします(笑)」

中川さん:「まさかそのアイデアの源になってたとは初耳でした!当時まだテレビドラマでミュージカルなんて…」

福田さん:「なかったよね」

中川さん:「僕は2001年にデビューしましたけど、まだ当時はちょっと敷居が高いというか……」

ブロードウェイには老若男女いるけど、日本は…

福田さん:「日本のミュージカルがちょっと敷居が高いというか、ブロードウェイに行くと、若い人もいれば、子どももいるし、何より男女が半々の割合。日本だと女性が大半ですよね。その状況をなんとかして変えられないかなって思って始めたのがW OW O Wオリジナルのミュージカルコメディ『グリーン&ブラックス』(2017年〜井上芳雄主演。ゲストに中川さんも登場)。芳雄くんとミュージカルの裾野を広げたいねって話してたんだよね。やっとコロナ前頃かな、多少間口が広がったかな、と話したことを覚えていますね」

「バカみたいに楽しい」小学生から楽しめるコメディミュージカル

――では、今回のミュージカルもその裾野を広げるのに一役買いそうな作品になりそうですね。

中川さん:「本当にそう思います!一見ふざけていますが、実際は素敵な音楽、プロフェッショナルなお芝居、そう、“真面目に高度なこと”を俳優たちもやっていますよね」

福田さん:「本当に真面目だよね。この作品は、全方面というか小学生が観ても面白いと思います。もし、ちょっとだけ事前準備としてリクエストするなら、小学生にシェイクスピア作品を少しだけかじってきてって言えば、もう面白く観れちゃうと思う。“ハムレット”と“オムレット”を勘違いするってことだけがわかればいいんだから(笑)。あとはどこかで聞いたことがあるミュージカル音楽が流れる、本当に楽しいミュージカルだと思います。僕と関わってくださる方はご存知なんですけど、僕、本当にミュージカルが大好きなんですよ。劇団四季も全部見ているし、以前はお正月に2週間くらいニューヨークに行ってずーっとブロードウェイでお芝居観てたの。最近は行けてないけどね。そんなミュージカルへの愛情を全て注ぎ込んだ物語にしていますので!もしかしたら僕の撮った映画しか観たことない人や、僕には映画監督のイメージしかない人もきっと楽しめるはずです」

中川さん:「福田さんって、俳優の持っているポテンシャルも見ながら、そこを本当に料理長のごとく、いいよいいよ!って言ってくださる監督さんなんです。演じる側は皆、とても高度なことを頑張ってやってるんですけど、さらにプラスアルファでさらりと全然違うことをもっともっと!と福田さんは入れ込んできます(笑)。色々なミュージカルを経験してきましたけれども、この作品は俳優として経験したことのないようなことをさせてもらえたと思っています。これはきっといろんな作品を見ていらっしゃるお客様も、そうじゃない方もこの時代の中でラインナップされているミュージカルの中で、ちょっと別格だよねって思ってもらえるはず。少しでも興味を持っていただけるなら、ぜひ劇場に足を運んでください!」

【プロフィール】
福田雄一(ふくだゆういち)
1968年生まれ。栃木県出身。1990年に旗揚げした劇団「ブラボーカンパニー」で座長を務めるかたわら、フリーの放送作家として数々の人気テレビバラエティ番組を手掛ける。テレビドラマ『勇者ヨシヒコ』で人気を博したのち、映画『HK変態仮面』『斉木楠雄のΨ難』『銀魂』や『今日から俺は!!』などの監督・脚本・演出を手掛ける。大のミュージカルファンであり、ブロードウェイ作品の脚本、演出も多い。

中川晃教(なかがわあきのり)
1982年生まれ。宮城県出身。シンガーソングライター、俳優。2001年デビューし、その年の第34回日本有線大賞新人賞を受賞。2002年日本初演となるミュージカル「モーツァルト!」の主演に抜擢され、初舞台で第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞するという快挙を達成。2016年に日本で初演されたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』のフランキー・ヴァリ役が話題になり、第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞を受賞。音楽活動と並行し、日本のミュージカル界をけん引し続けている。

INFORMATION

ミュージカル「サムシング・ロッテン!」
公演日:2025年 12月19日(金)~ 1月 2日(金)
会場:東京国際フォーラム ホールC
出演者:
中川晃教、加藤和樹、石川禅、大東立樹(CLASS SEVEN)、矢吹奈子、瀬奈じゅん
岡田誠、高橋卓士、横山敬 / 植村理乃、岡本華奈、岡本拓也、神谷玲花、小山侑紀、坂元宏旬、高橋莉瑚、高山裕生、茶谷健太、横山達夫、吉井乃歌、米澤賢人
小林良輔(スウィング)、七理ひなの(スウィング)

脚本:ケイリー・カークパトリック、ジョン・オファレル
作曲・作詞:ケイリー・カークパトリック、ウェイン・カークパトリック
演出:福田雄一


撮影/三角茉由 取材・文/田中希

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