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「子供たちに特別な思い出を届けたい」 書店から子供たちへクリスマスプレゼント 『ブックサンタ』でつながる温かい支援の輪

  • 2025.11.23

何気なく道を歩いている時でも、ふと惹かれる看板が目に入ることがありますよね。

2025年11月、仕事を終えて帰宅する途中、筆者は会社の最寄り駅近くの書店で『ブックサンタ 2025』と書かれた看板を発見しました。

看板には、「あなたの選んだ本を全国の子供たちに届けます」といった趣旨も添えられています。

実はこれ、誰もがサンタクロースになれる、素晴らしい取り組みなのをご存じでしょうか。

あなたの選んだ1冊が子供たちへ届く 『ブックサンタ』に注目!

日本国内でも、貧困や被災、病気などを理由に、クリスマスに特別な思い出を作れない子供たちがいます。

そうした全国の子供たちに、本を届けることを目的とした社会貢献プロジェクトが『ブックサンタ』!

提供:認定NPO法人チャリティーサンタ

認定NPO法人チャリティーサンタが2017年からスタートさせた取り組みで、書店で本を選び、『ブックサンタに参加します』とレジで伝えるだけで、その本が子供たちのもとへ届きます。

筆者も過去に参加したことがあり、子供たちが楽しめるようにと考えながら選んだ1冊は、特別なものとして心に残っていますよ。

看板を見かけた筆者は、「今年も参加しよう」と思った一方で、「この活動についてもっと詳しく知りたい」という気持ちも湧いてきました。

そこで、『ブックサンタ 2025』の看板が出ていた書店にインタビューしてみます!

くまざわ書店みなとみらい店にインタビュー

撮影:grape編集部

2025年11月12日、筆者が訪問したのは、神奈川県横浜市西区みなとみらいにある『くまざわ書店みなとみらい店』です。

3~4年前から『ブックサンタ』の取り組みに参加しているのだとか。現場から見た『ブックサンタ』について、詳しくうかがいました。

――同店では、どのくらい本が寄付されていますか。

『ブックサンタ 2025』の取り組みをスタートしてから1か月ほど経ちました。11月12日時点で、10冊弱の本が寄せられています。

2024年は全部で40冊ほどの本が集まっていて、2025年も同数程度を見込んでいますよ。

――どのような人が参加していますか。

当店はメインの客層ということもあり、『ブックサンタ』には未就学児の子供を持つ家族が多く参加されています。

高齢者も寄付されることがありますね。だいたい、1人1~2冊を寄付してくださいます。

――寄付される本に傾向はありますか。

人気の絵本シリーズや雑学が学べる本、児童書などが寄せられています。

店舗もクリスマスシーズンの品揃えになったこともあり、クリスマスがテーマの絵本も選ばれそうですね。

撮影:grape編集部

――『ブックサンタ 2025』に対する、書店としての思いを教えてください。

好きな本が読めない環境にいる子供たちに、本が届くのが魅力的です。

参加者も『子供たちのために寄付できた』という感覚があります。いい取り組みですよね。

『ブックサンタ 2025』に参加すると、このようなステッカーが1枚もらえます。

撮影:grape編集部

取り組みや本を受け取った子供たちの声を紹介した、リーフレットも一緒にもらえますよ!

同店の言う通り、参加者にも「チャリティーに参加できた」という感覚が残り、大切な思い出になりそうです。

さらに筆者は、『ブックサンタ 2025』を運営している、認定NPO法人チャリティーサンタにも取材。

活動が始まったきっかけや、現在の状況などを深掘りしました!

「誰もがサンタクロースに」 運営が明かした『ブックサンタ』への思いとは

「特別な思い出を届けたい」 『ブックサンタ』運営に取材すると…

もともと、2008年からサンタクロースに扮して子育て家庭を訪問し、思い出を届ける活動をしていたという、認定NPO法人チャリティーサンタ。

『ブックサンタ』がスタートしたきっかけについて、このように話しています。

活動を続ける中で、貧困や災害などによってクリスマスの思い出を作れない子供たちにも、特別な思い出を届けたいと考えるようになりました。

そこで、『書店で誰でもサンタクロースになれる』をコンセプトに、『ブックサンタ』のプロジェクトをスタートさせました!

提供:認定NPO法人チャリティーサンタ

『ブックサンタ』では、全国の書店や支援団体と協力し、クリスマスだけではなく誕生日にも本を贈っているといいます。

本を受け取るのは、個人の家庭だけではなく、全国の子供支援団体が支援する家庭や、児童養護施設、被災地に住む0~18歳の子供たち。

2025年は、全国10万人の子供たちに本を届けることを目標にしているそうですよ。

活動の輪は年々広がっていき、2017年は58店舗だった参加書店が、2025年には全国1,851店舗に。すべての都道府県で実施されています!

規模が広がったことで、このようなこともできるようになりました。

多くの寄付をいただけるようになったので、専用倉庫『ブックサンタ ライブラリー』を開設しています。

あわせて専任スタッフがいることで、施設や家庭への選書を丁寧に行えるようになりました。

寄付された本の数も増え、2024年には9~12月の期間に合計13万843冊の寄付があったそうです。

提供:認定NPO法人チャリティーサンタ

同法人によると、贈られる本の傾向は…。

多く集まりやすいのはベストセラーやロングセラーですが、名作などはご家庭ですでに所持され、寄付が重複してしまうケースがあります。

そのため、幅広いジャンルの本を選んでいただけるといいかもしれません。

提供:認定NPO法人チャリティーサンタ

参加者が自由に選ぶので、どうしても集まりやすい本があるようです。

とはいえ、「なるべく幅広いジャンルを選ぶには、どうすればいいの…」と悩む人もいるでしょう。

同法人は、そんな時の選ぶ基準も教えてくれました。

クリスマスや誕生日などの『プレゼントとして楽しめる本』という視点で、選んでもらえたらうれしいです。

物語だけではなく、雑学や図鑑、趣味実用書なども多くの子どもたちに喜ばれていますよ。

筆者は子供の頃、図鑑を見るのが大好きだったので、『ブックサンタ』に参加した時も天体図鑑を選んだ記憶があります。

「図鑑も喜ばれる」と聞き、こっそりと胸をなで下ろしました…!

最後に、同法人は『ブックサンタ』にかける思いを教えてくれています。

困難を抱える家庭の子供たちにとって、『自分だけの1冊』は本当に特別な贈り物です。

子供たちはもちろん、保護者からも「1人ではないと思えた」といった温かい声が届いています。

ぜひ、子供たちの笑顔を思い浮かべながら、新しい1冊を選んでいただけると嬉しいです。

『ブックサンタ』に参加すると、自分の選んだ本が直接届く様子を見れなくとも、必ずどこかの子供を笑顔にしています。

関わる人全員の心が温かくなるのも、素敵なポイントです。

本を贈る喜びと本を受け取る喜びを生み出す『ブックサンタ』。

あなたも、今年のクリスマスは誰かのサンタクロースになってみませんか!

[文・構成・取材/grape編集部]

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