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総務省「ご注意ください」災害時の“善意の拡散”に警鐘「知り合いが言っていた」では済まされないワケ

  • 2025.12.9
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

2025年12月8日23時15分頃、青森県東方沖を震源とする地震が発生し、翌9日未明にも余震が観測されました。

こうした災害時にもかかわらず、SNSを中心に科学的根拠のない情報や真偽不明の情報が拡散されることがあります。

総務省は12月9日、公式X(旧Twitter)アカウントで「インターネット上の偽・誤情報には十分ご注意ください」と呼びかけ、情報を見極めるためのチェックポイントを紹介しています。

総務省が推奨する8つのチェックポイント

総務省の公式Xアカウント(@MIC_JAPAN)では、下記のような発信がありました。

投稿では「まずは以下をチェック!」として基本の4項目、「さらに以下もチェック!」として応用の4項目が示されています。

【基本の4つのチェックポイント】

  • 情報源はあるか?
  • その分野の専門家か?
  • 他ではどう言われているか?
  • その画像は本物か?

【応用の4つのチェックポイント】

  • 「知り合いだから」という理由だけで信じているのではないか?
  • 表やグラフも疑ってみたか?
  • その情報に動機はあるか?
  • ファクトチェック結果は?

特に災害時には、善意から情報を拡散したつもりが、結果的にデマの拡散に加担してしまうケースも少なくありません。

「友人から聞いた」「知り合いが言っていた」という情報も、一度立ち止まって確認することが大切です。

なぜ偽情報の拡散がいけないのか

インターネット上の偽情報や誤情報は、個人の権利侵害や社会的な混乱を招く恐れがあります。特に災害時には、避難や救助活動の妨げになる可能性もあります。

また、画像や動画についても注意が必要です。過去の災害時の映像を「今回の地震の映像」として拡散するケースや、AI技術を使って加工された画像が出回ることもあります。情報源が不明確なもの、感情を煽るような内容のものは、特に慎重に扱うべきでしょう。

総務省は「インターネット上の偽・誤情報に惑わされないために、情報の真偽を確かめる習慣を身につけましょう」と呼びかけています。

偽情報の拡散、罰則の可能性も

偽情報を投稿し、拡散した場合、偽計業務妨害罪に問われたり、損害賠償責任を負う可能性があります。

実際、2014年4月、熊本地震の際に、動物園からライオンが逃げ出して街の中に現れたという虚偽の投稿文と画像がポストされ、動物園や警察に問い合わせが殺到したという事件があり、投稿者は偽計業務妨害罪の容疑で逮捕されました。

また、あおり運転が原因で死亡者が出た事故について、被告の勤務先として誤った社名が投稿され、その会社には多くの非難の電話がかかってきたため、一時休業へと追い込まれました。この件で、会社は投稿者と、拡散した人を特定して訴訟を起こしています。

「自分が発信したわけではなく、リポストやシェアをしただけ」という場合でも、情報の拡散に加担したとして責任を問われることがあります。情報を広める前に、必ず確認する習慣をつけましょう。

災害時こそ冷静な判断が必要

災害時には不安から情報を求める心理が働きますが、だからこそ冷静な判断が必要です。総務省が推奨する8つのチェックポイントを意識し、情報源が明確か、専門家による見解か、他の信頼できる情報源でも報じられているかなどを確認しましょう。

偽情報の拡散は、意図せず誰かを傷つけたり、社会的混乱を招いたりする可能性があります。「疑わしい情報は拡散しない」「確認できない情報は広めない」という姿勢が、健全な情報社会を守ることにつながります。


参考:
「インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報にだまされないために~第2版」(総務省)
「情報発信編~被害者にも加害者にもならないために~ 良かれと思って拡散した情報がデマだった?!」(総務省)
「インターネット上の偽情報や誤情報にご注意!」(政府広報オンライン)