「お姉ちゃん学校でいじめられてるんだって」娘が4年間もいじめに耐えていたなんて知らなかった…家族の葛藤の物語【著者に訊く】

「お姉ちゃん、学校でいじめられてるんだってーー。」

同じ小学校に通う弟のひと言で、娘・ハルコがいじめられていることを知った母親。ハルコはいつも学校に楽しそうに通っていたし、放課後も友達と遊びに公園に出かけていた。それがすべて、ハルコの演技だと知った母親は...？家族に見せる笑顔の裏で、「今日も無視されるために学校に行かなきゃ」と、学校に通おうとするハルコ。その日々はなんと4年間にも及んだ。今回は、さやけん(@SaYaKen38)の著書「家族全員でいじめと戦うということ。」を紹介するとともに本作について話を聞く。

母が知った娘の苦しみと、複雑ないじめの姿

本作「家族全員でいじめと戦うということ。」は、著者のさやけんさんが友人の体験を元に描いた作品である。さやけんさんが「いじめは『この人が加害者でこの人が被害者』という簡単なものではなく、本当に複雑で難しい問題なのだと強く感じています」と語るように、子供たちの世界で起きる問題の奥深さが大きなテーマとなっている。

物語の主人公は、母親のナツミ。「お姉ちゃん学校でいじめられてるんだって」という弟・フユタのひと言ではじめて、娘ハルコが4年間もいじめに耐えていたことを知る。楽しかったと語っていた自然教室の写真にはハルコが1人で写る姿ばかりが残され、学校に相談しても担任からは「勘違い」と片づけられてしまう始末。やがてハルコは登校できなくなり、事態は深刻さを増していく…。

さやけんさんは「怒りや悲しみの感情に身を任せ、物事の本質を見失い、結局は大切な我が子を追い込んでいくことさえあり得ます」と語り、親の立場から見た判断の危うさにも触れている。また、「『真実』は、語り手の立場と視点によって大きく変わります」と強調し、傍観者、周囲の大人、教師など誰もが当事者にも加害者にもなり得る現実を、さやけんさんは示してくれた。本作は「どうすれば被害にあった子が相談しやすくなるのか、先生たちはどう動くべきなのか」という問いに対し、読者自身が考え、向き合うきっかけとなる構成になっている。

取材協力：さやけん(@SaYaKen38)

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